日三自動車が予想よりだいぶ早く買収できたか、集英・小学グループの買収より業績が悪そうな企業の買収を先にすすめるか

 さて、3月9日豊畑自動車や関東電力などの出資で日本携帯通信が設立された。


 携帯電話事業の競争もこれから激しくなっていくだろう。


 そして現状では日三自動車や集英・小学グループなどの買収を試みているが、まだまだ時間がかかりそうだ。


 と思っていたら意外な報告が北条先輩から入った。


「日三自動車の買収が成功しましたわ。

 どうもこちらの予想より企業内部での派閥争いや労使紛争が深刻で、スペインやドイツ、イギリスなどへの海外投資を労連無視で行っていた関係で、社内の混乱は拡大していて、世界市場でのシェア拡大とブランド定着を目指したものの、積極的な海外進出の多くは失敗に終わり、巨額の赤字を生んでいるようです」


「はあ、日三自動車は俺たちが思っていたよりだいぶやばい環境だったようだね」


「ええ、これからが大変ですわね」


 日三を買い取れたことで固体燃料ロケットや自転車産業にも進出できるのはでかい。


「車の後部座席のヘッドレストやシートベルトの3点式への変更に、エアバックの基本装備、安全性の高いチャイルドシート・ジュニアシートの開発とチャイルドシート取り付け金具の開発の上で全車装着させ、衝撃吸収ボディやタイヤロック防止機構にAT車のアクセルとブレーキの踏み間違え対策も早めにしたいね。

 やっぱり安全性って大事だと思うよ。

 もちろんデザイン性も大事だけど」


「たしかにそうかも知れませんわね」


「ともかく海外進出による負債は国内向けシェアを増やすことで何とかしよう。

  会長や社長は首にするしか無いな」


「まあ経営的に大失敗しているのですから当然ですわね」


「あと自転車に関しては中国に輸出、もしくは中国で現地生産しても良いかもしれないな」


「中国に工場を作る事は基本しないのではなかったのでは?」


「自転車の技術を盗まれるとしてもそこまで大きな実害はないと思うし、そもそも、ああ見えて自転車のスポークとかはかなりハイテクだからね」


 いずれは中国製に日本国内のママチャリ市場のシェアを奪われる可能性は高いが、80年代の中国では自転車はかなり売れるはずだ。


 中国で初の自動車が生産されたのは昭和31年(1956年)で日本とそこまで差はないが、大躍進政策や文化大革命等による技術の停滞などもあってそこから40年ほどは中国の自動車産業にとっては空白の期間で、この期間にドイツや日本の自動車メーカーが中国市場で大きくシェアを伸ばしていた。


 さらに、中国では70年代から80年代にかけての、自転車はミシン、腕時計と並んで、各家庭における三種の神器で、70年代においては月給の10倍もしたりする。


 さすがに80年代になるとだいぶ値段も下がり中国の通勤風景には自転車での大移動がおなじみの風景になっていたりするがまだ間に合うだろう。


「それに現状の中国の状況も見られるようにしておきたいし」


「そちらが優先ということでしたらよいかと思いますわ。

 それに儲かりそうですし」


「まあまだまだ中国には自転車需要は有るだろうしね。

 ああ、漫画の集英組・小学組を買収する前に買収に取り掛かってほしい企業があるけど良いかな?」


「集英組などを買収するのにはかなり時間がかかりそうですし、その前に業績が悪く買収が容易な企業を買っておくのはいいことかと思いますが具体的にはどこを買うのです?」


「富士山重工業と山田音楽器に山田発動機、あとは広島紡績をお願いしたい」


 俺はそう言うと足利さんが言った。


「部長はKAWASAGIとHANNDAの次はYAMADAのバイクに乗りたいのですか?」


 俺は苦笑して返した。


「まあ足利さん的にはYAMADAはバイクっていうイメージが強いと思うけどどちらかと言うと、小型船舶やジェットスキーなんかのマリンスポーツに強いし、産業用ラジコンヘリや、産業ロボット、スノーモービル、除雪車、バギー、レーシングカート、ゴルフ用カートなんかも作っている。

 けど音楽のほうが本来はメインだよ。

 で、今はピアノや、エレクトーンなんかの楽器の売上が右肩下がりできついみたいだし今なら買い取れるかなって」


「なるほど、それは美味しいかもしれませんわね」


「それにMIDIやサウンドチップに関してはかなりの技術力を持っているからサンシャインの次世代機やゲーセンのリズムマニアックスなんかの音質向上も図れると思う」


 俺がそう言うと朝倉さんがうなずいた。


「それはとてもいい考えです。

 パソコンのサウンドボードやゲーム機のサウンドチップには音楽楽器企業が加わったほうが絶対いいです」


「わかりました、買い取れれば色々便利そうですし買収を検討しましょう。

 では、広島紡績というのは一体どのような企業なのですか?」


「もともとは名前の通りの紡績会社だったけど、一度倒産寸前になって今ではそっちは撤退している企業だね。

 現在ではプラスチック成形部門事業のラジコン模型分野が強くて、山田と提携しようとしている感じみたい」


「ああ、では企業として成長する前に買い取ってしまったほうが儲かるということですわね」


「うん、そういうこと」


「では富士山重工業も単純に自動車というわけではなさそうですわね」


「もともと富士山重工業の前身は中島飛行機で陸海軍の軍用機や航空用エンジン開発・製造をしていたメーカーで、まずは軍用機の展示用レプリカを作ってもらいたい。

 北米市場での深刻な販売不振で現状きついみたいだし行けると思う」


「なるほど、たしかに実機の展示で部品が盗まれ、意図的な破損をされるなどは困りますし、手を触れられるような展示物としてはレプリカのほうが良いかもしれませんわね」


「それに航空機の生産もしているしね。

 ヘリコプターも普通の飛行機も標的機や無人偵察機なんかも」


 これらが買い取れれば固定翼機・回転翼機、小型船舶とそのドローンの技術も手に入り、それらの中国への拡散は防げると思う。


 自動車の海外輸出や楽器に関しての販売不振の今なら買い取れるチャンスだと思う。

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