ポケットサンシャイン用のソフトもそろそろ完成だ、編入してきた新しい部員は頼もしい、そしてゲーム会社のテクノも買い取りたいな

 さて、3月の春休み前には発売予定のライジングのモノクロ液晶携帯ゲーム機はポケットサンシャインという名前になった。


 ローンチタイトルソフトはブロック崩しやテト&リス、上海、倉庫番などのパズル系ゲームがメインのだが、モノクロで画面も小さいし、もともとあるゲームの移植でもあるのでプログラミングはかなり楽だから開発費用も安くすむ。


 ちなみになぜいまさらブロック崩しと思われそうだが、昨年タイトがアルカロイドを発売したおかげでブロック崩しブームが再燃しているからだ。


 もっとも俺がプログラミングをやると結果として開発費用がバカ高くなるので、今現在は桃井政博くんという最近うちの学校に編入してきた一年生の転校生にやらせており、彼は将来的に『星のカーピィシリーズ』や『大乱闘スマッシュシスターズシリーズ』の制作を行うことになるはずだ。


 彼は中学生になると貯金でホムコンベーシックを購入して自分でゲームを作ることをはじめ、俺達が開催していたファンタジースター2のストーリー募集キャンペーンでゲームシステム大賞に入賞した経緯から、それまで通っていた高専を中退して俺達と一緒の高校に編入したばかりだ。


 バイトをしながらゲームソフトの購入に金を注ぎ込んではひたすらゲームに対しての研究をしていたらしいけど、ドラクレではなくファンタジースターに興味を持ってくれたのはありがたいな。


「ポケットサンシャインならホムコンベーシックと同じような感じで作れると思うけど、実際やってみた感想はどう?」


 俺がそう聞くと彼はうなずいた。


「ええ、大丈夫ですよ。

 むしろモノクロなので色指定がない分ホムコンよりもっと楽です」


 現状はブロック崩しやテト&リス、上海、倉庫番などの移植後の動作確認をしているところだがデータ的にもそこまで多いわけではないしもうすぐ終わるだろう。


「じゃあ、これらの移植作業が終わったら、なにか横スクロールアクションゲームでも作れないかな?」


「あ、それなら僕にいいアイデアがあります」


 と彼が語ったのが『星のカーピィ』だな。


 ”前”でも彼の最初の作品だし主役のキャラクターデザインから吸い込み、吐き出し、ホバリングといったゲームシステムのアイデア自体も彼が考え出して、グラフィックも自分で描き起こしていたはずだし。


 メタルメカなんかもそうだけど、個人のアイデアを可能な限り個人で元のアイデアに近い状態で作りあげるというのは大事なんじゃないかなと思う。


 そうすれば開発費用もあまりかからないから、失敗を恐れないで作れるというのもあるしな。


 ヘックスにもサンシャインでのFFFの発売が終わったら魔界闘士サガを作ってもらいたいものだ。


「そう言えば北条先輩。

 ゲーム会社のテクノって買い取れないかな。

 あそこがコマンダー翼のゲーム化版権持っているはずだけど、理由はよくわからないけど発売延期を繰り返して未だに発売されてないのだよね」


「ふむ、そういう状況であれば買い取れるかもしれませんわね」


 テクノはコマンダー翼以外にも後に人気の3D対戦格闘ゲームデッドオフアライブシリーズや忍者竜剣伝シリーズ、モンスター牧場シリーズ、ZEROシリーズ、刻令館シリーズなんかがヒットしているし、その他もそれなりに売れているゲームはある。


 だからできれば今のうちに買収して傘下に収めてしまいたい。


「うん、日三自動車よりも本業に関わるしこっちを先でお願いね」


「そう簡単に言われても困りますが……わかりましたわ」


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