第18話 職場体験だ!・・・その前に姉妹喧嘩を。
「ああ、久々の学校だ・・・」
「いや~、なんか新鮮な感じだな~」
昨日はあの後泥にように眠り、今朝目覚めたのは7時45分。
急いで朝ご飯を食べ、走って登校。
「はいおはよう。今日は職場体験の場所教えるからな。いつもの三人班になっとけ~」
「はーい!」
「えーと、キバ達一班は、・・・喫茶店だな」
「え・・・それは、ちょっと特殊なお店・・・?」
「いや中級区の普通の喫茶店だな」
「・・・なんで、ここで、発動・・・」
「キバ、大丈夫だよ~」
「わ、私は別に良いけど・・・」
「いや、俺のダメージが・・・がはっ」
「キ、キバァァァ!?!?」
「へ~、アルロ達は山で猟師かぁ」
「・・・隠密部隊」
「アルロ、残念だったなぁ」
「全くだ」
「俺達、魔道具工場かあ」
「まあ、創成魔術を使う者としてはね」
「俺も
「物質操作なんだよね」
「いやこれもう工業行くしかねえ!!」
「メイルー、やったね服屋だよ!」
「そうですか?私は動物がいっぱいいるとこに行きたかったのですが」
「だって、合法的に女の子に触れ」
「ねえ、職場体験で変な行動起こさないで?・・・まあ、麻痺毒でなんとか」
「やめて!?」
「占い屋、ですか?」
「霊能力があるタマモならいけるよきっと」
「がんばり、ます・・・!」
「スノウ、あたし達幼稚園だって!」
「・・・ぇ」
「スノウ可愛いから、きっと子供達を骨抜きに!」
「・・・ぃょ」
「ちょ、クレナイ!?スノウの顔が・・・」
「まあ、スノウは何着ても似合うし!大丈夫でしょ!」
「・・・ぃ、ぉ・・・ぃゃ」
「なんて?まあいっか!ねー!スノ」
「お姉ちゃんの!バカぁ!!!」
「え!?ちょ、スノウ!?!?」
いきなり怒って、スノウは走り出す。
「ああもう!スノウ怒ってたじゃん!」
「・・・気づかなかった」
「とりあえず、追わないと!」
「そうだね!・・・ごめん、キバ!ゲイン!こっち来て!」
「お、おう!」
「ちょい待って!」
「うっ・・・、ひぐ・・・」
中庭、ベンチにて。スノウは一人泣いていた。
「私なんて、可愛くないもん・・・お姉ちゃんはいつも私を過大評価しすぎなの・・・」
そう言いながら一人泣き続ける。
辺りには雪が舞い始める。
次第に風も強くなり、吹雪になる。
それでもスノウは気づかない。冷たい事や雪が降るのはよくあることだ。
「私なんか・・・」
「やべえ!外吹雪!」
「あ、相当ね、これ・・・」
「何が相当なんだ?」
「あの子ね、怒ると【武器】の制御が効かなくなるの」
「・・・え」
「それでね、氷雪属性の中でもかなり上位にいるのがその「
「・・つまり?」
「あの子が怒ると決まって吹雪く。そしてほぼ確定で怪我人がでる」
「大惨事じゃねえか!?」
「ゲイン、汚い高音で叫ぶな耳障りなんだ」
「いや怪我人でるとかやべえから!!俺怪我したくねえもん!!いやしかもなんで俺!?俺なんで呼ばれたの!?マジわかんねえんだけど!?」
「いや~ゲインなら雷の速さで助けてくれるかなって・・・」
「だったら俺いらなくね?」
「キバはほら!お守り的な?」
「「ふざけんな!!!!」」
泣き叫ぶゲインと憤慨するキバ。
「ひぃぃ!!いやほんとごめんって!でも、お願い、助けて!!」
「・・・ったく、しゃあねえな」
「一応、責任はクレナイだけど・・・乗りかかった船だし」
「・・・ありがとう!」
とは言っても、外は吹雪。これでどうやって探すのだろうか。
「風向き的に中心から放たれてるな・・・これなら、中心へ向かってすすめうおわ!!!!」
キバ、吹き飛ばされる。風に逆らうのはかなり危険。となると・・・
「ゲイン、お前の出番だ」
「いやふざけんなキバですら行けなかったのになんで俺がいけると思ったの!?俺ほんと死にたくないんだけどぉ!?!?あーーーーもーーーーやーーーー!!!!」
「だから汚い高音で叫ぶなって!!」
「あーもー行きゃあいいんでしょ行きゃあ!!!!」
「そうだよ?」
「なんで疑問形!?ちっくしょやけだ第二段階!<迅雷>!」
体に電気を帯び、髪が逆立つ。パリパリという音が鳴り響く。
「ちょっと行ってくる!!!!」
言うが速いか、いや体の方が速かった。ゲインが駆ける。
「ぐすっ・・・」
これほどまでに寒いのは初めてだ。日頃怒ってもここまでの寒さはでないだろう。
「お姉ちゃんは・・・」
「・・・ゥ!」
「・・・ふぇ?」
「・・・ノウ!」
「え、な、何・・・?」
「スノォォォォォ!!」
「え、ちょ、ゲイン君!?!?」
「はぁ、はぁ、やっと見つけた・・・」
息切れしながらゲインが伝える。
「・・・なんで、ここに?」
「お前を連れ戻しに来たんだよ!あーもー、人使いが荒いんだよあいつら・・・」
「・・・戻んない」
頬を膨らまし、そっぽを向く。
「そうなると皆が困んだよ」
「だって、お姉ちゃんが・・・・」
「クレナイは反省してるよ。お前に悪かったって言ってる」
「・・・でも」
「いいから帰るぞ!ほれ、乗れ!」
そう言って、スノウを背負う。意見は聞かない。
「ちょっと痺れるけど、我慢してくれよ!!!!」
凄い速さで吹雪を抜ける。空は快晴だった。
「ごめんね!スノウ!」
「・・・いいよ」
「・・・よかった、よかったよぉ・・・」
普段は気丈なクレナイも、今日は泣いてしまった。
「もう、あんな事しないからね・・・!」
「うん・・・」
「よかったな」
「ああ・・・」
キバが微笑みながら見ていると、ゲインがそっぽを向いた。
「・・・どうしたんだ?ゲイン」
「いや、な・・・(まさか、女の子を背負うなんて考えてなかったんだ・・・まさか、あそこまで幸せとは・・・)」
あのとき背負っていったゲインだが、その後前屈みにならざるを得ない状況になったのであった。
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