色付く宇宙と船長達
西風遥
第1話
船と船長(キャプテン)との関係
1-1 : 色のついてない宇宙はどんなところか
この銀河は辺境だ。
ど田舎である。
人口密集宙域から来たものが居たら、こう言うだろう。
「ここ、何にもないね‼︎」
ビックリマーク付きの、思いっきり素の感想で、なんの悪意もなく、そう言われる。
我々、銀河系の住人としては当然反論が出るだろう。
そんなことはない。恒星も惑星も、小惑星も有るしブラックホールだってそれなりにある。普通の円盤型銀河だろう、と。
そうすると密集域から来たものは、おかしそうに笑ってこう言うのだ
「だってここの宇宙、『色』が付いてないじゃない」と。
驚かないで聞いてほしい。
「普通の宇宙には色が付いている」のだ。
カラフルに、オーロラが流れるように様々な色が空間を踊り、大きな流れを作り、渦巻き、星々と銀河の間を彩っているものなのだ、普通は。
それらは真空の基底状態の奥から滲み出る高次元エネルギーのさざなみだ。
無に見える虚空が秘める大きな力の影。
エーテルと呼ばれるそれらが宇宙を彩り、星々に息吹を注ぎ、渦を巻き、銀河を回し、銀河団の螺旋を綴るみなもとなのだと。
真っ黒なんてのは何もないと同意義だ。
わかりやすく例えるなら、我々のこの銀河は「砂漠の中の辺境の村」だ。
そこに住む民は大河を想像出来ない。
汲んでも尽きない水が、蕩々と流れ。雲を作り森を育み、あたりの全てが命に満ち溢れる世界があることをわからない。
世界は砂で出来ている、植物は滅多に生えない、世界は大きな虚だ。そう思いこんでいる。
そう言う事なのだ。
だから怒らないで聞いてほしい。
この銀河はど田舎だ。
大抵の銀河は色が付いた宇宙に浮かんでいる。
ーーーそこには「キャプテン」だって沢山いるのだ。
色付く宇宙と船長達 西風遥 @nisikazeyou
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