この年まで予防接種などの針を使いまわしている日本は医療先進国と言えるのか
さて、日本では昭和30年(1955年)に天然痘は根絶と世界的に見れば比較的早く対処され、ポリオについても野生株による麻痺性ポリオ患者の発生は、昭和55年(1980年)を最後に見られないというこちらも比較的早く対処し終えているという意味では医療先進国に見える。
これは昭和23年(1948年)に国は伝染の恐れのある疾病の発生やそのまん延を予防するために予防接種法を定めて、全ての国民・住民に予防接種を義務付け違反者に対しては罰則もあったことで達成できたことだ。
しかし、その予防接種において国は注射器の使い回しの危険性を知っていて、実際に欧米諸国では1940年代から1950年代にかけて、すでに被接種者ごとの注射器の交換が推奨されるなどしていたほか、国内文献においても予防接種を行う際には注射器の針や筒の使い回しによる連続使用によってB型肝炎へ感染する危険性が指摘され、昭和23年(1948年)には、注射器の使い回しによるB型肝炎の危険性を認識し、昭和28年(1953年)には、WHOから注射針・注射筒の使い回しをやめるよう勧告を受けていた。
しかしながら、実際には集団予防接種の現場において注射器の針や筒の交換が徹底されることはなく、昭和63年(1988年)に指示を出す間の約40年間も使い回しを放置し続けた。
それによりB型肝炎感染被害の拡大は放置され続け、その結果、日本におけるB型肝炎感染者数150万人という数字になり、そのうち集団予防接種などにより直接的な感染被害を受けた人数は40万人から50万と言われているがこの数字そのものが低く抑えられている可能性も高い。
70年代半ば頃に、ようやく使い捨てのプラスチック製注射器が現れ、80年代後半に安価になって普及する以前は、ガラス製の物を洗浄し煮沸消毒などをして再利用していたがそれはかなり手間がかかるため面倒になって使い回すことが多かったのだ。
しかし、静脈注射の場合は血液が微量ながら注射筒の中に逆流するので注射筒を徹底的に殺菌しなければいけなかった。
またその他の感染源としては不衛生なピアッサーやタトゥーの針などもあると言われている。
それはともかく国は予防接種の安全性よりも効率性を重視し、厚生省の中でも情報が共有されず、注射器の針や筒の連続使用による危険性に対する意識がばらばらの状態で訴訟を起こされるまでまともに対処せず、訴訟を起こされてからようやく予防接種においては使い捨ての注射器を徹底して使うように指導した。
厚生省は長い間その責任を認めず平成元年(1989年)に5人の被害者が札幌地方裁判所に裁判を起こして始まった訴訟は平成18年(2006年)に最高裁判所がB型肝炎ウイルスに感染した原因は、国が実施した集団予防接種にあるとして、国の責任を認めたが、国は札幌の原告5人以外の患者に対しては全く責任はないとして、救済を拒み、札幌の被害者や弁護団が全国に呼びかけて、全国10の地方裁判所に集団訴訟を起こし、平成23年(2011年)にようやく国は責任を認め、被害救済のために「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が定められて、平成24年(2012年)に施行された。
それとはまた別に”前”ではミドリクロスが昭和39年(1964年)から製造販売し、昭和52年(1977年)にアメリカ食品医薬品局がB型肝炎感染の危険性やフィブリノゲン製剤の臨床効果が疑わしいこと、代替治療の存在などを理由として、フィブリノゲン製剤の承認を取り消したが、昭和60年(1985年)にミドリクロスが厚生省に変更申請を出さないまま、ウイルス不活化法を無断で変更したが輸入販売が承認された。
しかし、今年昭和62年(1987年)1月に厚生省がフィブリノゲン製剤による肝炎感染症例を把握し、青森県三沢市の産婦人科医院における非加熱フィブリノゲン製剤による集団感染発生について、調査を開始し、4月20日にミドリクロスが非加熱フィブリノゲン製剤を自主回収したが薬害肝炎が発生した後であった。
まあミドリクロスの方は薬害エイズの防露関係で被害者はだいぶ減っているはずだが。
そしてちょっと遅すぎるかもしれないがそういった予防接種などの注射器の使い回しが今でもされている実状とその危険性について新聞とテレビで報道することにした。
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伊邪那美がいつものように関係者を地獄に叩き落とそうか考えていたが今回は薬害エイズでHIVウイルス入りの血の池地獄に落とされたものはまた地獄行きは嫌だと早急に、使い捨て注射器の使用の徹底とそれを破った場合の罰則を定め、肝炎被害者に対する対処を決定したため、肝炎ウィルスの付着した針山を延々と登り降りさせられることはなかった。
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今回はめずらしく厚生省が早く対応したがもともと予防接種による肝炎被害については把握していたのだろう。
普通なら自分の保身のためマスコミや御用学者を接待したりなどして知らなかったことにして、なんとしても責任を認めないはずだが、そういったことは通じないとようやくわかって来たらしい。
役所の体質が変わってきたのはいい傾向じゃないかな。
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