Ⅲ ライバル
「アズじゃないか!お前もここか?」
入ってきたのは身長はやや低め、淡いグリーンで首の半分ほどの長さのややクセ毛がある髪。
瞳は深いブルーで、瞳孔の中にも光がある。
「ああ。一発合格だ!リウィルスも合格したんだな。」
「え?あ、うん。」
ホントはスカウトなんだけどね、とボソッと呟く。
「んじゃ、感動の再会はそのくらいにしといて、これ着ろ。お前らのローブだ。」
僕ら入団して間もない新人は、ローブの長さが肩甲骨あたりまでとなる。
これは階級と関係してきて、上がっていくとともに長くなったり、洒落てきたりする。
「よし、お前らに最初の任務を任せる。この村でひどい干ばつが起こっているらしい。どうにかしてやってくれ。」
「……え?」
「大丈夫!新人はまずそんな仕事だから!」
ラクセルが途中で口をはさむので、クロは
「嫌なら、
クロのあまりの剣幕に、カイルとアズは小さくなってしまう。
『なかなかここの団長は厳しそうだな…。って、どこも同じことか。』
大人しくしなければ、さっきのラクセル先輩の様に
そう思うと、背筋が震えてどうしようもない。
「この村はここだ。国の南方の外れにあるラシャ村。紛争の現場となったために、食料不足、そんでもって負傷者はわんさかいる。だから、救護隊に来て欲しいとさ。んじゃ、今から行ってきてくれ。」
「了解しました!」
カイルとアズはクロの恐ろしさを知ったうえで、逆鱗に触れないよう大人しく従った。
「ラシャ村はここから30分ぐらいだ。魔力も結構消費するだろうから、ランスを連れてけ。」
「ランス?」
クロはアジトを出て、裏に入る。
そこには小屋があり、なにか物騒な音が聞こえている。
「ランス!ちょっと出て来い!」
クロが叫ぶと、小屋からは長い髪をポニーテールで結んだ、アズと同じくらいの身長の女性、いや、女の子が出てきた。
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