第16話 切り札

 山下からの録音データを送って貰った。


 ついに彼女を追い詰める【切り札】を手に入れた。

 その足で俺たちは彼女とセレブ御曹司 一條ヒカルの婚約パーティが行われるクルーザーに乗り込んだ。


「マジで大丈夫なのかよ❓」

 甲板につくと珍しくヒデが心配していた。


「ドレスコードがあるのにパン君、何そのカッコは」

 目映まばゆいドレスで着飾ったクリスがヒデをけなした。


「はァ~、パン君じゃねェよ。俺は❗」


「いいから行くぞ」

 今さら引くに引けない。


 豪華な船上パーティの真っ最中だ。

 六人部むとべキララもまるで女優のように美しいドレスを身にまとっていた。

 まさに、お似合いのカップルと言えよう。


 司会者が婚約者二人を紹介した。


「これより一條ヒカルさん、六人部むとべキララさんの婚約を祝し乾杯を行います」

「ヒュ~ヒュ~😆🎶✨」友人らから歓声が飛んだ。


「ちょっと待ったァ~~ー❗」

 そこへ俺は颯爽と登場した。

 何しろビジュアル系だ。派手な登場には慣れている。


「だッ、誰だ……」一斉に注目の的だ。


「うゥ、あなたは❓」キララも唖然だ。

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