前のエピソード――日本における部活動のあり方も変えていかないとな

　さて、今年の文化祭は俺たち3年生は文化祭の時の特別教室の使用許可申請方法などの引継ぎがメインで織田君たちを中心にクリスマスに発売予定の対戦格闘ゲーム”レジェンドファイターズ”などの体験デモソフトを用意し実際にゲーム大会も開催してかなり盛り上がった。

　元々今年は俺自身はゲームのプログラミング製作などはほとんどやっておらず企画を誰かに投げるにとどまっていることが多かったので、引き継ぎもスムーズに終わった。

「これで高校の部活動からは引退か。

　まあライジングの仕事であるゲーム制作自体をやめるわけじゃないけどなんか感慨深いな」

　俺がそういうと北条先輩がうなずいた。

「そうですわね。

　内部向けで一部でしか盛り上がりのなかったこの学校の文化祭もすっかり有名になりましたし、体育会系の部活動の成績も向上して野球部が甲子園の優勝常連となったことで入学希望者も大幅に増えました。

　すべてあなたのおかげです」

「まあ、そこまで大したことはしてないけどな」

　実際にこう言ったことができたのは伊邪那美様の加護によるところが大きいわけだし。

　それはともかく来月10月19日におこるニューヨーク株式市場が大暴落するブラックマンデーによる、世界同時株安に陥るはずだが、原因となったプラザ合意からのルーブル合意が起こっていないので回避できるかもしれないが、1980年代初頭の米国の双子の赤字問題にともなうドル安に伴う悪性インフレの懸念と、金融工学とコンピュータープログラムでの自動売買システムが原因であれば回避できないかもしれない。

　いずれにせよアメリカが発生原因だと俺にはどうしようもないので日本政府が適度に金融政策の緩和を行うように促すしかないけどな。

　もっとも株価が馬鹿みたいに上がり続けてバブルになるよりはある程度のところで止まってくれた方が好ましいとも思うのだが。

　それよりも1987年12月17日11時8分17秒に千葉県房総半島、茂原の南東の九十九里浜付近を震源として発生した地震である千葉県東方沖地震の対策をそろそろ本格的に行うべきだろう。

　震源は海中だが幸い津波被害が発生しなかったのでそこまで大きな被害ではないがそれでも死者2名、重傷26名、軽傷118名、建物全壊16棟、半壊102棟、一部破損6万3692棟、火災3棟と死者が出ていてこれは関東大震災以来であったりもする。

　”前”では、各市町村に自動計測機器（計測震度計）が設置されていなかった為、最大震度5とされているが、震源地に近い自治体では、震度6弱以上の揺れを観測していた可能性も高い。

　地震のマグニチュードは6.7なのでそこまで大きいとも言えないが、平成16年（2004年）10月23日17時56分、新潟県中越地方を震源として発生した新潟県中越地震はM6.8で、1995年の兵庫県南部地震（阪神・淡路大震災）以来、当時観測史上2回目の最大震度7を記録していたりもするからな。

　この地震の死者などが少なかったのは千葉県東部の外房がまだド田舎で大きな団地やマンションを含む住宅密集地が少なく、阪神淡路大震災で大きな被害を出した、日本瓦を使い、基礎が石に柱を載せただけで、筋交いの少ない老朽化したバラック的な木造住宅も少なかったことが大きいと思うが、それゆえに地震のリスクを甘く見るようになってしまったようにも思う。

　それはともかくとして実験的に仮設住宅としてドームハウスを設置する手はずは整えておきたい所だ。

　幸いジオデシック・ドームのドームハウスを作れる住宅メーカーの買収は終わっているし谷津遊園のキャンプ場に設置したドームハウスも割と人気で、居住性に問題がないのは証明できているし、建物全壊16棟、半壊102棟に対してならおそらく対応もできるだろう。

　負傷者を減らすために地震が起きたら石灯籠やブロック塀、自動販売機、タンスなどから即座にはなれる、屋根瓦などの落下やがけ崩れなどにも注意するようにテレビや新聞で広報に努めて防災意識を持たせるようにしてみた。

　ちょうど9月1日は防災の日だからそれなりに意義はあったと思う。

　ただ関東では長い間大きな地震が起きていないのでどの程度効果があるのかは正直わからないけどな。