ようやくゲーセン用3Dポリゴン基盤の開発ができたか

 3月30日 - ”前”では安畑火災がゴッホの「ひまわり」を53億円で落札するがそれはなかった。

 4月1日 - 国鉄が分割・民営化され、NRグループ3社が発足して正式に分割民営化された。

 4月4日 -テニススタジオの有明コロシアムが完成。


 さて、春休みの慰安旅行は良い気分転換になったと思う。


 伊東も養老渓谷も美味しい料理が大いに女性の個人客やグループ客、お母さんが主体の家族客などに受けていて、経営状態などは順調ではあったが、伊豆大島の噴火による観光客の激減を考えると、銚子や養老渓谷は今年の地震の後はあまり安心できない。


 もっとも千葉県で大地震という放送をすると舞浜のあれの客足にも当然影響するので、おそらくキー局のテレビや大手新聞などはそこまで騒がないだろうし、地震被害が大々的に報道されなければそこまでは影響はない可能性もある。


 だが、災害でダメージを受けた後に予約がキャンセルされ続けるのは、被災地にとってかなりダメージが大きいしいずれにせよ対策はしておかないといけない。


 それはそれとして北条先輩から嬉しい報告があった。


「夏休みから進めておりました、3DCGに特化したアーケードゲーム基板の開発が終了したそうです」


「あ、ようやく出来たか。

 これで色々新しいことができるようになるはずだな」


 3DCGを使いやすいのはレースゲームやフライトシミュレータ、空戦ゲームなどだが、RPGやアクション、格闘ゲームにも当然応用は可能だ。


 単純に基板というがアーケードゲーム基板の場合はワークステーションのようにメインとサブのCPUは別になっていたり、通信制御CPUが専門に入っていたりして、電源ユニットにマザーボード、サウンドボードやビデオボードなどをまとめて言ったりもする。


「さらに32ビットのワークステーションや個人用ホビーパソコンも販売ができるようになりましたわ」


「お、それならゲーム開発がやりやすくなるな」


「まあ現状では基板一枚あたり30万円、パソコンにしても70万円ほどはしますけど」


「最新型のアーケードゲーム基板やパソコンならそれは珍しくないけどね」


 この頃はゲームセンターも多くアーケードゲーム基板は、ホムコンなどの家庭用ゲーム機との差別化のために、何らかの性能を重視した専用に近いハード設計になっている。


 それはグラフィックのスプライト数だったり音源チップだったりして、グラフィックス表示にPCGやスプライトを多用できるからこそ、疑似3Dゲームが開発できるのもそれが理由だったりするが、ホムコンが発売当初はニャムコのパクパクマンなどゲームセンターのゲームがほぼ忠実に移植できる性能だったが、コナミンの横スクロールシューティングのダガーなどが簡易移植になったように既にグラフィック的にゲームセンターのゲームの完全移植は難しい。


 サンシャインも現状のゲームセンターのゲームの移植は可能であるが、4年もすれば厳しくなるだろう。


 それに対して新しい基板はビットマップ表示に加えて、ポリゴンを使用した3Dグラフィックス表示をできるようにしたわけだ。


 こうすると擬似3Dよりも、遥かに正確な3次元空間描写が実現可能なわけだが、現状では3DCG処理が可能な物は、軍事用や航空産業用の専用フライトシミュレータに使われる物で、それこそシミュレータ1つで何億とかするものだったりするのだが、そう言った軍事技術が段々と民生用技術になって普及するのもよくあることだ。


 サンシャインの次世代機サンシャイン2は32ビットで3D処理が可能なスペックにするつもりだが、基板一枚50万円では当然家庭用ゲーム機としては売れないので、それを最初で5万円程度にできるようにしなければならない。


 金さえかければ技術開発そのものは可能だが、それを実用化して利益を挙げられるようになるかどうかが別なのは、昭和60年(1985年)のつくば万博でリニアモーターカーや光ファイバーを使った通信技術が展示されていたことでもわかるが、半導体関係に関して言えばその技術進歩と普及化の速度は凄まじく速いから1992年くらいには次世代機は発売できると思うけどな。


 まずはポリゴンを利用した3Dの5人までの複数人数で対戦可能なレースゲームの開発からかな。


 あとスペースウォーズのアトラクション用に砲手として敵を迎撃するものも作らないと。


 まあ3Dゲームはあたり計算が複雑になったりしてとにかくバグが増える可能性が高いので大変なのも間違いないのだけど、3Dだと行けそうなところを自由自在に走れるようになって、オープンワールドに近い概念が簡単に作れるようになるのは大きい。


 実際に昭和59年(1984年)には日本のパソコンゲームでもポリゴンを使ったゲームが存在し、昨年の昭和61年(1986年)にもパソコンのシューティングゲームでポリゴンを使ったものがでているから、制作自体は無理ではないと思うし。


 2Dゲームだと用意できる絵に制限があってそういったものは難しいが3Dになるとプレイヤーが画面の中の3次元で計算された空間に主体的に関われる比率が飛躍的に増えるのはでかいし、ポリゴンにするとドットで描くより工数が減るというのもある。


 もっともポリゴンを使っていれば、なんとなく最新のゲームっぽいし人気になりそうということでクソゲーも多発するのだが。


 まあそれがゲームの制作費が飛躍的に上がる理由でもあるので、良いことばかりでもないけどな。

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