第29話 学院間戦争、宣戦布告。
「今日も普通の一日だ」
「だね~」
昼休み、最悪の状態で出勤した先生は保健室で寝て、キバ達生徒は代理で来たキリヤ先生が面倒を見てくれている。
ちなみに、キリヤ先生は生物学の先生だ。
「それにしても、今日も平和な一日だな」
「キバ、お昼食べる?」
ポートが尋ねる。
「そうだな、今日は財布も潤ってるし!」
「よーし、学食行くか!」
ゲインの宣言で動く一向、しかしこの裏ではとんでもない事が起こっていた。
「理事長、これはどうするのですか!?」
学院理事会、ここにとんでもない案件が流れて来ていた。
「南方の士官学校からの最後通牒ですよ!?」
「これは、『学院間戦争』になりかねんな・・・」
学院間戦争。それは中央、西方、東方、北方、南方の五つある士官学校が別の士官学校に対し平和的な交渉などで解決しないことを『生徒主体の戦争』で決定するというシステムだ。
「しかし、キバくんを退学処分にするというのはなんとも・・・」
「そうですが、しかし・・・」
「彼は意欲ある生徒だ、我々に見捨てることはできん」
一息ついて、理事長が言った。その一言で、決心がついた理事会は決定した。
「我々は彼を退学処分にはできない!故に戦争を受けようではないか!!!」
「ええ!では生徒達に公表してまいります!!!」
昼休みも終わる頃、生徒達は講堂に集められていた。
「・・・こんな事、あったか?」
「・・・いや、ない」
ソバーの回答で気づいた。今から、何か重大な事を言われる。
「皆さん、静粛に」
ざわめいていた生徒達が一瞬で静まりかえる。
「我々中央士官学校は、南方士官学校の最後通牒を無視し、学院間戦争を開始することを宣言しました」
「なっ・・・!?」
「嘘だろ!?」
「俺達、戦うのか・・・!?」
「お静かに・・・まあ驚くのも仕方がありません。しかし、我々には今回、素晴らしい助っ人にお越し頂きました」
そう言って、舞台袖から現われたのは・・・
「初めまして、ジェム・エイムです」
「スレイン・マキナです」
「どうも、ツルギです」
「た、たはは・・・ナツキ・キサラギです・・・」
「な、なっ・・・!?え、は・・・!?」
「落ち着けキバ、お前表情がえげつねえぞ!?」
ゲインの一言で我に返ったキバ、もう一度現状を確認。
(うん、全員見紛うこと無き知人だ)
清々しい程の笑顔で現実を放棄したキバ。そんな彼の事など気にせず集会は進む。
「この方々は『有志連合』の皆さんです。皆さんを全力でサポートしますが、皆さん主体でこの『戦争』を生き抜くように。それでは開戦は一週間後の7月28日からです、皆さん準備や演習などを怠らないようにしてくださいね」
かくして集会は終了、教室ごとに諸連絡や説明となった。
「いいか皆、これから始まるのは間違い無い戦争だ」
ホームルームは、先生の重い一言から始まった。
その前に『学院間戦争』の勝敗や
殺傷能力のある魔法や武器、罠でも作戦でもなんでもあり。その代わり、『これ以上戦えば後遺症が残る』と判断された者は拠点に戻される。結界魔法が貼られているため、超過攻撃はできない。
そして倒された生徒は三日間戦線離脱として拠点から出られない。
そして有志連合の存在だ。
この連合と同盟を組むことで戦争に参加できる。ただし、生徒主体の戦争なので出しゃばることは許されない。
「お前らは今、『俺達ならできる』、『誰にも負ける気がしない』と慢心してる。その慢心を取り除かなければ、勝つことはできない」
待っていたのは辛辣な言葉。激励でもない、明るくもない。
一瞬にして凍り付いた教室は、誰の動きも発言も許さない。
「この中に『余裕だ』と思っていた者、挙手。・・・安心しろ怒ったりなどしない」
その一言で安心したのか、数名が手を挙げる。
「ふむ、クラス内では数名か。・・・まぁ、正直に言ってない奴もいるだろうが」
一瞬レイナやアイギスの肩が跳ねた。
「まぁいいが。・・・時にノア、どうして勝つと思った?」
「ひぇっ!?え、あ、その・・・僕達、いろんな敵とか倒して、力がついてきたんじゃないかなって・・・」
「じゃあゲイン、お前は」
「・・・俺含め数名が第二段階に目覚めたからです」
「そうかそうか。ならお前らに言おう」
一息ついて。
「お前ら、考えが甘すぎる」
さらに傷をえぐりに来た。
「第二段階?力?甘い、甘すぎる。ゲインの好物のプリンアラモードにホイップ三倍かけたのよりも甘い」
「わかりづれえ!!!」
たまらず叫んだキバ。どうやら理解できたのはゲインだけのようだ。
「いいか、敵は常にお前らの上を行くと思え。お前らの常識は通用しない。相手の戦力は自分達とはひと味もふた味も違うんだ」
それは、一教師の言うことではなかった。
経験者だからこの言えた。
そうでなくては、こんなことは言えない。
「お前らのその根性と性根、体力、知力、精神力。まとめて全部たたき直してやる」
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