三話 おにぎり

 真明が立ち寄った村はまあまあ栄えていたため、食べ物には困っていなかった。


 真明が食べ物屋に入ると野菜や生米などの食べ物が置いてあった。

 しばらく見た後、生米と塩と魚の干物を買った。


 真明が稼いだ小銭は二十銭で、買った物の合計は十二銭である。

 残った小銭を懐にしまい店を出た。


 次に向かったのは金物屋だった。中に入り主人に、使わなくなった古い小さめの釜をくれないかと頼んだ。主人は、こんなのを何に使うんだと言っていたが構わない。


 真明は金物屋を出て村の近くの小さい川に行った。

 もらった釜を洗うと中に水を半分、買った生米を一人分入れた。


 火打ち石で木の枝に火を点け、その上に釜を乗せた。そして米が炊けるまで待った。


  炊いた米を手に乗せて塩を振りつつ握った。

 おにぎりを俵型に三つ握ると、持っていた笹の葉っぱの上に乗せた。


 真明は手を合わせて「いただきます…」と呟くように言い、おにぎりを食べ始めた。

 ひと口ひと口、噛みしめるように味わった。


 あっという間におにぎりを二つ食べ終えた。

 その後魚の干物を一かじりして、また手を合わせ「ごちそう、さまでした…」と呟く。

 一つ残したおにぎりは笹の葉で包み、魚の干物と一緒にして懐にしまった。


 真明は火を消し小さい釜を持ったまま村に戻って行った。

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