今年成立予定のリゾート法には絶対反対だ、事務用品の小さな会社を買い取れたか
2月9日MTT株が上場され、政府保有の195万株の売却が行われ1株119万7千円で売り出されたが、政府が売り出す株で損をするはずがないと、飛びついた個人投資家は多かった。
俺も当然買うけどな。
昨年の昭和61年(1986年)10月から準備が行われていたが今回は特に大規模な政府の宣伝も行われ”前”では160万円が初値となり、3月4日には株価300万円に到達。
4月22日には、318万円を記録し政府は2兆3700億円余りの売却代金を手にしている。
それだけ利益をあげている日本政府はホクホクかと言うとそうでもなく、昭和40年(1965年)年のオリンピック不況対策の赤字国債や、オイルショック対策などで景気を良くするために多量の赤字国債を発行していたため、売却益は国債償還財源に充てることとされた。
要は過去の不況対策の政府の赤字を穴埋めするために個人投資家などは利用されたわけでもあるが、儲けた人間はめちゃ儲けた。
景気対策のためにも公定歩合は低めなので預金は損で株は配当もあって儲かると言うことになっている。
ただまあ、ここで実際にはそれによる収益が産業投資特別会計というものに振り分けられて、公共的建設事業や第三セクター事業へ貸付が行われて一部は補助金として利用された。
で、これらの公共事業や第三セクターがバブル崩壊で経営難に陥ってにっちもさっちもいかなくなった所で、景気てこ入れ政策として赤字国債を発行して公共投資を行ったが、景気回復効果はまったくなかった。
結果として消費税の導入などもあって、その後に長期に渡る不況は税収を減少させ、公共事業の増大は赤字財政を引き起こし、大量の赤字国債を継続して発行することになった。
結果貸し付つけた金が国に戻らなくなって余計に首を絞めたというのが実情。
だからこそ今年成立する予定の総合保養地域整備法いわゆるリゾート法には絶対反対だ。
「北条先輩。
自由民権党に今年の総合保養地域整備法を推し進めるなら今後一切の資金提供はしないし、地元との癒着を暴くために、政治資金の出所、その額、使っている料理屋、付き合っている女などを全部バラすって話を言ってくれるかな」
俺がそう言うと北条先輩は苦笑した。
「それはまただいぶ強権的ですわね。
そんな事をして大丈夫ですか?」
俺はそういう北条先輩に真面目な顔でいった。
「じゃあ先輩は好き放題リゾート開発できる事で、全国各地にベイサイドリゾートの競合施設ができても大丈夫って思う?」
そう言うと北条先輩は表情が一転した。
「それは大変ですわね。
ええ、絶対に法案は成立阻止させましょう」
「ああ、でも俺は公共事業自体そのものを否定しているわけではないと言うことも、ちゃんと伝えてほしい。
公共事業は民間で出来ないこと、たとえば橋やトンネルの維持とか堤防や防潮堤の建設維持なんかを優先して国民の安全な生活を守る方向を優先するべきだと思う。
そのほか警察・消防・国防・公共医療なんかに最優先につかうべきだとおもうし。
国防より福祉を優先すべきなんていうのは言語道断だよ」
別に俺たちの持っている遊園地や宿泊施設なんかの利益を守るための個人的な理由でやるわけではないのだけど、北条先輩にはこういったほうがわかりやすいだろう。
リゾート法では森林を切り開いてゴルフ場を乱立させたりもしているがそれは大きな環境開発につながって土砂崩れなどを引き起こしたりもしたし、結果として雇用がたいして発生せず、地元の食材を使うこともなくて地域振興にほとんどつながっていない場合も多く、そもそも施設の利用者のターゲットが明確でなかったり、ターゲットのニーズをくみ取れていなかったり、長期休暇の取りにくい日本の観光需要の実態を無視してバカでかい施設を作ったりなど、楽観的な集客と利益の予測でテーマパークや大型ホテルなどを乱立させても、倒産する企業が続出して、残るのは廃墟と帰ってこない貸付金だけでは政府も銀行も残るのは大きな傷跡だけだ。
前では夕張市はまさにこれに陥って財政再建団体に転落している。
だから政治家には将来的な収益で貸付金の返済を考えている、自治体主導のテーマパークや第三セクター事業に対して簡単に承認しないようにさせる必要があるわけだ。
地方に公共事業を回すにしてもインフラの整備補修や災害対策の工事など私的企業では手を出しづらい部分にするべきだよな。
「ではそれは早目にやっておきますが、事務用品の椅子や机などを製造販売している小さな会社の買収に成功しましたわ」
北条先輩の報告に俺はうなずいた。
「お、いいね。
ならパソコン作業に向いたOAデスクや長い間座ってOA作業をしても疲れにくい椅子の開発を早速させてくれるかな」
「ええ、そのあたりはもうしっかりと手配していますわ」
「あ、なら助かるよ。
それから昭和57年(1982年)の震度6も観測された北海道の浦河沖地震や、今年の2月6日の福島県沖地震なんかもあるし関東はいつ大きな地震が来るかわからないから、家屋倒壊やブロック塀の倒壊の危険性、火災発生時に消防車が入り込めない狭い路地や放置自動車や自転車の危険性なんか周知もやっておくべきだな。
避難所でも雑魚寝じゃなくてダンボールとか紙材と不織布の組み合わせで簡単に組立できる間仕切りも開発したほうがいいと思う。
仮設トイレもできれば汲み取りじゃない水洗ポンプ式を用意できるようにしたいね」
「なるほど、取り扱いは事務用品会社か製薬会社か迷うところですがどちらにも話は持っていくべきですわね」
「うん、あとできれば常温保存可能な乳児用液体ミルクの早期開発と普及。
同様に常温保存可能で加熱しなくても食べられるレトルト食品のバリエーションやサプリメントの開発。
避難所での感染症予防に不織布の使い捨てマスクや手消毒用のポンプ容器入り消毒薬なんかも、病院だけじゃなくて、簡単に手に入るようにしていきたい。
できれば災害時に役立つものがまとめた物が入っているリュックサックなんかも売り出したいね」
「ええ、たしかにそうですわね」
「保健所で殺されている犬を助けるためにも災害救助犬や盲導犬なんかも育てたいな。
クラッシュ症候群の治療ができる医師の育成及び緊急治療体制の確立も必要かもしれない」
「なるほどそうですわね」
「それと災害後は個人が個別に援助物資を送り付けず国や自治体への義援金が一番役立つと言うのも広めたほうがいいだろうね。
恩賜園でも寄付されたおもちゃや衣料品、食べ物の中には結局ゴミにしかならないものが結構あったし、災害発生時なら余計だと思うよ」
「ええ、それも確かだと思いますわ」
製薬会社もエイズ対策が一息ついたし、事務用品会社と製薬会社を両方活用すれば、今年発生する千葉県東方沖地震の対策もできるかな。
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