第9話 龍、暴れて
十数個の魔方陣。
これが現われた時点でどうかしている。
マルクはかなり焦っている。斬り付けた筈が、数秒後に回復し、魔方陣は大量に浮かび、底知れない何かが渦巻いている。
しかし、当の
右目が痛い。
いたい。痛い。イタイ。イタイ痛いいたいいたい痛いイタイいたい痛いイタイ。痛い
いたいイタイ痛いいたいイタイ痛いイタイ痛いイタイいたい痛いいたい痛いいたい。
痛いという感情が制御しきれない。
でも、負ける訳にはいかない。
だって、皆の想いを背負っているから。
なぜなら、ここで負けたら皆が殺されるかもしれないから。
負けた先、どうなるかは自分にも見える。
先生が負けないとは限らない。
だから、自分が負ける訳にはいかない。
信念を胸に、キバはマルクに向き直った。
一方マルク。
彼は本気で恐れていた。
(何なのこの子!?
けど、あの組織のためなら・・・)
しかし、彼は見落としていた。
傷が、綺麗さっぱり癒えていることに。
右目の痛みはとれない。それでも、やってやる。
そう決めたキバ。
「絶対に、ここで倒す。それが俺の、覚悟だ!!」
覚悟、決定。
「目覚めろ、龍!!<
魔方陣が理路整然と並び、いつでも発動できるようになった。
まず、魔法を何個も同時に発動する「
「<
より強化された剣。ノータイムで繰り出される
全てが、規格外。
「う・・・!!ぐあ・・!!」
「<
「・・・!!うう、がぁ!!」
魔術師に与えるダメージとしてはかなり大きい。オーバーキルな気もするが、死んでないのでセーフ。
「〔彼の者を穿て〕・・・<シャドウランス>」
影の槍が地面から生え、キバの腹を貫く。
しかし、抜くと同時に貫かれた腹は治る。
「な・・・!?回復、した・・・!!」
たちどころに回復するキバ。
しかし、この
(くぅ・・・頭も目も痛い・・・そんで、俺の中で、何かが暴れてやがる・・・なんか、俺が俺じゃなくなる気が・・・)
何というか、自分がすり減っていくような、削られるような。もしくは、食べられてるような。
「<
乱射される斬撃。しかし、マルクの体をすり抜けて壁を斬る。
「<フェート・シャドウ>。お前が今斬ったのは俺の影だよ」
「ちっ・・・う、ぐラァァ!!!!!」
獣のような雄叫びをあげ、突進するキバ。
「く・・・!?」
ただの突進と、斬撃。たったそれだけなのに、マルクの体は布きれのように切られる。
「グラァァァ!!」
完全に、動きがおかしい。
マルクは逃げようとした。
しかし、出来なかった。
「ウルァァァァ!!!」
横薙の一閃。行き先は、首。
「グアァァ・・くぅ!」
しかし、首に刃が触れる寸前で、刃はとまる。
「・・・殺したら、俺もお前らと一緒だ」
あくまで、殺さず、縛るだけ。
「・・・ははは、これは勝てないな」
こうして、
彼らは「まさか、あんな学生達がいるとはね」と供述していたらしい。
そして、1年生にして、「第二段階」を習得した生徒として、7人は学校に名を知られた。
なお、犯行グループには、重傷者こそでたものの死者は出なかった。
――山奥の廃屋にて
「・・・「第二段階」、習得したようです」
「へぇ、なかなかのもんだ」
「ただし、呪いで暴走もしたようですが」
「・・・えぇ・・・まぁ、正しい力の使い方ってのを教えてあげなきゃ、かな」
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