第二話【Saison d'été ~夏の季節~】

桜を見て以来、春夏は毎日のように屋上にやって来て秋冬と話をするようになった。秋冬は春夏の明るさに惹かれていた。そんなある日、春夏が一人の女の子を連れてやってきた。

気まずそうについてきたのは隣のクラスの詩織だった。彼女もまたバレエ教室の生徒だった。


詩織は幼い頃、憧れていた秋冬にバレエのフォームを褒められたことが嬉しくて今でもバレエを続けていた。そのため、久しぶりに再開した秋冬の今の姿にショックを受けてしまう。


「ヒーロー失格ね」


秋の文化祭に向けて出し物を決めることになったが、秋冬のクラスは何も決められずにいた。そんな中、隣のクラスの学級委員長である友香が合同で演劇をしないかと親友の春夏に持ちかける。今は辞めてしまったが友香もまたバレエ教室の生徒だった。


文化祭の出し物が演劇に決まり、主役か春夏と瑞季に決まる。ただ演劇をするだけだとつまらないという意見があり、ミュージカルのように歌や踊りを取り入れることに決まった。そこで、春夏が一つの提案をする。


「秋冬くん、バレエやってみない?」


雑草のように目立たないよう生きていくと決めていた秋冬にとって、春夏の提案は受け入れ難いものだったが、春夏の押しの強さに負けてダンスのまとめ役を引き受けることになってしまう。そんな春夏を睨み付ける視線が一つ。ダンス部の美愉だった。


第二話 完

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