特待生パーティー、二層目ボスで修行の成果を見せる?
無事、パーティーはボス部屋前に到着していた。
むすびの顔に、ドロップのローパー肉が追加で三枚ほど張り付いているが、無事である。
「……」
「むすびちゃん、ローパーの怨念でも取り憑いてるの?」
「さすがのあたしも、今度ばかりは火之神院むすびに同情する……」
その慰めの言葉を聞きながら、むすびは無言で顔面パック状態のローパー肉を引き剥がし、空中に放り投げた。
「うわ、無表情……メッチャ怖いぜ……」
「さてと、二層目のボスだ。昨日、練習した感じでいこう」
明志は真面目にそう言った。……ちゃっかり、ローパー肉を空中でキャッチ&袋詰めしながら。
優友はツッコミを入れず、ボス前の緊張感を維持しようとした。
「しゃあ! やっとボスだぜ! おれっちの修行の成果を見せてやるぜ!」
「よし、開けるぞ。各自、連携して最小限の消耗を意識するんだ。まだまだ先は長い」
「ああ、わかったぜ親友!」
ボス部屋の扉を開くと、そこには巨大な存在が蠢いていた。
サイズは三メートルくらいだろうか。
小山のようなシルエットと、ウネウネと蠢く何かが多数見える。
「こ、こいつは――巨大なローパー!?」
「ああ、二層のボスはビッグローパーだ……って、おい、火之神院なにをやっ――」
「ローパー死すべし……【炎Lv3】
むすびの全力の上級火球が放たれる。
今回はみっちりと練習した成果も出ていて、凄まじい威力を発揮していた。
爆音が鳴り響き、四散した炎が渦を巻いて天井まで到達して、周囲の壁まで焼き焦がす勢いだ。
結果的に、爆心地であるビッグローパーは消し炭になっていた。
明志は普段なら――『残り七体のボスだけじゃなく、まだ九階層までの道中もあるというのに……なにをやっているんだ、火之神院』と注意するのだが、今回は無理だった。
「ふふふ……あははは……ッ!! ローパーなんて世界から消えちゃえばいいのよ……!」
普通にむすびが怖いことになっていたからだ。
食への冒涜か、顔面ローパーパックをしたことか、なにが原因かは定かではない。
しかし、狂気度が高くなりすぎてしまったことは確かだ。
「えーっと……三層入り口にもダンジョンボックスがあるから、そこで休憩しよう……。火之神院、水分を補給すると精神が安定するぞ……?」
「焼き尽くす……ローパー、焼き尽くす……!」
明志はバーサーカー状態のむすびに見つからないように、ボスドロップの触手を密かに回収したのであった。
ちなみに、この触手は薬の原料などで買い取ってもらえるため、それなりのお小遣いになる。
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