第2話 悲劇は突然に……

 何の前触れもなくは突然、もたらされた。




 その朝、俺が寝室のベッドで寝ているとインターフォンが鳴り響く。



「ッるせェ~な。ッたく

 解かったよ。起きれば良いンだろ」

 何度も鳴らされるので仕方なくテレビドアフォンの画面で確認するとバンドメンバーのヒデが映った。



『シンゴ君❗ 俺ェ~❗ 早く開けてェ』

 いきなり真っ赤なモヒカン髪型ヘアをしたサルヅラのヒデが映り怒鳴っている。



「うゥン」

 直接、家まで来るとはかなり緊急なのだろうがわずらわしい。 



「何だよ。ヒデか。

 営業時間は正午からになってるンでよろしくゥ~」

 適当にあしらった。



『ちょッ、ちょっとォ~! シンゴ君❗

 待ってよォ~! 大変なんだよォ❗

 ドアを開けてェ❗』

 ヒデは無理やりドアノブをガチャガチャ回そうとした。



「ン…… どうした。

 どっかの風俗嬢に性病でも感染うつされたのか❓ 病院行けよ」



『そんなンじゃねぇ~よ❗ とにかく開けてくれェ❗ 早くゥ❗』

 今度はドアをドンドン叩いてきた。



 全く近所迷惑なヤツだ。どうせ大した用でもないだろう。




「なんだ。飼育員のおじさんがバナナをくれないのか」


『動物園のチンパンジーじゃねぇ~ッて❗

 死んだンだよォ~』




「はァ、死んだァ~ー❓」

 この時は、まだ事の重大さに気づいていなかった。

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