第16話 鯨と未来の船長

「アイギス!お前は足場作りに集中!魔術師は体を狙って魔術を!剣士はできる限りの周辺の防御や降ってくる瓦礫を弾け!」

「・・・キバ、お前少し見ない間に随分と・・・」

「先生、今はそれどころじゃねえ!よし脳筋組!行って来い!」

「おうよ!」

「まかせな!」

シャオランとゼノがアイギスの作った足場で上に上り、仮面へ攻撃。

「だめだわキバ!俺達の筋力だと!」

「いや、まだだよゼノ!<龍王舞踊一番・吐息の舞>!」

右腕に力が集中している(気がする)。

「チャイン拳法、瞬拳!」

チャイン共和国に伝わる拳法の一つ、一瞬の拳。仮面が少しへこむ。

「魔術部隊!いけるか!?」

「いけるよ!〔曲線軌道を描け〕、<シューティングスター・クレセント>!」

「おお!ポート、すげえ!」

「調整すればいけるよ!」

「キバ、いけるでござる!」

「おけ、マサヒロ、アルロ、やるぞ!」

「御意!」

「ったく、手間かけさせやがって・・・」

マサヒロが「クサナギ」という刀を抜き、アルロが氷で剣を生成。

「<<<居合い三閃・渦斬り>>>!!!!」

そこそこ仲良し三人組の、居合いをくらっても仮面には少ししか傷が付かない。

「おいおい、いけんのか・・・?」

「キバ!」

「師匠!」

ツルギ、ナギ、カインが到着。

「カイン、ナギさん、ちょっと削っといてもらえるか?」

「任せろ!親友だもんな!」

「お姉さんに任せないさ~い!」

「あれ?ナギさんキャラ変わって」

「彼女魔法使うと性格変わるんだよ・・・」

「えぇ・・・」

「ま、まあ大丈夫だから・・・ところで、あの鯨、私達で倒そうか?」

「いや、俺達にやらせてください。きっと倒せるんで!」

「そう・・・なら任せるわ。おーい!ナギ!カイン!戻っておいで!」

「はーい!」

「えぇ~、もうちょっとやらせろよ~」




「魔術、放てー!!」

毒や花粉が入り乱れ、氷の矢が飛び、鉄の塊が放たれる。

「おいカーター!煙やべえぞ!」

「わりい!俺の【武器】、機械っぽいんだ!」

カーターの【武器】、<古代魔道具アーティファクト>。かの昔にはこのような火薬を使った武器があったそうな。

「やっべえ!鯨砲撃くるぞ!下がれ!」

「おけ!バック!」

「レイナ!<奏撃そうげき>頼む!」

「任せなさい!<護りし女神の独奏ソロ>!」

レイナの剣の特殊能力。音で戦う剣から生まれた光のベールがキバ達を守る。

「よし皆、あと三十秒耐えてくれ!」

「分かった!」



「くっ!瓦礫が痛え・・・残り何秒だ!」

「まだ6秒くらいだ!あと24秒!」

キバがいないだけでこんなにも30秒が長い。

「なんとかして、持ちこたえろ!」



「この仮面で、いける・・」

あの日手に入れた異形の仮面。以前より制御が効き、火力も段違いだ。

「く・・・やっぱ痛い・・・」

代償は右目の痛み。それでも皆を守るためなら。

「いってやる・・・!皆、行けるぞ!」


「皆、行けるぞ!」

「待ってました!」

「やってくれ!」

刹那、爆風が起きる。空にはインクで引いたかのような黒い線。

上空に佇む姿は、さながら龍の如し。

「<憑依バイト崩廻理龍ウロボロス>・・・」

あふれ出した呪力じゅりょくが黒い龍を描く。

普段の鮮やかなあかの両目は、右目のみ金色に染まり、縦長に瞳孔が走る。

刀身の赤い紋章は輝き、周囲には黒い短刀が大量に浮かぶ。

「さあ、殺してやるよ鯨。お前を狩るのは俺だ!!」


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