今年の新入部員が無事入ったので俺達が引退しても問題はなさそうだ、人数も増えたし対戦格闘ゲームを作ろうか

 さて、4月になって新入生が入学し、それぞれの部活は新入部員の勧誘に精を出す季節だ。


 この学校の部活参加は強制ではないし、帰宅部も多いが部活へ参加するものはそれなりに目的や目標を持って入学してきたものは多い。


 むろんそれはプロスポーツ科の生徒が多いが、商業科の生徒などでも在学中でも部活を通して経営を学ぶというものも増えてきた。


 うちの学校ではバイトするのでも部活をするのでもあまり変わらないということでもあるな。


 ただ、ゲーム制作部はゲームハードの能力が上がるとゲーム制作に必要な人員が不足して存続は難しくなるかもしれない。


「今後ゲーム制作部で作るゲームは基本的にポケットサンシャインみたいな携帯ゲーム機のゲームだけって方向になっていくかもしれないな」


 俺がそう言うと北条先輩はうなずいていった。


「確かにサンシャインのゲームでも少人数かつ短期間での開発はかなり厳しくはなってきていますわね。

 サンシャイン2になるともっと厳しくなるでしょう」


 入学式の翌日の新入生歓迎会でのスピーチは今回も北条先輩に任せて、健康診断が終わった後の部活見学で、入部希望者の部試験を行い今年も部員を選抜した。


 で、面接結果だけどプログラム担当が男性の織田和正おだかずまさ君、柴田克秀しばたかつひで君、丹羽正英にわまさひで君の3人。


「これで今年に俺や島津さん、毛利さんが抜けても安心だな」


 それがそう言うと織田くんはふてぶてしく言った。


「ええ、先輩方の名を落とさないようにがんばりますよ」


 なかなかに頼もしいな。


 そしてプログラマーが増えれば今年のゲーム制作作業も楽になるだろう。


 会長のほうの採用は北条先輩の後任として期待されるのが豊臣和音とよとみかずねさん、そのサポートとして竹中雅子たけなかまさこさん、黒田下枝くろだしずえさん、石田光子いしだみつこさんの計4名が入部した。


「はじめまして豊臣和音です。

 経理とか財務とかの事務全般を引き継ぐことになりそうですが、皆さんよろしくおねがいします」


「この方には私の後任として頑張ってもらいます」


「北条先輩のメガネにかなったなら相当すごい人だろうし心強いね」


「竹中雅子です。

 渉外担当のサポート要因としてがんばりますね」


「黒田下枝です。

 財務・経理などのサポートをさせていただきます」


「石田光子です。

 商務・庶務をサポート担当することになると思いますので、今後よろしくおねがいします」


 シナリオ関係は男子の松永弾児まつながだんじ君。


「シミュレーションゲームのシナリオ担当の松永弾児です。

 これからよろしくおねがいします」


 グラフィック関係も2名採用。


 総合グラフィッカーの徳川雅美とくがわまさみさんと3Dレンダリング担当の松平佳代子まつだいらかよこさん。


 サウンド関係も1名採用で本田勝子ほんだかつこさん。


 これで俺たちが抜けたあとでもゲーム制作は問題なくできると思う。


 そしてファンタジースターの製作を開始した頃から企画自体は温めていた対戦ゲームの制作にも取りかかれそうだ。


「人数も増えたことだし俺達が引退する前に対戦ゲームの制作にも取り掛かろうか。

 プロレスや野球はメンシュが制作しているから、俺達はレースゲームや格闘ゲームで。

 レースゲームはライバル車に対し路上でアイテムを取得したり、それを使って妨害できたりで、基本的に対戦要素が強調されているバトルタイプレースゲームを作ってみよう」


 こういうタイプは後に大人気になるが現状ではまだないからな。


 俺がそう言うと織田くんがにやりと笑った。


「純粋なレースゲームだとニャムコがアーケードゲームで開発しているって噂ですけど、それは面白そうですね」


「で、現状だとコナミンのイー・アル・クンフーやカプコのストリートバトラーみたいなCPUと戦う格闘ゲームはあるけど、人間二人での対戦をメインにしたゲームはないからそれも作ろう」


 柴田くんがフッと笑って言った。


「それはたしかに面白そうですね」


  今年は俺達の高校生活におけるゲーム開発の総決算の年になると思うがうまくやらないと。


 そしてサンシャインやパソコンソフトで住人を増やしていくSLGの”シティシミュ”と住人が減って行くとインフラも消滅していくということがよく分かるSLGの”バニッシュメントシティ”の両方も俺が制作しているが、丹羽くんに手伝ってもらおうかな。

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