日本人向けTRPGもようやく完成したよ、発売は夏休み前になると思うけど
さて、ポケットサンシャイン本体の改良とソフトもそろそろ完成するが、夏休み明けから明智さんと明智さんのお兄さんの二人と一緒に進めていた日本向けのファンタジーTRPG”ワールドオブソードアンドソーサレス”の低レベル向けルールブックやソロシナリオにシナリオ集、リプレイなどの制作に目処がついた。
地下迷宮龍でいうなら赤箱を売る準備ができたってところだな。
昨年販売したクトゥルフの呼び出しもかなり評判はいいし、バトルメカに関しても今イラスト関係のトラブル解消の目処はついて今年にはルールを発売できると思う所まで来た。
「いやあ、ようやく、日本向けのファンタジーTRPGプレイヤー用とゲームマスター用のルールブックが出来たな」
プレイヤー用とゲームマスター用のルールブックをわけたのは、まず単純にモンスターのデータなどをプレイヤーが知ってしまうとつまらないということなどが理由。
それにプレイヤーがゲームマスター用のルールまで買う必要はないということ。
明智さんも明智さんのお兄さんもようやくやり遂げたという表情でうなずいた。
「ワールドデザインも意外と大変だったけどようやく出来たな」
「いやあ、本当にたいへんだったっすね」
まあ俺は”剣の世界”のデータも知っていたし、バランス調整そのものはそこまで大変でもなかったんだけど一つの架空世界の世界設定や歴史、文化、戦闘時だけでなく通常行動で役に立つ魔法などの設定を分かりやすくなるように決めていくのは想像以上に大変だった。
冒険者という実質的な賞金稼ぎ的ななんでも屋というよくある設定もこの頃はまだあまり理解されていなかったから余計に大変だった。
最初に冒険者同時で出会ってパーティを組む取っ掛かりを無難にしてお仕事の紹介を楽にするためにそういう言った複合的な機能を持った冒険者ギルドに皆が所属して、酒場で仲間を決めて、紹介される仕事を受けてそれを解決するという流れについては、ゲームブックやドラゴンクエストなどのコンピュータRPGの影響もあってそこまで違和感はないのだけど。
戦士ならばそこまで難しいことを考えないでも敵の正面に立ちふさがって武器で殴ればいいし、魔法使いや僧侶も状況に応じて魔法を使えばいいようになっているから外国のTRPGほど悩む要素はないし、そこまで死ぬ確率は高くもない。
無論そのあたりはゲームマスターのバランス調整次第でもあるが、スペロボ同様に戦闘が困難であるより戦闘に爽快感がある、要は雑魚にはサクサク勝てる方がプレイヤーも気持ちよく遊べるはずだ。
使うサイコロも一人あたりは6面体が2つだけなのでサイコロがなくて困るということもないだろう。
西日本のTRPG集団であるグループSMEはトンネルズ&タイタンズを邦訳して文庫で発売するようだが、あれも結構特殊だからな。
さほど死にやすくはないしわかりやすいので俺は好きだけど。
昨年はまだまだTRPGよりもゲームブックのほうがたくさん発売され、日本のゲームブック史上最高傑作とも言われるドルアーガの塔三部作やネイバーランドのリンゴなどの名作とともに、マリオンやリング、ドラクレの勇者などを主人公にしたホムコンゲームのゲームブックもだいぶ増えた。
これはゲームのハードとソフトが子供にはまだまだ高いしテレビの前でしか遊べないという理由もあり、持ち運びができて栞を挟めばいつでも中断できるゲームブックにメリットがったからだ。
とはいえ持ち運びができるということ自体は携帯ゲーム機が発売されるとその優位性はゆらいでしまう。
また、この頃からシステムやシナリオに目新しさが無くなり、どこかで見た同じような内容のもので主人公の名前だけが違うというだけの作品も増えた。
ゲームブックはファンタジー世界というものの日本における普及に一定に役割を果たしてくれたのだが、その役目ももう終りに近いということだな。
今回は徳田書店のゲームブックを引き継いで売る予定で、校正係に回され誤字脱字や表記の統一などのチェックとその修正をし、印刷所に入校して、本としての印刷になるが最短でも3ヶ月ぐらいはかかるだろうな。
まあ最悪でも夏休みの前までに出来上がって本屋に並べばいいと思うけど。
「この後は上級魔法や高レベルモンスターのデータ作成と並行してTCGのルールも煮詰めていこう」
俺がそう言うと二人はうなずいた。
「ああ、そうだな」
「わかったっすよ」
取り敢えずTRPGの市場を先に押さえることは多分できると思う。
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