第4話 渋子アイドルになる
「渋子です! アイドルになりたくて富士の樹海から出てきました!」
渋子は東京にやって来た初日からキャバクラで働いている。
「へえ、そうなんだ。渋子ちゃんはラッキーだね。俺たちは芸能関係の仕事をしているんだよ。」
「そうなんですか!」
「俺たちが直ぐにアイドルにしてあげるよ。」
「本当ですか! やったー! ちょっとトイレに行ってきますね。」
田舎者の渋子は客のオッサンたちの言葉を信じて、自分はアイドルになれると幸せだった。
「ちょろい!? なんて田舎者なんだ!?」
「あれなら酒代のツケ漬けにしなくても、簡単にAVが撮影できるぞ!?」
「あそこまで純粋だと可哀そうだな。」
お客さんたちの手口はキャバ嬢やホステスを酒のツケで借金漬けにして、きれいであればAV女優、汚ければ風俗やデリヘル嬢にする。もちろんお店やスカウトなんかと全員がグルである。ということで「キャバクラぐらいなら働いても大丈夫かな?」は間違いである。
「目・・・・・・目が回る!?」
お酒を飲まされ続けた渋子はぐでんぐでんに酔っぱらっている。
「おい、スカウト。明日、撮影するから今夜一晩で仕込んでおけよ。」
「はい! お任せください! 今夜は楽しみだ!」
お客のオッサンたちは帰って行く。
「はい。渋子ちゃん、お家に運んであげようね。」
「おえー!? 吐き気が!?」
渋子は意識のないまま、スカウトのチャラい男と一晩中過ごす。
「コケコッコー!」
朝になる。
「あ、頭が痛い。」
「大丈夫? 渋子ちゃん。」
渋子は二日酔いで、まったく動けない。
「はい、渋子ちゃん。これからアイドルになるために写真やビデオの撮影会があるからね。がんばって、撮影現場に行こうね。」
「あ、アイドル!? う、う、う、頭が割れそうだ!?」
渋子はスカウトのチャラい男に担がれてタクシーに乗せられ撮影現場に行く。
「渋子ちゃん入りました。」
「よろしくお願いします! おえー!? 気持ち悪い!?」
「はい! さっさとメイクして! 衣装も着替えさせて!」
あっという間に渋子は清楚な純粋メイクと衣装を着せられた。
「あ、アイドルだ! 私、アイドルになれたのね! お、お、お酒を飲み過ぎた!?」
「はい! 渋子ちゃん! 笑って!」
「ニコッ。」
渋子は二日酔いながらも、自分はアイドルだから頑張らないと笑顔を作る。
「よし! 本番! 撮影するぞ! 男優さん入って!」
こうして渋子の意思は関係なく、抵抗もできない状態で映像が撮影され、アイドルAV女優の誕生である。
つづく。
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