第21話 それぞれの体験、波乱の始まり

「キバ達一班は喫茶店にて働いているところはこっそり見れた、さあ次は・・・」

中等部1年1組担任のフラー先生。今日は動きやすい服装に、普段は下ろしてる長髪も、今日は後ろに束ね、髭も剃った。完全に誰か分からなくなっている。

「次は、二班かな」



ギルシュ中央商店街マーケット。この国の全ての産物が集まると言われる地に、ゲイン、ソバー、ポートの三人は来ていた。

「こちら、サーミンとサヴァ、一箱お持ちしましたぁ!」

「そのお店はこの道をまっすぐ行って、果物屋の前で右へ行けば行けますよ」

「・・・アーリオオーリオ、お待たせしました」

皆がせわしなく動く。

「お、おーい・・・」

「・・・ご注文は」

「道に迷われましたか?」

「何かお持ちしますか?」

「・・・いえ、すいません」

(なんだよこいつら!急に品行方正になりやがった!!!)

恐怖の性格改変。商店街のおばちゃん達の力は偉大だった。



「おねえちゃん!!お花でかんむりつくって!!」

「うん、いいよ~」

「わーい!雪だぁ!!」

「あ、あんまり走ると危ないよぉ・・・」

「さ、さぶい・・・」

「ほら、暖かいぞ?・・・こら!炎に触ったらダメだ!」


「すいません、士官学校の担任なんですが・・」

「あ、すいません!・・・あの子たち、凄いですね・・・」

「今、季節は初夏なのに、雪ですか・・・」

「えぇ、あの白髪の子、魔術師ですか?」

「いや、剣士です・・・」




「アルロ、そっち行った!」

「任せろ」

アルロの氷の矢が、眉間を貫く。


もちろん、鹿の。


「どうですか、調子は」

「いや~!、筋がよいです!身のこなしも一流!」

「・・・この後、就職出来そうなレベルで?」

「もちろん。欲しいですな」

「さいですか・・・」




話は戻って、喫茶浪漫亭。

「店長、こういう事ですか!?!?」

「お・・・、あとちょっとが足りないねぇ・・」

少し圧をかけれるようになってきたキバ。ただ、まだナツキがやっていた程の圧は出せない。

「こればっかりは、話せないとね・・・」

「ウロボロスの声が、聞き取れないんです・・・」

ウロボロスの声が聞こえそうな時に、砂嵐のような音が混じって聞き取りにくいのだ。

「せめて、あと少しクリアに聞こえればなぁ・・・」


「あ、レイナちゃん牛乳買ってきてくれる?」

「わかりましたぁ!!」

「俺も行こうか?」

「大丈夫!牛乳だけだし!」

そう言って、レイナは買い物に行った。

この後、キバは激しく後悔することになった。




「レイナ、遅いな・・・」

「どうしたんだろ・・・」

「僕、ちょっと見てくる~」

アイギスが少しドアを開ける。

「え、えぇぇぇぇぇぇ!!!!????」

「ど、どうした!?」

「やべえ、やべえよキバ、レイナが・・・!!!!」

「は・・・!?て、手紙?貸して!?」

店の前に置かれていた手紙。内容は・・・

『銀色の女の子は預かった。返して欲しければ、中級区2-6-15にある廃倉庫へ来い』

「俺、行ってきます!」

「店長、行ってきて!」

「でも、アイギスくん・・・」

「店長のコーヒーの淹れ方は分かります!だから、安心して!」

「・・・分かった!行くよ、キバくん!」

二人は、倉庫へ向かい駆け出す。



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