今年の夏の甲子園で女子ソフトの全国大会も行わせたいが難しいか

 さて、俺は男女が雇用や政治などで無原則に数で平等でなくてはいけないと言う考えには反対だが、明らかにそれ以前の問題で大きく差別されているようなものもどうかと思う。


 そしてスポーツの分野における男女の不平等はちょっと大きすぎると思う。


 女性プロスポーツが経営として成り立つかどうかはまた別として、そもそも学生時代に女性ができるスポーツに対する選択肢が男性に比べて極めて少ないというのは良いことではないと思う。


 女性でも活躍できるスポーツと言うとバレー、卓球、テニス、バドミントン、ゴルフ、柔道、レスリング、プロレス、マラソン、スピードスケート、新体操、フィギュアスケート、シンクロナイズドスイミング、スノーボード、後は競艇くらいか?


 この中でも純粋にプロとして女性が活躍できるのはテニスとゴルフ、競艇くらいだと思う。


 競艇は男女が入り混じって争っても必ずしも女性が大きく不利ではない珍しいスポーツだが、これは競艇においては体重の軽さがメリットになるからだな。


 そのあたりは競馬の騎手ともおおきく違う。


 そして日本においてサッカーはまだしも、野球に関しては完全に男のものとされている気がするのだ。


 一応”前”では2010年から女子プロ野球リーグが開幕しているが正直盛り上がっているとは言い難いのも事実。


 ただこれは男女の身体能力などを考えると、やはり見応えなどで大きく見劣りするというのはあると思う。


 アメリカでは昭和47年(1972年)に男女教育機会均等法案がアメリカ合衆国議会で可決されたことで、アメリカ合衆国の女子スポーツは大きく発展している。


 この法案では、


 入学者数にほぼ比例させてスポーツに参加する機会を与える。

 過小評価されている性別の側がスポーツを行う機会を継続的に増やしていることを示す。

 過小評価されている性別の側の関心や能力に対応する。


 というもので学校側は3つの解釈の内1つのみ遵守しなければならなかったが、多くの学校は最初の解釈に従って法律を遵守しようとした結果、悪平等がはびこって教育省が望まない形で法案遵守が達成される結果となった。


 本来重要なのは最後の”過小評価されている性別の側の関心や能力に対応する”というものだと思うのだが。


 とは言えそれまでは女は応援していればいいという風潮が強かった米国において、全年齢における女性のスポーツへの参加を増やすこととなり、学内スポーツでは性差をなくして競技を実施している事もあって、アメリカはオリンピックの女子スポーツ競技における先進国の地位を保ち続けることに成功している。


 ソ連などの共産主義国家が女子スポーツを含む多くのオリンピック競技でメダルを独占したのも、国家がスポンサーについたスポーツ強化策が採用されていたためであったから、国がきちんと支援をするというのは大事なのだ。


 笹川スポーツ財団ではスポーツ振興を進めていて、プロスポーツ選手が現役時代も引退後も、社会とつながり活躍できる仕組みを作り広げていくために、そういったアスリートの声を集めて活動をしている。


 俺は北条先輩と相談してみることにした。


「今年の夏に甲子園でソフトボールの全国大会をやりたいですか?」


「うん、日本だとスポーツは男のやるもの、女は応援だけをしていればいいっていう風潮が強いからね。

 そういった考えをぶち壊していきたい」


「とは言え8月には高校のインターハイがありますが」


「あ、そうか……」


「まあそちらの中継をテレビto-kyoで行うということにすればよいのではありませんか。

 甲子園の方はアカヒのチャンネルを使えばよいでしょうし」


「できれば甲子園並に目立つようにはしていきたいけどな。

 女の子にとってもスポーツで夢を見られるようにしていきたいし」


「すぐには難しいでしょうね。

 もともと女子プロスポーツがビジネスとして成立しにくい理由は男性との純粋な身体能力の差がありますし。

 スピード感や非凡な身体能力、選手同士のぶつかり合いというものを見ると、どうしても女性は男性に比べて水準が下がって見えてしまうでしょう」


「たしかにプロレスとか柔道、レスリングとかは女性同士でもぶつかり合いはあるけど男女一緒って言うわけじゃないしな」


「テニスやフィギュアスケート、ゴルフ、競艇、プロレスといった競技では、アスリートのビジュアル自体も大きな要素となりますしね」


「そうだよな。

 単純に男女差別というわけじゃなくて結局は客が見て納得して金になるかどうか、スポンサーが金を出すかどうかという問題だと、テニスやゴルフ、フィギュアスケートは多分個人に対しての宣伝効果が大きいのだろうな。

 でも集団球技は男のやるもので女の出る幕じゃないみたいな概念はぶち壊していきたい」


 俺がそう言うと北条先輩もうなずいた。


「まあ、その意見自体には賛成ですが」


「だよな」


 社会人女性がやるスポーツと言えばママさんバレーかテニスぐらいという状況はどうにか変えていきたいものだ。


 運動不足は、高齢者の認知症や寝たきりに大きく関わっているし軽い筋トレを習慣にするのは 高齢者の寝たきりや認知症予防には大事なはずだ。


 1970年代後半のスイミングスクールブームから80年代半ばにはエアロビクスやヨガがブームになって総合スポーツジムは増えているけど、値段が高すぎたりするせいで誰でも気軽に使えるとは言い難いし、そのままでは駄目だろう。


 俺はスポーツ財団の基金を使いサッカーやバレーボール、バスケットボール、アイスホッケー、野球などのナショナルトレーニングセンターを設立したり、フィギュアスケートやスピードスケート、スキーなどの特に金がかかる競技の全国有望新人発掘合宿に際して有望な選手には奨学金を出したりなどをし、日本全国から8歳から12歳までの有望な小学生を集めて、選抜しジュニア選手からの中学1年から高校3年までの選手強化および育成に取り組むことにした。


 彼女ら彼らには海外での試合や観客や審判員の前に立つことの重圧になれるために打ち勝てるようになるために、小学生でも海外の国際大会にも出場できるようにして、経験を積ませている。


 まあ結果が出るのは早くて8年後くらいだろうけどな。

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