第6話 渋子! デビュー!
「第10期の新人の渋子です! 宜しくお願い致します!」
渋子は人気トップアイドルグループに本当に加入できた。東京に来て女として仕込まれたテクニックが、芸能プロデューサーが渋子の相手にご満悦だったからだ。
「よろしく! 私がPTA48のトップアイドルのセンターの田前よ!」
PTA48のPはポピュラー、Tはトップ、Aはアイドル、48はメンバーの人数。第1期生の田前は一番人気があるアイドルだった。
「いい! アイドル業界は先輩の言うことは絶対よ! 先輩に口答えする者はやめてもらうからね!」
「はい! よろしくお願いします!」
これから渋子はアイドルとしてデビューするためにダンスと歌のレッスンを受ける。
「ワン! ツー! ワン! ツー!」
渋子はダンスのレッスンを受けている。テレビやファンに披露するからにはダンス・レッスンは過酷なモノだった。
「厳しい!? もうダメかも!?」
ハードなダンス・レッスンに渋子は夢を諦めそうになる。
「頑張らなくっちゃ! やっと! やっと! 私の夢だった、アイドルになれるんだから!」
渋子はアイドルになるという夢を叶えるために必死に踊り続ける。
「ふう~疲れた。あれ? センターの田前さんがいないわ? そういえばダンスの先生もいない?」
休憩中に渋子は田前とダンスの先生がいないことに気がついた。
「田前さんはダンスの先生と特別レッスンよ。」
「そうなんですね。センターって、大変なんですね。」
渋子は純粋に田前がダンスの先生と特別レッスンをしていると思った。
「アアアアアー!」
次は渋子は歌のレッスンに移る。
「あれ? また田前さんがいないんですね?」
「田前さんは歌の先生と特別レッスンよ。」
「そっか、センターをやってるトップアイドルは特別レッスンを受けないといけないぐらい大変なんだわ。」
渋子は人気トップアイドルグループのセンターを務める田前がすごく努力していると思っていた。
「今日のゲストはPTA48のみなさんです!」
「よろしくお願いします! 私たち! PTA48です!」
颯爽と音楽番組に現れるPTA48。
「今日は新人さんもいるんですね!」
「はい! 第10期生の渋子です! 夢はアイドルになることでした! たったの3日で私は夢を叶えちゃったんです! エヘッ!」
「すごいですね! それではお時間ですので、新曲を歌ってもらいましょう。PTA48で、恋するポイズンクッキーです!」
音楽番組は時間との戦いである。直ぐに歌を歌うことを強要される。
「恋するポイズンクッキー! 食べたら死んじゃうよ! ゲロゲロ! ゲロゲロ!」
(私! アイドルになれたんだわ! やったー! 私はアイドルになれたんだ!)
汚れ切った体で渋子はアイドルになる夢を叶え、華々しいアイドルのステージの端っこに立った。
つづく。
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