ライジングの一年の売上は世界全体で3兆円か
さて、サンシャインは順調に売れていてハードの初回の出荷台数は50万台が無事にはけて、今は順次増産をしているところだ。
もっとも”前”ではプレイポートは平成6年(1994年)12月3日に発売されて、翌年平成6年(1995年)5月の4週時点の5ヶ月弱で国内販売台数が100万台を突破していたりするし、陣天堂のホムコンは、昭和58年(1983年)は45万台だが、翌年昭和59年(1984年)は165万台、昭和60年(1985年)は374万台、昭和61年(1986年)は390万台とめちゃくちゃ売れているし、ディスクシステムも昭和61年(1986年)には224万台売れていたりする。
SAGAマーク3も昭和60年(1985年)は84万台だったが、昭和61年(1986年)は250万台近く売れたらしいのでかなり追い上げている。
ポケットサンシャインの方も結構売れていて初期で30万台ほど売れているが、ゲームボーヤは平成元年(1989年)に200万台、翌年平成2年(1990年)は300万台売れていたりするから、同じくらいは売れてほしいものだ。
「サンシャインもポケットサンシャインも順調に売れていてまずはめでたしかな」
売れないハードだと製造台数の総計が100万台に届かないまま終わることも少なくないし、そうならなくてよかったな。
俺がそういうと北条先輩は首をかしげた。
「とは言えどちらも本体を売っただけではほぼ利益はありませんわよ?」
それに対して俺は言う。
「それをカバーできるくらいにはソフトも売れているしCDビデオの貸出も増えているでしょう?
もともとハードでの儲けそのものは考えてないから予定通りだよ」
俺がそう言っても北条先輩はまだ納得しきれていないようではある。
「そうは言いますがなにかもったいない気がしませんか?」
「まあ言いたいことはわかるけど、損して得取れって昔から言うからね。
値段は重要だよ」
「たしかにそうではありますけど」
ホムコンなどの家庭用ゲーム機が爆発的にヒットしたのは、ゲームセンターでの恐喝などで、全国のPTAが学校などにしたことで、風営法が改正されて16歳以下のゲームセンターへの18時以降の入場を禁止したことで、小学生や中学生がゲームセンターへ足を運ばなくなってその代わりに家で遊べるビデオゲームがヒットしたというのが大きいし、北米ではアタラナイショックでコンシューマー市場は冷えていたからそこに乗り込んで面白さを再認識させれば売れるわけだ。
おまけに日本ではパチンコが違法とされ全国に展開しているパチンコ店は一斉に閉店を余儀なくされたが、それに変わる暇つぶしとしてゲームセンターやコンシューマーゲームに流れてきた人間も多い。
この時代はまだまだゲームセンターの数も多くて元気だしな。
「そう言えば去年のライジングの売上って結局どれくらいだろう?」
「およそ3兆円ほどですわね」
「それはまたすごいことになっているね」
「ええ、ホムコンやSAGAマーク3で出したソフトが日本だけでなくアメリカ・カナダ・メキシコなどの北米やブラジル・アルゼンチンなどの南米、イギリス、フランス、イタリア、スペインなどのヨーロッパでも販売されていますし、日本だけでなく海外でのゲームセンターでのジュエルスやリズムマニアックスの人気はすごいものがありましたから、インカム収入も莫大でしたからね」
陣天堂も一年の売上高が1兆6724億円とかになったことがあったし、世界最大級のゲーム会社の3兆7千億円とか言うゲーム会社もでてくるのでそこまで驚くことでもないかもしれないけど。
現状ではゲームの開発費用もそれほどかかってないからジュエルスやリズムマニアックスはボロ儲けだ。
「流石にジュエルス2も勢いは落ちてきているみたいだけどな。
そろそろ新作を出していかないとまずいか」
俺がそう言うと北条会長はうなずいた。
「ええ、そうですわね」
一応落ちものパズルとしての特許や商標はとっているが完全な海賊版と言うわけでなければシステムが同様のゲームはどうしても出てくる。
スペースエイリアンのヒットからゼピウスのような縦スクロールシューティングが出てきて、横スクロールや疑似3Dシューティングなどに発展していったように。
ジュエルス、対戦型ジュエルス、ジュエルス2と出してきたが、対戦要素の追加ぐらいで根本的なシステムは変わっていなかった。
変える方法の1つとしては他にゲームからキャラクターを引っ張ってきて思考パターンなどをそのキャラらしくするという方法はありそうだが、その他には簡単に消せないお邪魔ジュエルを入れてもいいか。
「ちなみにタカイトクトイスの売上は500億円ほどですわね。
プリティファイターグッズや完全変形ロボシンカンセン、アルテママン人形などは結構売れていますわ。
もっとも業界1位のダンバイは1500億円ほど売上がありますから差は大きいですが」
「まあ、それでもちゃんと利益が上がっているなら良いよ」
個人的にはタカイトクトイスも日三自動車も最悪赤字でなければいいと思っているが、やっぱりそれぞれが独力でそれなりに利益をあげないと、なんで俺たちが頑張って稼いだ金を赤字部門に使われるのだと不満も出てくるだろう。
何れにせよ去年や一昨年より今年はサンシャインのゲームの開発費用は上がるだろうし、ポケットサンシャインにも力を入れていかないといけないな。
「それくらい売上が出ているなら利益も十分だろうし、伊東にいちご狩りも兼ねて春休みのうちに慰安旅行に行こうか。
小湊鐵道で養老渓谷にいって菜の花畑や桜を見るでもいいけど」
それに一番に食いついてきた浅井さんと足利さん。
「あ、私もそれに賛成です」
「私も、賛成ー。
どうせなら両方に行けば良いんじゃないかな?」
浅井さんと足利さんは北海道に行った後は銚子や養老渓谷へ行った慰安旅行に参加してないからな。
そして北条先輩もうなずいていった。
「学校がお休みの間に慰安を行って心身をリフレッシュするのはたしかに良いかもしれませんわね。
節税にもなりますし、4月になればまた新入部員が増えるはずですが、来年中に引き継ぎもしないといけませんしね」
俺はその言葉にうなずく。
「確かに俺達も来年の2学期でほとんど学校には来なくなるはずだしな。
具体的に誰に引き継ぐかとかは新入部員も含めて考えないといけないだろうけど」
特に反対意見もなかったので、俺達は伊東と養老渓谷へと慰安旅行へ行くことにした。
・・・
そしてその様子を眺めていた伊邪那美は黄泉醜女たちに言った。
「ふむ、お前たちも最近あちこちを走り回っているし、あの者たちの警護も兼ねてもお前たちも温泉に行って来るが良かろう」
その指示には黄泉醜女たちは大いに喜んだ。
「ありがとうございます!」
一飛びで千里(約4,000キロメートル)を走り、伊邪那岐を追い詰める足の速さを持つ彼女たちとは言え、最近は日本中あちこち走り回って疲れていたのは事実だったからだ。
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