ゲーム会社のメンシュや野球球団のロッチ、特撮の円谷プロに加えて徳田書店と関連企業も買い取れたか

 さて、今月の下旬の修学旅行の前には、サンシャインのローンチタイトルのバグ取りは終わらせておかないといけない。


 だから現在はスペシャルロボット大戦やプリンセスプロデューサーのテストプレイはライジングのバイトのみんな総出でやっているが、ちょこちょこバグがあるのでそれを虱潰しに潰している所。


 そこへ北条先輩から報告があった。


「サンシャインのローンチタイトルRPGとして発売予定のタイタンが制作しています”デジタルディーヴァストーリー女神召喚”が仕上がってきましたわ」


「おお、早いな。

 ちょっと中身を見てみようか」


 俺は北条先輩からCDを受け取ってゲームを起動してみた。


 ゲームの形式としてはウインザードと同じような3Dダンジョンがメインだけど、内容は小説の第1巻を原作としていて、同タイトルの小説やOVAとのメディアミックス作品ではあるが、登場人物とその一部の設定を使っている以外は、ほぼ独自の内容で小説やOVAの後日の話となっている。


 最終的には大魔王ルシファーを倒し、囚われた女神イザナミを救い出すことを目的としている。


 ファンタジー的な戦士や魔法使いなどではなく、神が転生したとはいえ学生服姿の高校生の男女が戦い、女神召喚プログラムというハンドヘルドコンピュータを用いて、出会った迷宮内の人外の存在との交渉によって彼ら彼女らを仲魔に引き込み、合体でより強い存在としてパーティーを強化するシステムというのはかなり斬新。


 まだまだ超大作というほど迷宮は広くないけどな。


「じゃあ、これもテストプレイをしてもらおうか。

 あっちでも一通りやっているとは思うけど」


 俺がそう言うと北条先輩はうなずいた。


「わかりましたわ」


 実際テストプレイとかしてもバグが取り切れていないとかはよくあることだし念は入れておこう。


「それから、ゲーム制作会社メンシュの買収も成功しました」


「お、それはいいね。

 早速実在する団体や選手のプロレスゲームを作ってもらおうか」


「わかりましたそのように手配しておきますわ」


 メンシュにはプロレスゲームだけではなく、時計塔シリーズや黄昏時シリーズなどの評判の良かったホラーゲームも作ってもらうつもりだ。


 ホラーゲームの主人公が無力な存在だからこそいいってことを、ここはよくわかっているからな。


「それから野球の球団ですがパ・リーグ球団のロッチが買い取れそうな見込みですわね」


「ああ、ロッチは本業がやばいみたいだし、野球経営どころじゃないのだろうな。

 一旦は谷津遊園の運動場になっている、谷津球場を本拠地として試合をやって、北海道の岩見沢のドーム球場ができたらそっちに本拠地は移転しようか」


 北条先輩は少し悔しそうにしながらうなずいた。


「ロッチの経営がこうも早く傾いて売り出すとわかっていたら、谷津球場の本格的な改装を先に行っていたのですが」


 俺はそれに対して苦笑しながら言う。


「でも首都圏は阪神圏程じゃないにしても、そもそもプロ野球の球団の数が多すぎるから首都圏に拘る必要はないと思うよ。

 それに現在野球球団がない北海道に野球チームを持っていけば新たなファンが獲得できる可能性が高いと思うよ」


「たしかにそうかも知れませんわね」


「あ、そうそう、うちの学校の野球指導をしているロバート・ジャン・バレンタインさんをロッチの監督にしたほうがいいと思う。

 どっちにしても高校野球の監督はできないしね」


「それに関しては異論ありませんわ

 そして新球団ライジングの優勝を狙っていただきましょう」


「ああ、監督には優勝争いできて優勝も可能な強い球団にしてもらわないと」


「それから特撮のアルテママンの円良田プロの買収も終わりました。

 実際に財務状況は大赤字でしたので役員はほぼ全員退任させましたが」


「ああ、そうすればアルテママンも復活できるかな。

 まずはゲームとかアニメとかで様子を見たほうがいいかもしれないけど」


「特撮はかなりお金がかかるようですしね」


「特撮の問題はそれなのだよな……」


 特撮にこだわってセットや着ぐるみがあまりちゃちになるくらいなら、アニメやゲームでアルテママンを使うほうがおそらく無難だと思う。


「それと徳田書店の買収も終わりました。

 どうも中国政府関係者と社長に繋がりがあって、中国へ多額のお金が流れていたようで、社長はその事を銀行に咎められたこともあって、現状の経営陣から追放されてしまったようですが」


「まあ、大日本映画でやたらと中国との合同制作の超大作映画を作っていることを考えれば、中国と何らかの繋がりはあるのが普通だよな」


「もともと倒産した大日本映画はその時劇場チェーンを失っていたので、海外マーケットを狙った大作を作らなければならないという狙いだったようではありますけども」


 実際に昭和63年(1988年)に放映された、当時「史上最大の45億円の制作費」を投じた日中合作の超大作映画『敦煌』の配給収入は確かに当年度日本一にはなったが、実際には前売り券を無料で大量に配ったりしていたため大赤字であったらしい。


「まあ徳田の音楽関係やゲーム関係は朝日ソノママやライジングと合併するとして、映画株式会社と新聞業界も手に入るのは結構美味しいかな?」


「そうですわね」


「これで銀河英雄神話のアニメ化、映画化にゲーム化ができそうだし、作者さんの仕事量をおさえさせてあれこれ新作を書かせずに少数の作品に専念してもらうこともできそうかな」


 俺がそう言うと北条先輩が首をひねった。


「銀河英雄神話という作品はそんなに人気なのですか?」


 そこへ割り込むのは斉藤さん。


「銀河英雄神話は現在かなりの人気の作品の一つよ。

 コミケでも同人誌やアンソロジーがたくさん書かれているわ」


「なるほど、そうでしたか」


 徳田はテレビでの銀河英雄神話シリーズの放映を目指してアニメ化を企画していたようなのだけど現状ではまだ実現に至らずにいる。


 で、“前”ではまずは宣伝広告として劇場公開が行われ、その後、OVA作品としてリリースが開始。


 本編110話、外伝52話、長編3話のOVAとしては空前の長期シリーズとなったが概ね評判はよく、まずビデオ1本に1話収録の通販で1988年12月から週に1本送料込み3000円でリリースされ、その後に4話を1本にまとめた店頭販売用ビデオ&レーザーディスク及びレンタルビデオがリリースされる事になった。


 この作品は銀河声優神話と呼ばれるほど豪華な声優陣で制作されていて、特に男性声優に関してはこの時代におけるほとんどの声優を網羅しているのではないかと言うほど。


 徳田グループの音楽部門会社が東ドイツのクラシックレコードの音源を大量に持っていたことからも銀河声優神話の主なBGMにはクラシックが使われるだろう。


 その後、二度目のアニメ化も行われたことからこの作品の人気の高さは本物だと思うしな。

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