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 がしっと鎌の刃を下に向けて麦を刈るような格好になるトウヤ。

 "I'm ready"とトウヤが右腕のスクリーンをタップすると大鎌の刃がビームとなる。

 「こいよ、惚れた女に手を出した貴様がわりーんだ」

 ざっと距離をとって黒く蠢くシャドウから離れた。

 さらに彼女は腕のスクリーンをもう一度タップした。 "Burst mode"そう大鎌が喋ると大鎌は銃のような形になりトウヤはシャドウに銃口を向ける。

 「くらえ! バニッシュメントグロリア!!《爆発の恩恵》」

 相手が飛び付く前に彼女の攻撃が矢のように飛んできて口のような穴に貫通すると敵はぐおおお、とこの世の者とは思えないようなまるで学校の黒板をキィーてするような絶対耳に良くないような音を出して地面に倒れて、最後に洗面所の水が排水溝に流れて出すコォスショという音と共に跡形もなく消えていった。

 結界が無くなり、アスカがぐったり倒れているのをトウヤが支えていた。

 突然この前の大鎌使いが現れてびっくり仰天したのはほのかであった。

 しかも今日は私服である。

 この人のパンツは被らないと密かに思うほのか、何故ならば彼女の服装は男性ぽかったからだ。

 だが、あのポワポワのまい先輩を襲ったにも関わらず何故にアスカは助けたのであろう?

 そう思ったほのかだが倒れたアスカを見てハッとして彼女の元に近づいた。

 気絶しているだけとトウヤが教えるがほのかはばっとトウヤを睨み付けた。

 「あなた、まい先輩と戦ってた大鎌の女でしょ? アスカに何したのよ!」

 「ちがっ俺は……」

 その時かすかに目をあけるアスカ。

 ほのかもトウヤも彼女の目がさめてほっとする。

 「わ、わたしみた。あの人が大鎌を持ってそれが鉄砲みたいになった所」

 トウヤの心に何かが崩れ落ちる音がした。

 「アスカを殺そうとしたの? まい先輩呼ぶわよ」

 トウヤは吹っ切れたように言った。

 「ふん、そうさなぁその女が気に食わねぇから襲ったまでよ。俺の心をかきみだしたんだよ」

 「何その理由」

 ブラを被った女の子ほのかは軽蔑した目でトウヤを睨み付け、アスカを守るようにぎゅっと抱きつく。

 するとそこにまいがポワポワしながら歩いてきた。

 「あら、大鎌の女の子じゃない確かトウヤね、この子達に何かしたら許さないわよ」

 くるりと背を向けたトウヤの目に涙がたまっているのに気付いたまいは、その後ばれない所でトウヤをなでなでした。

 「今晩付き合ってあげるわよ」

 「いつもより激しくなるけどいいか?」

 まいは何も言わなかったがそれが承諾の合図であった。

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