うちの学校の野球部の谷津ライジングマリナーズもどちらも順調なようだ

 6月13日 - 広島カーズの絹漉祥雄選手が連続試合出場2131の世界新記録を樹立し、連続試合出場記録は87年10月22日の引退2215試合まで続いた。


 さて、4月4日の第59回選抜高等学校野球大会の決勝戦ではうちの学校がPN学園を破って優勝し、4月10日より開幕したプロ野球のパ・リーグではロバート・ジャン・バレンタイン監督率いる谷津ライジングマリナーズは西武ライオネルズに次ぐ2位の好成績で今の所優勝も視野に入っているといえる。


 バレンタイン監督は彼自身が現役時代に怪我で苦しんだ経験もあり、選手の故障・酷使にはとても敏感で、どんなに好調な選手であっても体調管理を選手自身の判断に任せず、一定間隔で休養をとらせており、特に投手陣にいたっては、必ず5人 - 6人で先発ローテーションを組み、投球数にも制限を設けることで肩や肘の負担を最小限に抑えている。


 広島の鉄人絹漉選手の連続試合出場はたしかにすごいが怪我をしても試合へ出る事がいいことなのかと思うけど。


 そして大胆な若手選手の先発起用、ほぼ全てのポジションに複数の選手を充て競争意識を高めつつ適度に休養を取らせ、投手起用において、大差がついた試合の敗戦処理を若手投手にさせず、また僅差の試合で若手投手を救援に用いることもなく”若手に敗戦処理をさせても意味がなく、僅差の試合で打たれて負けることは、これから伸び行く若手にとって悪影響を与える”という持論のもと、どちらもベテラン投手を起用することが多いようだが、そういったやり方は正しいと思う。


「谷津ライジングマリナーズが優勝してくれれば嬉しいけど、とりあえずはAクラスに入れば十分かな」


 俺がそう言うと北条先輩がうなずいた。


「ええ、谷津球場での試合開催とともに谷津遊園の入場者数も伸びていますから良いことだと思いますわ」


 しかし豊臣さんの言葉は結構厳しい。


「宮城球場時代や川崎球場時代の12球団最弱で最低レベルの観客動員数のイメージを払拭するためにユニフォーム・球団旗・ペットマーク・マスコットをすべて一新したこともあって、現状では黒字にはなりませんが……」


 俺はその言葉に苦笑して返す。


「まあ、仕方ないよ。

 観客動員数は悪くないでしょ」


 俺の言葉に豊臣さんはうなずいた。


「まあ、今の所は千葉県唯一のプロ野球球団ということもあって、今の所、観客動員数は順調ですね。

 川崎の場合は横浜と後楽園や神宮球場の間ということもあって観客動員数にはだいぶ苦労していたようですが、今年は130万人を達成できる見込みです」


「とはいえいずれ北海道に本拠地を移転するつもりではあるし、東北や九州、できれば四国にもプロ野球球団があればいいと思うけど……できれば千葉に本拠地がある球団は残ってほしくはあるよな」


「ならば無理にライジングの球団を移転させる必要もないとは思いますが……ファンの獲得という面では広島と愛知に本拠地があるセ・リーグより、近畿圏にチームが固まりすぎているパ・リーグのほうがチームを分散したほうが良い気はしますね」


「そうだよな。

 昭和50年(1975年)にはパ・リーグの観客動員数はセ・リーグの約3分の1にまで落ち込んだ事もあったらしいからその当時に比べればだいぶましにはなったみたいだけど、関西の人気は阪神タイタンズばかりだからね。

 首都圏でも読売ガイアンツの人気が突出しているけど、西武ライオネルズにスター選手が入って、本拠地がちょっと離れた埼玉であることが西武ライオネルズ人気を作り上げている理由だからね。

 地元のファンを作り上げるのはやっぱり大事だよ」


 俺がそう言うと北条先輩が言った。


「そうしますと日本ハムウォーリアーズに北海道へ移転してもらうのが良いかもしれませんわね」


 俺はその言葉にうなずいた。


「あっちが納得してくれるならその方がいいだろうね。

 読売ガイアンツと本拠地が一緒っていうのはやっぱりきついと思うよ。

 まあ他のパ・リーグ球団が地方に本拠地を移したくなるようにうちがまずは見本を示さないと駄目だと思うし、何より結果を残さないと駄目だとは思うけどね」


 いくら他の球団がすぐ近くにいないとは言え弱ければ応援する気にはなかなかならないだろうし、やはり結果を残すのは大事だ。


 金に糸目をつけない選手補強もやって居るし、データ野球も取り入れている。


 ただ、森田監督の西部ライオネルズは投打ともに戦力が充実していて特に投手陣の豊富さでは他の球団の追随を許さない状態だったりもするからいきなり優勝は厳しいかもしれない。


 けど千葉県や習志野市、それに地元ファンらと一体になって球団を盛り上げて行きたいものだ。


「でもバレンタイン監督を起用する本当の結果が出てくるのは気温が上がって厳しくなる夏場からだと思うよ」


 俺がそう言うと北条先輩がうなずいた。


「そうであってほしいものですね」


 日本の湿度も高い夏の暑さの厳しさというのは思っている以上に選手を消耗させているはずだからその時期に選手を消耗させない采配の意味が出てくるはずだ。

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