北海道の温泉旅館や銚子のオーシャンランド、成田の水田などもようやく買い取れたようだ

 さて、11月も終わってとうとう12月になったが、色々と北条先輩から報告があった。


「夏休みから進めていました、夕張の空き家を買い取って、トイレやバスルームを中心としてきれいに改装し、冬はスキーリゾート用ペンションとなる物件が稼働をはじめました。

 安く泊まれる代わりに雑魚寝できる廉価なものもありますし、逆に高級別荘もありますわ」


「お、それはいいね。

そしたらプロ野球の本拠地にしようとドームスタジアムを建設中の岩見沢にある遊園地、北海道グリーンヒルランドも買えないかな?」


「九州のグリーンヒルランドを買えたのでこちらも買うことはできると思いますわ」


「じゃあ早目に買ったほうがいいな。

 あ、それとペンションはちゃんと、どちらも部屋は埋まっているかな?」


「ええ、現在はスキーとリゾート用ペンションはブームですので、客入りは順調ですわ」


「夏はミツバチ族やテニスサークル、冬はスキーサークルなんかが来るだろうしやっぱり正解だったな」


 実際にこの頃はそういった男女が一緒に行動するサークル活動が大学を中心に活発だったりする。


「あとは、北海道の奥尻島、富良野、稚内、北見、羅臼の温泉施設の買上げも成功しています。

 北見の遊園地や水族館、銚子の犬吠オーシャンランドの買い取りも出来ました。

 銚子における施設改装や温泉旅館の建設はこれからになりますが」


「あ、そっちもうまく行ったならなによりだよ。

 銚子ではイルカやシャチ、アシカなどのショーを行う施設や地元の漁師さんとかとも協力して船で海に出てイルカやクジラウォッチングをできるように早くしたほうがいいな。

 それと一年中泳げる室内温水プールも作るべきだよな」


「ええ、そのあたりは今進めておりますわ」


 浅井さんがウンウンとうなずいて言う。


「修学旅行で見た天草のイルカさん可愛かったですよね」


 朝倉さんもそれに同意するようにうなずいた。


「あれはいいものです」


 まあ、やっぱりイルカウォッチングは若い女性向けだよな。


 ”前”における銚子でのイルカウォッチングが正式に始まるのは平成10年(1998年)だけど早めに始めてテレビto-kyoなどでも話題にすれば来る人も増えるだろう。


 銚子は千葉県で市になったのは2番と昔はかなり栄えていたらしいのだけど、逆に昔は栄えていたからこそ現状の衰退を受け入れられてないところはあると思うのだが、これで持ち直してくれればいいと思うよ。


 まあ千葉県は銚子より館山なんかの最南端の衰退のほうがやばくはなるのだけど、現状では持ち直せそうな場所から一つ一つ何とかしていくしかないのだよな。


「また、八千代や成田における、現在耕作を行っている水田および耕作放棄されている水田の農地取得もできましたので農業の研究も開始できますわ」


「ああ、じゃあ早速、湧き水を使って水をためて不耕起冬期湛水農法を実験してみよう。

 成田のあたりは印旛沼があるせいか結構湧水が多いしいい場所だよな」


「ええ、そういたしますわ。

 そして水田でヘイケボタルが見られるようになると一層良いですわね」


「ああ、たしかに。

 養老渓谷でも初夏のホタル見学ツアーとかできそうだし」


 そこでうなずいたのは明智さん。


「ホタルが光るところを見られるのはいいっすよね。

 いかにもニッポンの夏って感じがするっす」


「ああ、たしかにな」


 それから俺は北条先輩に向き直っていった。


「今度の冬のゲーム大会では正式にSAGAと共同開催を行うようにしたいな。

 俺たちはライジングのオリジナルハードのサンシャインのお披露目もするし、そのときにジョイスティックやマルチタップなんかのオプション機器の展示や取引希望メーカーとの商談まで出来るようにできるといいと思うのだよね。

 SAGAも来年のタイトル”F-14XX”を発表できるようにすればメリットは有ると思うし」


「そうかも知れませんわね。

 では急遽ですがお話はしてみますわ」


「うん、よろしくね」


 それから北条先輩の報告はまだ続いた


「ああ、それと昭和58年(1983年)から計画が始まった、京成船橋駅周辺の高架化や船橋駅南口の建築物の整備と道路整備計画が早めに進みそうとの話ですわね」


「うん、そりゃいいね。

 そうすれば開かずの踏切のせいで遮断されている、船橋駅前の車の流れもだいぶ良くなるだろうし」


 あまり車での移動が便利になりすぎても駅前商店街が寂れるかもと思うが、どちらにせよその他の場所の道路が狭くて渋滞しやすいのは変わらないか。


 それから部活の終わったあとに横山さんがちょいちょいと”こっちこい”というふうに手招きしていたので横山さんのもとへ向かった。


「部長さん。

 ひーちゃんの誕生日っていつか知っています?」


 俺は少しだけ思い出そうとしたがそういえば聞いたことはなかったな。


「あ、いやごめん知らない」


「ひーちゃんのお誕生日は、12月14日だよ。

 今までろくに祝ってもらえた事はないみたいだから、今年はちゃんとお祝いしてあげたらどうかな?」


「12月14日か、うん、じゃあ浅井さんの誕生パーティしてあげないとね」


 俺がそう言うと横山さんが苦笑していった。


「ほんとに手間がかかる二人で困りますよ」


 そういえば今年は修学旅行の期間あたりとかぶっていたこともあって、斉藤さん・北条先輩、上杉先生の誕生日を祝うのも忘れていたな……。


 親しくしている部員や顧問の誕生日はもう少しちゃんと把握しておくべきか。


「ちなみに横山さんは誕生日いつ?」


「私は12月20日ですよ」


「あ、ああ、じゃあ横山さんお誕生日もちゃんと祝わないとね」


「まあ私はついででいいですけどね」


 高校のクラスメイトとか部活仲間の誕生日祝いってどのくらいに相手にそうするか悩むけど、斉藤さんや北条先輩の誕生日を祝うのを忘れていたのはやっぱまずいよな……。

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