普段着和服をどんどん広めていかないとな、減っていく個人経営のおもちゃやもなんとかしては行きたいところだ

 さて、2月末ぐらいから始めた、俺が言いはじめて最上さんが中心になって進めた普段着和服のデザイン案もそれなりに数が出て実物が仕上がってきた。


「お、なかなか可愛いし、動きやすそうでいいんじゃないかな」


 俺がそう言うと最上さんは笑っていった。


「桃の子太郎討鬼伝説で、比較的動きやすい和服キャラは既に書いていましたからね」


「ああ、なるほど。

 もともと桃太郎の物語の形成されたのは室町時代のはずだし、衣服もそれに近いものだったからね」


「ええ、そういった時代の衣装を基にデザインしていましたからそんなに大変でもなかったですよ」


 そこへ北条先輩が報告を入れてくれた。


「本年度より三年生の服装はあまり華美だったり、奇抜なものではない限りは自由となりましたので、私達も和服を積極的に身につけて通学するのが良いでしょうね」


 俺はそれにうなずいて言う。


「なら男の服は大正時代の書生スタイルもありかな。

 袴のほうが動きやすくはあるしな」


 そして最上さんが言う。


「多少寒くても厚手のセルの着物であれば十分暖かいですしね」


 そして北条先輩が言う。


「木綿や化繊であれば家での洗濯も楽ですし悪くはないですわね」


「やっぱり手軽に洗えるっていうのは大事だよな」


「そして高校卒業後に短大や大学に進学するにしても、専門学校に行くにしても、就職するにしても女性は私服が普通になりますからこの一年で慣れておくべきでしょう」


 そして高校から大学に進学するとあまりにも自由なことが増えすぎるのもどうかと思うんだが。


「男は就職したらだいたいスーツで過ごせるからな。

 その点あんまり服について考えなくてもいいから楽だけど、女性はすごく大変だよな」


 俺がそう言うと北条先輩が苦笑していった。


「ええ、礼装でも女性は男性の衣服よりずっと大変ですからね」


 ウンウンうなずいて浅倉さんも言う。


「男ももう少し私服に気を使うべきです」


 それに対しては斎藤さんも同意のようだ。


「そうよね」


 本当女性は色々大変だし、私服通学が可能になっても結局は制服のまま来る生徒のほうが多いかもしれないが、まあそれならそれでも良い。


 まあこれで和服の高いとか、面倒くさい、ダサいみたいなイメージが変わってくれると良いのだが。


「タンスに死蔵されている着物の買い取りも順調ですわね。

 昭和初期の結構派手な着物などは今でも古臭い感じがしません」


「それなら谷津遊園なんかで着られるようにしても良いね」


「そうですわね」


 もともと60年代くらい、つまり20年くらい前までは庶民の家の中での普段着として着られていることも少なくはなかったらしいのだから、和服はハレの日の特別なときにだけ、もしくは特殊な職業の人だけ着るものという認識が変わっていけば良いのだが。


 そして陣天堂のおもちゃ問屋ネットワークをぶち壊してゲームショップやコンビニでのゲームハードやソフトを売り出した俺が言うのもなんだが、いわゆる個人経営の”おもちゃ屋”は今後どんどん減っていくことになる。


 その理由はまず少子化で子供が減ったことや量販店やスーパーなどでもおもちゃが販売されるようになり、トイザまスのような大型おもちゃ屋の出店もあったこと、ゲーム販売はゲーム専門店や家電量販店へ主流が移ったなどもあるし、”前”ではアメリカでは通販の密林でかんたんにおもちゃが買えるようになって、スマホで遊べるゲームなども増えたことでアメリカのトイザまスが倒産したように時代の変化もあるだろう。


 これは書籍も同様で電子書籍の普及率が高くなって大型書籍販売チェーン店が全て店舗閉鎖に追い込まれたりもしている。


 アメリカのレンタルビデオはもっと深刻でアメリカのテレビの9割はケーブルか衛星で、どれもVODサービスがついているためわざわざレンタルする必要がなかったり、地上波のTVドラマも視聴者の多くはネットで観ている状態なので、大手テレビ局とネット配信局の差がなくなっていったせいもあるし、DVDだと最低でも300本とか作らないと3千円で売っても採算が取れないので、マニアックな映画は商品化されにくいが、VODだと20人しか観なくても7ドルで配信できる、要は問屋などの流通による中抜が極限まで減ったとも言える。


 そういった事もあって”前”ではアメリカにおけるレンタルビデオの店舗は2020年頃にはほぼ消滅してしまった。


 また、アメリカの場合は基本車社会だがいちいちおもちゃを買ったり本を買ったりDVDを借りるのに車で店まで行くというのが面倒というのもあるのだろう。


 80年代はシンバルを叩くチンパンジーとかがおいてあって、まだままごとセットやぬいぐるみや人形、ドールハウス、アニメや特撮のキャラクターグッズ、野球盤や超合金やプラモデルにゲームなどのいろいろなものがある個人経営のオモチャ屋は結構残っているが、個人経営の書店と同様やはり厳しくなっていくと思う。


 売り場面積が小さいとどうしても品揃えがある程度売れそうなものだけになってしまい、魅力が薄くなるからな。


 ただ育児の観点から見てもおもちゃ屋というのは大事だと思う。


 積み木やブロックなどの組み合わせて組み立てるおもちゃは創造力、達成感を育みながら指先の器用さを鍛えるし、楽器や粘土遊び、お絵かき塗り絵などは芸術の才能を開花させることがある。


 そして子供がなにかに熱中していれば母親の負担はそれだけ小さくなる。


 まあ、幼児は何でもかんでも口に入れようとしたりもするからそのあたりは注意が必要ではあるが。


 おもちゃと一言にいっても、子どもの年齢ごとに必要とされるおもちゃの機能は変わり、ビデオゲームは基本的に小学生以上が対象のもので、親子が一緒にコミュニケーションを取るためのものではないが、生まれたばかりの赤ちゃんや保育園や幼稚園に幼児に必要なものも本当は必要だと思う。


 むしろお父さん・お母さんが赤ちゃんや幼児と一緒になっておもちゃなどを使って遊ぶことで、親子のふれあいの機会を増やしお互いの意思疎通ができるようにしていったほうが良いんだろう。


 おもちゃ屋には小学生や中学生、高校生が好きなおもちゃがたくさんあっても、知育に関してのおもちゃはおもちゃ屋にはなくそういうのはベビー用品店か雑貨屋の領分になってしまうことが多い。


 しかし、トイザまスにはベビーザまスもあるように乳幼児向けのおもちゃも豊富だ。


 そして日本の場合は現物を確かめてから買うという風潮がアメリカに比べてかなり強い。


 洋服などは特にその傾向が強いが実物を見ないと大きさが認識しづらいのは事実だな。


 知育玩具などで物を握ったり、つまんだり、重ねたり、穴などを通すというのは大人が思っている以上に難しいがそれが楽しければ子供も諦めずにやろうとするはずだ。


 そして書店でも童話などの絵本や漫画は大事だと思う。


 そうやっておもちゃを通じて根気や集中力、達成感を養っていくことも大事だと思う。


 JDSでは脳トレなどのソフトもたくさん発売されていたが、楽しみながらも何らかの知識を得られるとかも大事だと思うからタカイトクトイスでもそういった方面に手を広げていくべきだろう。

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