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 「危なかったね」

 保健室から出て、一人で歩けるようになったアスカはほのかと手をつないだまま家に帰ろうとしていた。

 「本当だよ、あんな所でいきなりアーマーガールズが出てくるんだもん」

 ぷりぷり怒るアスカ。

 「うん、しかもあいつはまい先輩も襲ったのよ、どんだけ襲うのが趣味なのよ。アスカ、みさおの方は大丈夫?」

 「ほのか、それあんたが男の子だったらセクハラよ」

 目がキラリんと光ったほのかギュウとアスカの乳をわしづかみにした。

 「よいではないか、よいではないかぁ」

 アスカと別れて、バイバイした後、今でも残るアスカのぱいぱいの感触を噛み締めながら、ほのかは生きてる意義を感じ夕陽に照らされて家へと帰宅するのであった。

 ところが何かが引っ掛かり来た道を振りかえるが多分お腹が空いているのだろうと、ほのかは納得して手を嗅ぎながら帰った。

 「ただいまぁ」

 ドサリと地面にスクールバッグを置く、学校のバッグは何故にこんなに隕石を詰め込んでいるように重いのであろうか。

 深くため息をつくほのか。

 「返事が帰ってくるわけないか」

 ポスンと中ぐらいのベッドにダイブするほのか、ふと寂しくなり、胸にしまいこんでいた母親のペンダントを取り出す。

 まじまじと見つめるほのか、急に起き上がりベッドに座って見てみるとそれは偽物だと分かった。

 プラスチックで出来てたのである。

 うぇー!ととても女の子とは思えない叫び声をあげて必死に部屋の中にペンダントがあるか探しまくる。

 なぁーーーーーーーーーーーーーーーーい!!と大声を発する所を見るとゴジラの親戚のようだ。いや小さい身体だからミニラか?

 妖精共の仕業かと思い、「にんにく、にんにく」と呪文を唱えながら、探しまくる。

 外はすでに紫の帳をおろし始めている。

 可愛い女の子が出歩く訳にもいかない。

 しかしほのかは素手で電信柱を倒した事例があるのだが。

 そうだアスカにも聞いてみよう、ブルース・リーの絵柄のついたスマホを取り出して登録している電話番号にかけてみると、ニ、三回ベルの音――その後に電話を発明したグレイの音になっていたかもしれない――がなるとアスカがもしもしと出たのでペンダントの事を打ち明ける。

 「えっ! そうなの? あれほのかのお母さんの形見でしょ? 首にかけてたから外ではないよね?」

 「うん、私があれを外すのはお風呂に入る時か、むんむんした時か」

 そういうとほのかはまるで漫画みたいにピコーンと頭に電球が現れた。

 「この前シスターさんの映画みたらむんむんした」

 はぁと電話の向こうからため息がもれる。

 「いつか私の家に泊まり来た時忘れたんじゃないの? ちょっと探してみる」

 電話の向こうでゴソゴソする音が聞こえた電話を耳につけたまま脱衣場でペンダントを探してくれていた。

 「あれ? でもでもこっちには偽物のペンダントがあるよ。だから気づかなかったんだ」

 そしてほのかは最近お風呂に入ってむんむんした事を思い出した。あの人のうちで。

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