そろそろ男女のグループアイドルを育てていかないとな、スクールアイドルアニメの製作発表もしようか

 さて、一昨年昭和60年(1985年)から昨年昭和61年(1986年)の夏くらいまでは飛ぶ鳥を落とす勢いだったニャンニャンクラブも主力メンバーの加入と脱退の速度が早すぎ、活動初期からの著名なメンバーがほぼ脱退したことで、昨年後半から人気は大きく失速し、本体のテレビ番組の視聴率も1986年初頭から下がり続けて、もはや番組終了も間近という状況になっている。


 実際に”前”では今年の8月にラストシングルが発売されたものの、ヒットチャート一位はついに取れず番組終了、翌月9月20日のコンサートを最後に解散となった。


「ニャンニャンクラブも、もう解散間近だしこっちも音楽番組でオーディションを行って女性のグループアイドル希望を募って、ジャーニーズからアイドル活動を続ける決心をした男性アイドルメンバーとともに売り出していこう。

 まずは谷津遊園とか秋葉原の雑居ビルのライブスタジオのライブ実演をして即売会を開き、ファンにサインをし、握手をして売っていく方向でね」


 俺がそう言うと北条先輩はうなずいた。


「そうですわね。

 せっかく移籍してきたタレントたちですからキリキリ働いていただきましょう」


 ”前”では握手のような特典でCDを売るのは邪道という批判も出てくるのだが、歌をCDでだせばヒット曲は百万枚も売れるのは当たり前というのはむしろ異常で、レコード時代は客と直接会ってサインし、握手をして買ってもらうのは、わりと普通の販売方法。


 CDラジカセやテープ・CDの携帯音楽プレイヤーと違いLPはプレイヤーもレコード自体も高いので枚数がそんなに売れる訳ではなく、レコードを売るのは、CDに比べてずっと大変だった。


 だから遊園地やデパートの屋上、ショッピングモールやスーパーの駐車場、商店街のアーケードや駅前広場、小さなライブハウス、健康センター、温泉宿やヘルスセンターなどの演芸場・劇場、歌謡ショーを売り物にするキャバレーやクラブなども多数存在し駆け出しだったり、一発屋で一世を風靡したがその後は売れなかった者も含めてまで多種多様だが地方を回って名前を売るというのは珍しいことではなかったりする。


 基本的にはそういった場所を提供する方からはノーギャラで、レコードやCD、サイン色紙やブロマイドなどの物販は自由にできて、その手数料なしというパターンが多いが、場所によってはステージや機材の使用料や、物販の手数料を支払わなければならない場合もある。


 レコードでの100万枚というと4タイトルしかなく誰もが知っている歌が入っているアルバムでしか到達出来ない領域だった。


 とは言え”前”のAKIBA48グループの場合は、音楽そのものではなく本来は特典である握手券のほうがメインになってしまって、ジャーニーズのCDが初回特典版と通常版で微妙に内容が違うので結局両方買わないといけないなど、CDの売り方そのものにアーティストから批判が出るのも分からなくはないがアイドルは音楽”だけ”を売っているわけでもないのもまた事実だ。


 ジャーニーズのグループは古くは昭和39年(1964年)のジャーニーズから存在するが、”え?!そんなグループあった?”みたいなグループも多いが、もともとミュージカル俳優のような歌唱してダンスもできるマルチタレントの育成を目指したこともあり、個性をもったメンバーによるグループアイドル路線というのはメンバーの誰かのファンになれば、ファンはそのグループ全体を応援することになるという強みがあるのは間違いなかった。


 もっとも女性アイドルではニャンニャンクラブの賞味期限切れが早すぎたことなどもあってグループアイドルを目指す方向にはなかなか進まなかったがそれを変えたのが、ドサ回りでCD5万枚売ったらメジャーデビューという”朝娘”だ。


 そしてメンバーが加入と卒業を繰り返しながらもずっとその後も続いていっているのは大したものだと思う。


 そして俺は北条先輩に言う。


「それと同時に廃校になりそうな学校の存続危機を学校が擁する”アイドル部”のクラブコンテストに出場するアイドルである「スクールアイドル」のアイドル活動でその危機を救おうとするアニメのVSライブの製作発表とスクールアイドル役の声優オーディションの開催もしようか」


 北条先輩はうなずいた。


「ええ、そうですわね」


 そして浅井さんや横山さんも笑顔で言う。


「今回は私達女性声優に大きなチャンスですね」


「銀河英雄神話はきつかったから今度こそオーディションに受からないとね」


 これからはますますアイドルと声優という垣根は消えていくかもしれないな。

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