日三自動車の復活には技術開発と並行して日三独自のコンセプトを確立し、その魅力を伝える努力が必要だ

 さて、日本の将来の少子化や人口減少をふせぐためには安定した雇用はやはり必要だと思う。


 そういった意味で最も多くの雇用を保持できるだろう工場を多数持っている日三自動車の再生はとても大事だ。


 電器メーカーも東京四洋電機だけでなく本体の四洋電機やシャープナーなども買収を進めたいと思っているが、日本の将来の少子化や人口減少をふせぐためには、製造業の安定した雇用はやはり必要だと思う。


 そういった意味で最も多くの雇用を保持できるだろう日三自動車の再生はとても大事だ。


 実際に”前”でも名古屋や広島などの自動車メーカーの城下町と言われる地域は比較的安定している。


 現状では三点保持で事故時に体へのダメージが少なくなる安全なシートベルトやエアバック、後部座席へのチャイルドシートなどの標準装備などによる衝突安全性、人間工学に基づいた疲労しにくく快適な運転座席の設計、アクセルとブレーキの踏み間違え対策、雨の日などは特に大事になるだろうアンチロックブレーキシステム、カーナビゲーションシステムの搭載などを、最新で高級なフラッグシップモデルにのみ採用するのではなく、ボトムグレードまで分け隔てなく採用し、安全で快適かつ便利な乗用車をアピールして販売台数を増やそうとしている。


 それにより経営者、会社役員、政治家などに利用されるようになっていけば万々歳だ。


 そして、今までの縦割りで派閥が幅を利かせていた日三の社内も柔軟な人材登用策による人材多様性ダイバーシティも導入しようとしているが、その成果は今後徐々に出てくると思う。


 ”前”の次世代自動運転のプログラムの開発で、あるアメリカの女性プログラマーがきわめて重要な役割を果たし、その女性は大変な才能の持ち主であったが、シングルマザーで、1人で子育てをしながら仕事をするのは大変なことであったらしい。


 その女性プログラマーに対して子どもの送り迎えや買い物、また休日の子どものスポーツや行楽の手助けなどまでやって、彼女が仕事で最高のパフォーマンスを出せるようにするための最大限の補佐を行った。


 女性を活躍できるようにするということであればそこまでするというのも必要だろう。


 そして日三自動車を再生するには優れた技術の開発も必要だが、一番大事なのはユーザーの声を拾い上げて、ユーザー好みの車を作っていますよという積極的なアピールだと思う。


 日三自動車の何が駄目なのかと言えば、作る側が”良いものを作れば売れるでしょ?”と考えているのだがそのいいものという基準が60年代、70年代から変わっていないことだと思う。


 もともと技術を売りにしていたのは日三とそれに吸収合併されてしまった王子自動だが、3万kmまで無給油のノングリースアップシャシーと、4万kmまで保証の封印エンジンという、画期的なメンテナンスフリーを打ち出して話題となった。


 そういったメンテナンスフリーや故障の少なさ、安定した高速走行を得意とすることによって、警察車両や救急車両、医者の往診に愛用され、技術力の高さは70年代までは間違いなく大きなアドバンテージであったが、80年代にはそれは日本の自動車メーカーでは当たり前のことになってしまった。


 また70年代だと日本の道路はまだまだ舗装率が低かったから泥をかぶることも多く、それへの対応が大変ではあったが、80年代には舗装率も高まってそれに対する対応もそこまで苦労するものではなくなった。


 そして技術の日三の名前が霞んできたのはHANNDAなどの猛追によるもので、HANNDAがF1へ参戦されF1熱がヒートアップするにともない、ラリーでの日三車の活躍も霞んでしまった。


 さらにマズダはロータリーエンジンで特徴を出している。


 それに比べると故障率の低さなどのアドバンテージを失った日三はマーケティングで豊畑に圧倒的に負けている。


 そして燃費の悪い車が多いのも弱点だ。


 だからこそ男性向けには外観を格好よくし、運転すれば車両との一体感が得られて運転の楽しさを満喫できるようにしていき、女性向けには室内の広さや燃費の良さなどの実用性をちゃんとアピールしていかなければならない。


 富裕層や政治家、企業の公用車などに必要な高級車には高級車なりの、男性向けセダンには男性向けセダンなりの、女性向けミニバンには女性向けミニバンなりの明確なコンセプトというものが必要だろう。


 そしてGTRのようなスポーツカーの部門でももっとその魅力を押しだしていくべきだろう。


 そしてディーラーについても試乗や点検などに行っても待っている間の応接サービスとして無料でドリンクを出したり、洗車したり、小さい子供が遊べる一角を作ったり、特に女性用トイレをきれいにしておいたりなどの特別感やおもてなし感を大事にしておくべきだろう。


 ディーラーは製造業ではなくサービス業であると考えれば、むしろ俺達はそういったノウハウは十分あるしな。


 ディーラーへのそういったことを可能にする資金投入をし、様々なシミュレーション検証をするために必要なスパコン購入なども進めて、技術もカネもあるのにダメな感じがする日三のイメージを払拭していこう。


 豊畑のように販売成績が優秀なものが望めば高級車を与えたりして販売意欲を向上させるのも大事だろうな。


 無論売っているものが乗りたいという気持ちにさせる必要はあるが。

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