第7話 『第二段階』
全ての【武器】には「第二段階」と「第三段階」が存在する。
持ち主が覚悟を決めた時、己の過ちや失敗を認めた時に開放されるのが「第二段階」。この段階に目覚める者は数十、数百人いる。
そして、一度全てを諦めた者のみが到達できる「第三段階」。
これは、数個しか成功例が無い。
しかし、彼は成功させていた。
1年1組。
あの応酬に決着が付きそう。
「く・・・魔力が・・・」
「終わりだな」
「まだだ!!」
懐から取り出したのは、大きめの球体。
「な・・魔術爆薬」
「これで、もろとも・・・」
胸に爆薬を詰め込み、残りの魔力を注ぐ。
「はハハ、あはハハははハ!!」
「ああ!もうダメだ!」
全員が伏せる。
「〔おい、やるぞ〕。<タリア・ル・オッサ>」
爆薬が炸裂、すると同時に全てを断つ。
「可視化された、実体のある物」を斬れるのが通常だが、「第三段階」は、全てを『事実ごと』斬る。
詰まるところ、無かったことにする。
彼の諦めは、こんな凶悪な物を生んだ。
「全員、無事だな?」
教室組、勝利。
「<
「・・・おい、あれ多分「第二段階」だ」
「は?あんなガキが・・・まさか」
刹那、男の肩を、何かが掠めた。
「・・・外したか」
グレムの一発。見れば、弾丸が壁にめり込んでいる。
「次は当てる」
どうやら、完全にスイッチが入ったらしい。
「おう、お前は俺が相手だ。白金を紅く染めてやる」
「俺がお前を穴だらけにしてやるよ」
「じゃあ俺はお前の相手か」
「安心しな。すぐに四肢を爆破してやる」
そう言うや否や剣を振り回す。
しかし、あり得ないほど腕をしならせ避ける。
「つっ・・・、加減が大事だな」
<
「ま、骨の一本二本はご愛敬ってとこ?」
「言ってろ!」
六発目。備えてあった弾丸は、全て撃ち尽くした。
「最後の一発、撃ったな!?」
「別に最後とは言ってない」
瞬時に大きめの弾丸を作り出す。
「<
本来長距離で使う弾を、短距離で使う。
それだけで決着が付いた。
相手の土手っ腹、真っ赤な染みができあがり。
「げほっ・・・やってくれんじゃん・・・」
「攻めてきたお前らが悪い」
「くそ!ヒラヒラ避けやがって!」
「いや俺も何本か骨が・・・」
こっちも光明が見える。
「でも、もう遅いんだよ」
「何がっ!?」
「<血糸>」
血の様に朱い糸のような刃を相手の胴に刺し、斬る。
「ご、ごはぁ・・・」
「悪いな」
折れた骨は痛むけれど。
西校舎組、勝利。
「ぐぅ!」
東校舎。雷の速さで移動し、斬り付けるゲインと、見えない体をいかして致命傷を与えようとするソバー。そして回復を待つポート。
「巡れ、<剛雷網>!」
複雑な目の電気の網。そしてそこを異常な速度で伝ってくるゲイン。
「薙げ、<迅雷閃>!」
大きく、早い横薙ぎ。
「・・・<ステルス・ナイフ>」
そして、真後ろから一撃を決めるソバー。
二人の活躍で、二人は倒した。
しかし、残りの一人は重装備。貫通できる技はない。
「これ、ほんと硬ってえな・・・」
「・・・貫通はきつい」
「はっ!こんぐらいの物も砕けねえのか!」
煽られても舌打ちくらいしかできない。
(チマチマ削るか・・・?)
(・・・隙間も無い・・・)
「・・ふふ、ふははは」
「は!?」
「だ・・れ?」
いきなりの笑い声。正体不明の声の主は・・・
「「ポ、ポート!?」」
「ははは!今ならできる!」
瞳孔全開、狂気の表情。普段のポートの面影すらない。高らかな笑いと共に
「〔周回、しようぜ〕!<
投げられたのは、10個のコイン。
それらが、ポートを中心に様々な速さで回転し、周回する。
「<範囲拡大>、<速度上昇>」
周回する範囲が広がる。速くなる。
「ぐふぅ!」
鎧にコインがめり込む。
「〔全部、ぶっ壊す〕!<
コインを中心に、巨大な引力が発生。
「ぐあ!?う、あああああ!!?!??!」
何も分からないまま高速で回転して吹き飛んで、気絶。
「ははは!!ざまあ、見・・・ろ」
そしてまた寝るポート。
二人は見てはいけない物を見てしまったかのように怯えてしまった。
何はともあれ、東校舎組も、勝利。
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