1、「突き抜けた作品・ぶっとんだ話を書くコツはありますか?」

 そもそも、突き抜けた作品・ぶっとんだ話を目指す必要があるのはなぜか? 究極的に言えば、目立たないと読者が見てくれないからだと思われる。


 例えば「チャイコフスキー作曲 交響曲第6番 ロ短調 作品74」とか言われても、イマイチピンと来ないけど「悲愴」ってつくと、あーあれねって思う人もちらほらいるでしょう。

 また、同じチャイコフスキー作曲の大序曲「1812年」は一度聴いたら絶対に忘れられないインパクトがあります。

 大砲(/>.<)/ ドッカーン

 ちょっとたとえが適切ではなかったかもしれませんが、カクヨムにいる読者様方は膨大な作品の中から読みたいものを選ぶので、どこかしらにインパクトのない作品は容易に埋もれてしまうわけです。


 つまらない作品は作りたくない、読者に楽しんでもらえるような作品にしたい、そんな思いがこのテーマに詰まっているのですが、それだけに結構な難題ですね。

 こういう悩みって、初心者を脱してある程度作家としての基礎が固まってくると陥ることが多いように感じます。なぜなら、書き始めの頃は未知の分野が多いゆえのある種「万能感」があって、勢いで行けちゃうのですが…………そのうち「出来ない事」を多く知ってしまい、きちんと進めるように見える道しか進めなくなってしまうのです。

 そこから自分が作ることができる物語の特徴をしっかりと見定め、それを極めていって初めて「突き抜けた作品」というのがでてくるのかもしれませんね。


 さて、一口に突き抜けてると言っても、その要素は色々あります。


・タイトル

・ストーリー

・キャラクター

・内容構成


 ほかにもいろいろあるのですが、それぞれにおいて求められるコツというのは違います。


その1:インパクトのあるタイトル


 ぶっちゃけこれが一番簡単だと思います。


 私が本編で発した「転生したらカラアゲげだった」みたいなのはさすがに論外ですが、読者に一目で読んでみたいと思わせるインパクトのあるタイトルは、言ってみれば作品の「ルックス」のようなものです。人は見た目が9割といいますが(これも結構インパクトあるタイトルだなぁ)、これを意識するだけでも結構違うものです。

 タイトルの付け方は作家のセンスが物を言います。

 作品の内容に対し、なぜそんなタイトルをつけたのか……たまには一歩立ち止まってそんなことを考えてみてはいかがでしょう。


 参加している作家様の一人、日竜生千様(https://kakuyomu.jp/users/hirui)は『召喚術士と図書館の魔女〈I〉(走れ!エランダーズ 〜Adobe adolescence〜)』という作品をお持ちです。「召喚術士と図書館の魔女」という一文の後ろに、颯爽と走るスタイリッシュなサブタイトルが付いていますね。

 内容までスタイリッシュなのかはまだ読んでいないのでわかりませんが(オイ)、普通に「召喚術士と図書館の魔女」とつけるよりインパクトがあります。


 有名どころの作家で言うと、伊坂幸太郎がお手本になるかもしれません。

 「陽気なギャングが地球を回す」なんてタイトルの作品、面白くないわけがない。

 参加している作家様の中で、湊波様(https://kakuyomu.jp/users/souha0113)のタイトルの付け方に近いです。


 で、ここまで書いて何なのですが…………結局のところ、いくらタイトルが素晴らしくても、内容が伴っていないと本末転倒です。

 もっと言えば、タイトルだけ立派で中身がダメという作品は見たことがありません。タイトル詐欺っていうのはたまにあるんですけどね…………

 逆に言えば、突拍子もないタイトルが思い浮かんで、そこから突き抜けた内容の作品が生まれるという事はそれなりにあります。物語をイメージする第一歩として、タイトルだけ考えるトレーニングも悪くないかもしれません。


 余談ですが、つい先日「我が家は第二生徒会」というタイトルを思いついたのですが、いい中身が思い浮かばないので却下しました。



その2:突き抜けたストーリー

 キロール様(https://kakuyomu.jp/users/kiloul)の発言で


 朝松健であれば、オカルト雑誌の編集者であった頃の知識を基にしたホラー。

 京極夏彦であれば、言わずと知れた妖怪に関しての知識などでしょうか?

 全てがそうだとは思いませんが、知識は大きな武器になるのではないかと思います。


 というのがありました。

 これはまさにその通りで、突き抜けたストーリーというのは読者様方を未知の世界に誘う力と言えるかもしれません。そのために必要なのはやはり知識! そして知識を探しに行くための好奇心が求められるでしょう。

 知識はないけど、ある日突然天啓が降ってきた、なんてことはほぼあり得ません。

 知識! とにかく知識!


 ぶっ飛んだ話の参考として私が挙げたいのが「落語」

 落語は話ごとにぶっ飛び方のベクトルも違っていて


・ふつうはあり得ないことが起こる話

・極端なキャラクターが出てくる話

・もしも~が~だったらの話


 とまあ、いろいろな種類があり、なにより物語のオチの勉強にもなります。

 こういったところからインスピレーションを得るのもいいでしょう。


 それと、私が本編でも発言した通り、ぶっ飛んだ作品というのは大概出オチになるので、長編には向かないでしょう。作り手もエネルギーを消耗しますし、読者も結構疲れます。クラッシックで例えるなら、アラム・ハチャトゥリアン作曲「剣の舞」を1時間聞かされ続けたらたまったものではない。

 ぶっとんだ、または突き抜けた長編を作ることができたら、もうそれはインスパイヤとして胸を張っていいレベル。



その3:ぶっとんだキャラクター

 これについては、後の話題で詳しく書きたいので、ここでは割愛。

 正直、これは私自身が全くできていないので、私が何をほざいてもまるで参考にならない可能性が高い。


 ただ、もし濃いキャラクターが作れれば、そこから派生してぶっ飛んだ話を作る土壌が生まれる。やっぱキャラクターって大事。



その4:常識外れの内容構成

 ここを突き詰めると、一種の前衛芸術と化す。

 まず、稚拙な作品と常識外れの内容構成は紙一重ではない。完全に別物です。


 例えばこの作品

 →https://kakuyomu.jp/works/1177354054890130218


 すべて会話文で構成するという思い切った内容、しかも物語としての破綻もなく、途中から「ええええぇぇぇぇ」となれます。

 おそらくこの作品は、はじめから「すべて会話文で構成する」という意図のもとに組み上げられたもので、ぶっ飛んだ中に独特のバランスが見えると思います。

 一方で、初心者がやらかしがちな、会話文ばかりが連続して地の文が息をしていないという問題は、単純に技量が足りていないだけです。

 

 まずはしっかりとした下地を作り、そこからまずは「削れるもの」を探してみましょう。



 とまあこんな感じで。

 なんだかんだ言って、創作に裏技はないと私は思います。


 あんなこといいな、できたらいいなの気持ちを常に持ち、それをどんどん膨らませていく創造力を持つ。

 そんな人間に、私はなりたい。

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