今年の研修旅行は福岡・長崎・鹿児島・沖縄になったようだ

 さて、文化祭も終わって10月になった。


 来月の11月半ばに二年生は九州に修学旅行へいくのだよな。


「そういえば北条先輩。

 今年の修学旅行も11月半ばに九州一周なのかな?」


 俺がそういうと北条先輩がこの人は何を言っているのだろうという表情で言った。


「え?

 いえ、今年は少し早まって10月末になり、行き先は福岡・長崎・鹿児島・沖縄となりましたけど?」


 あれ? そうだったのか。


 今年は去年より忙しい感じだったのでちゃんと確認していなかったぜ。


「あ、去年とは行き先変わったの?」


 俺がそう言うと北条先輩はうなずいた。


「そうなのですわ。

 九州一周はあまり楽しくないという声も多かったので、沖縄に行くことになったのと、沖縄で泳げるのは多くは10月までということでそうなったようですわね。

 うちの学校は10月にも特に大きな行事もありませんし」


「まあ、修学旅行でよくある寺社仏閣や城郭めぐりだと、そういうのが好きでない生徒には面白くは思えない可能性は高いか」


 俺にはそれなりに楽しいし斉藤さんなんかもたのしめると思うけど。


「ええ、来年の入学希望者は増えていますが、修学旅行に関しては以前からあまり評判は良いとは言えませんでしたので、文化祭同様に変更していく事になりましたわ」


「理事長的にも去年と全く同じじゃ北条先輩がつまらないだろうと考えたのかもな」


「そうかも知れませんわね。

 とはいえ長崎には大浦天主堂に長崎原爆資料館や軍艦島、鹿児島では知覧武家屋敷に知覧特攻平和会館、沖縄にはひめゆりの塔やひめゆり平和祈念資料館などの歴史的な施設にも行きますが」


 そこで斉藤さんも会話に加わった。


「でも太宰府天満宮や旧グラバー邸や長崎の出島巡りなんかも楽しいと思うわ」


 そして千葉さんも楽しそうに言う。


「沖縄で首里城跡を見て、ちんすこう食べて、海水浴できるのもいいよね」


 更に朝倉さんも言った。


「沖縄の美ら海ちゅらうみ水族館もなかなか楽しそうです。

 ジンベエザメやナンヨウマンタ、マナティーなんかが見られてかわいいらしいですよ? 」


 そして浅井さんも言う。


「長崎ではカステラ作り体験もできるそうですよ


 沖縄の美ら海ちゅらうみで体験ダイビングなんて言うのも素敵ですね」


 俺は去年同様九州一周だと思っていたので全くそっち方面の用意はしてないけど、沖縄だと10月でも日焼け止めとか夏用の服装も必要らしい。


「なるほどなあ、みんなは準備万端ってわけだ。

 そういえばそろそろ谷津遊園で零戦とか魚雷艇なんかの展示もしたいな」


 知覧特攻平和会館には零式艦上戦闘機五二型丙や四式戦闘機「疾風」I型甲、三式戦闘機「飛燕」II型改の実機もあるらしいし、太平洋戦争に関係するようなところを回るならついでに軍用機や軍用小型艦艇などを手に入れられないだろうか。


 まだ筑前町立大刀洗平和記念館はできていないはずだからできないことはないと思うんだが。


 俺がそう言うとみんながジト目で見ていた。


「……唐突に仕事の話へ戻すのはどうかと思いますわ」


 北条先輩がそう言うと斎藤さんもうなずいていった。


「せめて学校の修学旅行の時は仕事から離れたほうがいいのではないかしら」


「あ、うん、なんかごめん」


 まあそれはともかく”竹林はるか遠く-日本人少女ヨウコの戦争体験記”がアメリカでは発売されていた気がするから、それを翻訳して出版する権利を手に入れるか。


 ”前”では日本での発売は平成25年(2013年)と随分遅かったんだけど、日系米国人作家のヨウコ・カワシマ・ホプキンスによる自伝的小説で、作者が11歳だった第二次世界大戦の終戦時に体験した、朝鮮半島北部から日本へ帰国する際の、朝鮮半島を縦断する決死の体験や、引揚後の苦労が描かれていて、戦争の悲惨さを訴える資料として役に立つはずだ。


 映画化かテレビドラマ化してもいいと思うしな。


 それと尖閣諸島問題が本格的に面倒なことになる前に、歴史的な実績やらアメリカも認めている国際的な立場をテレビで大々的に報道したほうがいいかもな。


 首里城ものちのち燃えてしまうから写真でデータを残しておくべきか。


「部長はまだなんか仕事に関して考えてやがるですね」


 朝倉さんに言われて我に返った。


「あ、うんごめん」


 まあ、これ以上空気を悪くするのもなんだし修学旅行について考えるか。


「長崎に行くなら天草でイルカウォッチングもできるかもな」


 俺がそう言うと斉藤さんが人差し指を立てて訂正した。


「天草は長崎じゃなくて熊本よ」


「あ、そう言われてみればそうだったか、できれば生のイルカを見てみたかったんだけど」


 俺がそう言うと北条先輩が少し考えた後に言った。


「長崎から鹿児島へ移動する最中に天草に立ちよるならそれもありかもしれませんわね」


「多分イルカウォッチングは女の子に受けると思うよ」


 俺がそう言うと北条先輩はうなずいた。


「そんな気はたしかにしますわね」


 ライジングのオリジナルハードの発売時期から考えても修学旅行が早まってくれたほうが助かるな。

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