結局少子化を防ごうとすれば雇用の安定は絶対必要だな

 さて、俺が高校1年生からゲーム開発を始めたのは、この80年代において元手がかからずに金を稼ぐ手段として最も優れているものだからで、2000年代のTCGやソシャゲも開発元は利益率が40%から50%出るのが普通であるからゲームビジネス自体はかなり儲かるのは間違いない。


 ただし、80年代のホムコンソフトは問屋やオモチャ屋の利益もかなり出ていたが、ソシャゲの場合は儲かるのはスマホのOSを提供しているグルグルやパイナップルで、TCGの小売りはあまり儲からない状態になっていたりするから、スマホとそのOSも事前に押さえておきたいが。


 ただ金を得ることはただの手段でしかなく目的ではない。


 あくまでも俺の目的は伊邪那美様に言われている日本の急激な少子化や人口減少を防ぐ事だ。


 そしてそれは日本の雇用の安定と社会保障制度の崩壊を防ぐ事で、日本全体に蔓延していた不安感を解消し、安心して子供を生み育てる事ができる社会にする必要がある。


 実際の所それらを直接的に管轄するのは本来、政治や行政の管轄だと思うけどな……。


 それはともかく日本列島の歴史を見てみれば、人口増加の停滞や減少に至った場面は4度あると言われる。


 一番古い時期が縄文時代の中期から後期で、縄文時代早期には2万人前後だった人口は最大26万人ほどにまで増えたが、約7300年前に鬼界カルデラの噴火でまず西日本が壊滅的になり、その後約4200年前に世界的な寒冷化が起こって、縄文文明を支えていたクリの栽培やクルミ、ナラ、トチの実などのどんぐりの採取が困難になったことで東北の集団は人口維持が不可能になり8万人ほどにまで減ってしまった。


 その後、稲の水耕栽培技術が大陸から渡ってきたことで人口は増え続けたが、平安時代中期からの中央朝廷の衰退に加えて、耕地の開発にブレーキがかかって、遣唐使の廃止により大陸の技術が入ってこなかったこともあって、技術的な開墾可能な場所の限界もあって人口増加は停滞し、今度は温暖化による干ばつの多発による大規模な飢饉、仏教における末法思想の蔓延などもあって 未来に失望する停滞ムードに包まれ、人口停滞を招き人口が700万人から600万人に減少した。


 その次は江戸時代の中期から幕末でこの時もいわゆる鎖国政策による技術の停滞による田畑の面積の増加が止まり3200万人という人口以上には増える事はできず、農村においても晩婚化が進んだこともあって、生涯出生数は平均で5人だが最終的には5人生んだとしても、1人の男子の跡取りを残せるかどうか、微妙なところだったという理由もある。


 で、1980年代から2020年代の少子化・人口停滞からの人口減少の理由だがまずは単純に労働力の必要性から人口を維持できる力の限界が来たのだと思う。


 明治5年(1872年)年の日本の総人口は、およそ3500万人だったが、昭和11年(1936)年におよそ7000万人となり、昭和23年(1948)年に8000万人を超え昭和31年(1956年)には、9000万人を超え、昭和42年(1967年)には1億人を超えた。


 明治期は多産多死だったが、大正時代末期には出生率、死亡率が共に下がり始め、戦後には抗生物質やワクチンの発達、感染症での死亡率の劇的な低下があり、農薬や肥料の使用などによる農作物の病気や害虫による被害の減少、収量の増加などで食料の供給能力は上がった事が大きいだろう。


 しかし、給食でのパン食の開始による米離れが進むと70年代から減反政策が開始され、農林水産業や鉱業、軽工業から重工業そしてサービス業へ雇用の中心は変わってきた。


 ”前”でも人口自体はその後も増え続けて2008年の1億2,808万人まで増えたがその後は減少に転じた。


 そして少子化自体は70年代にはもう始まっている。


 それはともかく結局ある面積において必要とする労働力の数には上限があるということだろう。


 更に現状で銀行や証券などの金融業ではATMとコンピューターネットワーク化が進んでいるわけだが、今後はオフィスのOA化、生産工場の自動化も進むのに男女平等を名目に様々な分野での女性の社会進出も進むわけだから労働力の供給過剰も進むわけだ。


 とは言え2020年代の農業・漁業・林業・伝統工芸産業などの後継者不足は致命的な状態に至っていたから本当に思われていたほど労働力が過剰なのかというとそれも怪しいが。


 何れにせよ外国の安い労働力に期待して工場を海外に移転し、外国から実習生を呼んで安く働かせるのは根本的に日本という国全体の利益を考えれば馬鹿げている。


 外国に工場を作っても税金は入らないんだから日本政府にも無益だし、外国の工場で働く労働者は日本で消費をしてくれるわけでもない。


 畑中角栄が言った”ほかの国がみんな飢饉で困っておっても、まず、わが国だけは餓死者を出さない。みんなにメシを食わせる。これが政治にとって最大の課題になるわけだな”や”前俺の目標は、年寄りも孫も一緒に、楽しく暮らせる世の中をつくることなんだ”という言葉は至言だろう。


 もっとも結果的には彼の年金政策が年寄りと若者を分断させ、若者が食えない社会になったのは皮肉でもあるが。

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