外来種の亀対策のために池の水を減らして掃除するプロジェクトを開始しよう、後は房総で大繁殖中のキョンも駆除しつつ養老渓谷の名物ジビエにしようか

 さて、以前に西湖の黒鱒が絶滅したと思われていたクニマスだったのがわかった時に、日本の釣具メーカーが密放流などを積極的に行わせていたのがばれたことで、今ではバス釣りは釣った後のリリースや生きたままの持ち出しは厳禁となった。


 現状ではブラックバスやブルーギルに関してのそれ以上の拡散は防がれているが、ミドリガメに関しては縁日などで普通に手に入れられたのが巨大化して捨てられることが多かったこともあって日本では1960年代から遺棄されたと思われる個体の発見例があるくらいで、今でもこそっと捨てているパターンが多いらしい。


 これは日本の各地でみられる池や城跡の堀などにおける、ハスの群生の消滅との関連も指摘されているから割りと深刻だ。


 不衛生な環境で飼育されたことからサルモネラ菌による感染症の原因とみなされ、アメリカ合衆国では1975年以降はカメの輸入や流通が規制されたため、大量の個体が輸出されているのだが日本にも多く輸出されていたわけだ。


 縁日のカメすくいは金魚すくいなどと並んで定番だったが、小さいうちは金魚用の小さい水槽とカメのエサで十分育つが、子供の頃は5~6センチほどの手のひらサイズのミドリガメは、成長すれば甲羅の長さが30センチ以上にもなるため普通の水槽での飼育は困難になるほどでさらに気性も荒くなり、人間に噛みつくこともあって、一般家庭での飼育はけっこう難しくなる。


 ”前”でも大きくなったミドリガメを飼いきれなくなって「狭いところで飼うのはかわいそうだから自然に帰してあげよう」と人間に都合のいい言い訳をつけて川や池に捨てられたり、でかくなって力の強くなった亀が水槽を壊したり水槽のヘリを乗り越えて逃げ出したり、業者による売れ残りが捨てられたりして、あちこちの川や池で繁殖するようになり、水草や水生昆虫が大量に食われたりして在来種であるニホンイシガメが絶滅の危機に追いやられかけたりレンコンが食い荒らされるなど各地で被害が発生していたはずだ。


 ミドリガメより問題なのはカミツキガメだけどな。


 カミツキガメはちょっと海亀っぽいのもあって子ガメの姿は愛らしく、人気があるのだが、成長すると甲長50cm以上、全長1メートル、体重は30kg以上にも達し、ミドリガメにまして気性が荒くなり、もてあました飼育者がミドリガメ同様に池や川にすてたたことから、自然環境で繁殖するようになってしまったが特に千葉県の印旛沼系列でそれが顕著だったりする。


 カミツキガメの食性は雑食で、ネズミなどの小型哺乳類から小さい亀やカエル、魚、エビやカニ、昆虫類などの動物全般、水草の茎や葉、花や藻などの植物まで何でも食べ、食欲も旺盛で、日本には天敵のピューマ、コヨーテ、オオカミなどの肉食動物やワニなどもいないので増え放題だったりする。


 ただミドリガメにしてもカミツキガメにしてもその肉は意外と美味しく、特にカミツキガメはアメリカでは身近なジビエとして食べられていて、衣をつけて揚げてタートルフライとして食べたり、まるごとスープにしたり、パン粉をまぶしてグリル焼きにしたりなどさまざまな食べ方があるが 捕獲したカミツキガメは、そのまま捌いてはだめで約一週間、きれいなタンクに入れて、水が汚れなくなるまで、何度も水を替えてから食べてくださいとされている。


 ミドリガメはアメリカでは食べられていないが、中国では市場で食材として普通に売られていて普通に食べられているし、オーストラリアのアポリジニや、南米のインディオも食べるらしい。


 ミドリガメを捕まえて冷凍して食材として中国に輸出してもいいが、美味しいなら養老渓谷の温泉旅館やオーベルジュで料理してもいい気がする。


 日本料理にはスッポン鍋、フランス料理にはウミガメのスープもあるからな。


 というわけでテレビto-kyo系列のテレビ番組として”池の水を減らして掃除するプロジェクト”を開始しようと思う。


 実際には池だけではなくて町中にある貯水池や溜池、お堀などでもやるのだけど。


 そういった事をやらせて貰える場所を募集した結果、最初は谷津遊園から近い習志野市津田沼の藤崎森林公園の池から始めることにした。


 まずはポンプで池の水を抜く。


 こういった水を抜いて綺麗にする掻掘りかいぼりは、農業用のため池を維持するために昔から行われ、稲作が終わる晩秋から早春にかけての農閑期に、池の水を抜き天日に干し、堆積したヘドロや土砂を取り除いて肥料にし、獲った魚を食べることを繰り返してきた。


 ただ今回は魚などを食べるわけではないので、魚などを一時的に避難させる水槽を現地に用意してそこに最初に水をいれておく。


 それから約90人の地元の町会や大学生、高校生などのボランティアにも手伝ってもらい、泥だらけになりながらタモ網で魚などを捕まえ始めた。


 つかまえた鮒・鯉や鯰、モツゴや小海老は水槽に入れてエアレーションもして魚が酸欠に陥らない等にした。


 池の水は濁りや匂いも結構ひどい状況ではあるがみんな頑張っている。


 大方の魚を捕まえた後は森林公園の池の水をぜんぶ抜いて、そこに溜まっているヘドロや投げ込まれたゴミなどを取り除いて、きれいにした。


「うわー、亀がこんなにいっぱい?!」


と浅井さんが声を上げたところで大量に繁殖していたミドリガメを捕まえたので、それはこっちで引き取った。


 その後、池そのものはこのまま2週間ほどは天日干しして、その後はきれいな水を入れて魚を戻す予定だ。


 前にはこの池に「カワセミ」がいたそうだが戻ってきてくれればいいな。


 まあ、それはともかくミドリガメを食べる前にカメを水槽に入れて、こまめに水を取り替えて餌を与えずに1週間くらい放置して泥抜をしてから実際に料理してみることにした。


 アボリジニはミドリガメを食べるときも生きたままひっくり返して直火で焼くだけで塩も使わずにそのまま食べるらしいが、流石にそんなにワイルドな調理法で食べるのは俺には無理だ。


 亀は魚同様死ぬと急速に臭みが回り、食べられなくなってしまうので基本的に生きたままさばいて手早く調理する。


 甲羅を下にし、ミドリガメが首を出したら頭を掴んで包丁で首の内側に切れ身を入れて、よく血抜きをする。


 亀も魚や鶏などのように首を切り落とした所ですぐには死なずに、ジタバタ暴れるのでそのあたりは注意が必要だが。


 後のさばき方の基本はスッポンと同じで甲羅の側面の上部と下部をつないでいる部分をノコギリで切れ目を入れて分離し、中身を露出させ手足やしっぽを切り取って、内臓を取り出していき、熱湯に入れ、薄皮をはがしその後水につける。


 鍋に醤油、砂糖、酒、みりん、すり生姜をよく混ぜたあと、亀の上の甲らを外していれ、食べやすい大きさに切った白菜、豆腐、長ネギ、しめじ、人参とともに鍋に入れてグツグツ煮込んでみた。


 寄生虫やサルモネラ菌が怖いので完全に火が通るようにしないと危ないからな。


「こんなものかな?」


 そうしてミドリガメの鍋を食べてみたが肉に関しての食感は鶏のささみみたいな感じで美味かった。


 骨からでたダシにも仏料理店で食べるコンソメのような亀独特のエキスがたっぷり出ていてかなり行けるな。


 印旛沼などでは水を抜くというのは現実的でないので、日光浴を行う習性を利用した罠を設置してミドリガメは捕獲し、カミツキガメはアメリカでやっているように釣るのが無難かな。


 ミドリガメやカミツキガメが食いきれなければ、堆肥にして水田で利用するという方法もある。


 この場合は骨や甲羅も有用な肥料になるのがいい。


 千葉県の山の中では勝浦市の観光施設から逃げ出したキョンと言うシカが野生化してイノシシとともに害獣として認識されているがそちらも駆除したら、養老渓谷で鹿肉として料理に出すのが良さそうだ。


 何れにせよミドリガメを飼うなら大きくなること、大きくなっても捨てないという意志が大事であることも番組で放映したから状況が変わってくれると良いのだが。

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