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最近は夜でもコンビニやらビルの明かり、街灯なので明るくなってはいるがどうしても明かりの少ない路地裏に走って行くほのか。ここを通れば近道なのだ。それほどペンダントの事が気になるからである。
(あれはお母さん形見なんだから)
スポーツで鍛えられたムチムチ脚で走っていると一本の街灯があり、寿命なのかピカピカとモールス信号のように点滅している。
そこに人影があった、シルエットでその人物が大鎌を持っているのが分かる。
まるで命を刈り取る死神のようなたたづまいであった。
「アーマーガールズでもねぇ女の子にこんな事したくねぇけど、仕方ねぇ」
チャキっと大鎌を構え、鎧が一瞬にして装着された。この前の男の子の様な女の子、瀬名トウヤであった。
"I'm ready"大鎌が喋るとビームで出来た刃が現れた、暗闇を怪しく照らす。
どうしよう、まい先輩に電話で助けてもらう暇もない。
トウヤが大鎌を振り回しながら、こちらに迫って来ている。
一本道の狭い場所なのに彼女は器用に大鎌をふりまわしている。オリンピックの競技で大鎌ふりかあったら優勝であろう。
音もなくすっと間合いを積めようとするとほのかはもうだめだ、と目を閉じると目の前に氷の壁が出現していた。
にっと頬がゆるむ、トウヤ。
「こんな時に相手してられない……けどよぉ、お前はこの俺がぜってぇぶっつぶしてやるって決めたから、いいぜお前との勝負受けようじゃねーか」
「一般の女の子に手を出すような奴にぶっつぶされる訳にはいかないわ」
そこにいたのはほのかを襲った氷使いの女の子であった。
紫の鎧の腕のスクリーンを押すと彼女の手に大きな氷の剣、直角で突きに強いレイピアが現れた。
だがそれはトウヤの大鎌と似て何か機械のような感じがする、スカイブルーに刃が光る。
電信柱の横に隠れてほのかは成り行きを見守っていた。いったいどっちが味方なのか?
しかし、どちらが勝とうと負けようと自分の命が危ないと思うが逃げ出す事が出来ない。大鎌のソニックブームとレイピアの氷がぶつかり合い動けば一瞬にしてやられてしまいそうだった。
ピンクと青空の閃光がほとばしり、二人のアーマーガールは他人の家の塀を踏み台にしながら義経の様に飛び回る、ここから(塀をふめば飛ぶ事も可能)という諺もあながちデマカセという訳では無さそうだ。いや大法螺なんだけど。
「あんたはさぁ、いつもいつも俺とまいにたてついて、何? 俺かまいに気があんのか? お前なら別に付き合ってやってもいいけどさぁ、でもやっつける方が楽しいからそこんとこすまねぇーなぁ!!」
くるくると回って街灯の上に片足立ちをした氷の少女はレイピアを片手に自分の正面に持って来た。
「わたしもあなた達と戦いたくないけど……」
レイピアの少女は氷の様に冷たい囁きだがハッキリと声を聞き取れる事が出来た。
「あなた達がやってる事分かってる? アーマーガール同士で戦争でも始めるつもり?」
そういうとふっと消えたレイピアさん。
飛び降りて上からトウヤに攻撃を仕掛けるつもりだ。
「アーマーガール達の戦争? いいねぇ。 みんなこの力を使いたいんだよ、ムカつく野郎をぶっ飛ばしたいんだよ、みんながみんな正義の味方なんて思ってるそのあまちゃん根性叩き直してやらぁ」
「そんなの可笑しいでしょ? 人を守るのがわたし達の役目。何で分からないの!!!」
ガツン!
大きな音がして大鎌とレイピアがつばぜり合いを始める。
「ごたくぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!」
「力をつけた人間が暴走して正しい結果になる訳ない! みんなで殺し合うなんて、そんな事、そんな事いけない事だわ」
腕のスクリーンをタップするレイピアさん。
『バニッシュメントコキュートス』
機械のレイピアがそう言うと刃が物凄く大きくなり、相手の大鎌を徐々に氷付けにし始めた。
「かは、言ってる事はお花畑だけど、やっぱおめーつぇーは、くっそおめーとむんむんしてぇ、でも」
二つに別れた大鎌、銃に変化した、burst modeである。
「その前に俺がくたばっちまったらおしめーだかんなぁ!狙い撃つぜぇー!」
銃に変形した大鎌を二丁で攻撃をしかける。
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