テレビto-kyo系列で、総合商社やコンビニの問題を放映したら大きな反響があったよ

 さて、テレビto-kyo系列は、キー局で関東一円に加えて伊豆半島や山梨・長野東部・福島南部、テレビ大阪は大阪と淡路島・徳島の大部分に加えて、UHFの協力で京都府・兵庫県・滋賀県・奈良県・三重県・和歌山県・岐阜はカバーしているし、テレビ愛知は愛知と三重・岐阜・静岡の一部分に加えてUHFで岐阜県、テレビ岡山は岡山と香川に島根・兵庫・広島の一部分をカバーしている。


 これは地上デジタル化以前では、スピルオーバーと呼ばれる、行政が放送免許で設定した放送対象地域外まで放送局が発信する放送電波が遠くまで届くからではあるのだけども。


 現在はテレビ大阪の放送エリアを京都府・兵庫県に拡大したり、テレビ愛知の放送エリアを静岡県全域に拡大したりしつつ、広島・福岡・熊本・長崎・札幌・帯広・宮城・新潟・高知・長野とその周囲へも系列放送局を設置中で1989年までには日本全国の大部分をカバーできるようにしたいと思っている。


 まあ、これでもおそらく北海道でも道北や道東、秋田や石川、沖縄なんかはカバーできないけどな。


 ちなみにラジオのトウキョーベイFMもスピルオーバーによって可聴エリアは千葉県北部だけではなく千葉県全域、東京都のほぼ全域、神奈川県東部、埼玉県東部、茨城県南部・西部など意外と広い範囲になっている。


 で、”このままだと日本はやばい”はテレビ房総からテレビto-kyo系列へ移動して放送することにした。


「さて、本日は前田健二さんと、ゲストで中央大学商学部教授であり租税学者で税理士でもある富岡由紀夫さんの対談となります」


「どうかよろしくおねがいします」


 俺がそう言うと富岡由紀夫氏がニコリと笑った。


「こちらこそよろしくおねがいします」


「富岡さんは、今までもたくさん税に関する著書を書かれていますが、現在書かれているの”マル査の博士大いに怒る 暴かれた大企業と政府の癒着”で、日本の法人税率は諸外国と比し高率であり、税率の低減を求めていることに対して、公表資料から日本の有名大企業の数社が、かなり低率の税負担しかしていないことを明らかにしていますね」


「ええ、企業の立場からすると、法に則り申告納税を行っており違法ではないというわけですが、問題は、そのような事を許す税体系そのものです。

 税制の公平性というのは、所得が大きいものが多く負担するという「応能負担」を原則としているのですが、日本税制の現状は、「公平」になっていないわけです」


「具体的にはどういったことでしょうか?」


「はい、まず大手企業はタックスヘイブンと呼ばれる海外の制度を活用することによって、莫大な税逃れをしているのです。

 例えばケイマン諸島というカリブ海に存在する西インド諸島のケイマン諸島はタックスヘイブンの代表的な場所ですがここでは税制上の優遇措置を、域外の企業に対して戦略的に設けているため、名目上、企業の進出が非常に盛んですがそれは実体を持つものではありません。

 日本の佐渡島の3分の1の小さなケイマン諸島に法人6万社が登記されているのですよ」


「なるほど初めて知りましたがそんな場所があるのですか」


 まあ実際はタックスヘイブンの存在は知っていたけど、俺たちはそれを使ってないし、このように言っておいたほうがが視聴者に共感も持たれるだろう。


「はい、日本の大企業は、アメリカに次いで世界第2位の規模でタックスヘイブンの利用をしています。

 私たち庶民は各種税金から逃れようもないのに、どうして大企業だけが平然と税逃れを行うことができるのでしょうか?」


「それは確かにおかしな話ですよね」


「現在奢侈品・贅沢品とみなされるものについて、個別消費税の一種である物品税が課されていますが、これに対して対象となる物品の範囲、税率、指定のタイミングなどをめぐって企業側から不公平という声が上がり、すべての物品に対して一般消費税の導入を企業は提言していますがとんでもないことですよ」


「それはどういうことですか?」


「例えば一般消費税ですべての物品に税をかけるとなれば年金生活者や生活保護で生活している人、乳児や義務教育の学生にも課税をするということになるわけですし、消費に税を課すことにより、消費者が支払う価格は、企業のコストに消費税が上乗せされたものになるわけで、資源配分に様々な歪みをもたらすわけです」


「具体的にはどういったことでしょうか?」


「具体的に言うならば所得税のような直接税は、所得の低い人ほど負担が少なく、所得がある人は負担が重い累進性が出るわけですが、消費税は日常生活における消費のみによって決まる税制であるため、所得が多い人も少ない人も消費額に対しては同じ税率となるわけですが、所得の少ない人はその所得に対してはより高い割合で消費税を払わねばならなくなるわけです。

 極端に言えば消費税は先程言ったような実質的な労働収入が無い人でも消費する際に課税されるため、所得が低い人ほど負担感が大きくなるわけで、逆に利潤、利子、配当などの資本所得を得られる金融投資には消費税はかからないため、こうしたものに投資する余裕がある人所得の多い人ほど有利な税制となるわけです」


「なるほど、たしかにそのとおりかもしれません」


「社会福祉に用いるのであれば低所得者からたくさん消費税を取っても、最終的にはその低所得者に福祉として多く分配されるから結果的によいと言うでしょうが絶対にそうはなりませんよ」


「といいますと」


「企業が消費税の導入とともに法人税の減税を求めているからです」


「まあ、所得税にしても法人税にしてもちょっと高すぎだとは思いますが、消費税を上げる代わりにそれらを下げるとなれば金持ち優遇としか言いようはないですね」


 実際に経団連は”日本の法人税は高すぎて企業が海外に逃げてしまう、給料を上げれば国際競争力を失ってしまう”といって、賃金は上げず法人税を下げ消費税を上げていった日本がどうなったかといえば韓国中国に人材とともに技術は流出して家電販売などで追い抜かされて、日本国内で非正規労働者の割合が激増して結婚するものが激減して少子化が進んで、結果的には破綻したのだ。


「ええ、話を戻しますが商社などが利用している外国税額控除制度を利用して巨大総合商社などは税金をほとんど収めてないと言っていい状態なのです」


 俺は驚いた表情を作って聞き返した。


「え、ほとんど税金を納めていないのですか?」


「たとえば、外国税額控除制度に加え租税特別措置や無税配当総額の恩恵の多くを受けているのは、結局ほとんど大企業ですし、先程タックスヘイブンの利用や、税制度のスキマをついた避税など、大企業に優位に働く現在の税制度は不備が大きすぎると思います」


「外国税額控除制度ですか?」


「はい、わが国の巨大商社の代表である四菱商事は、昨年昭和60年(1985年)の総売上げが16兆4千億円、経常利益が517億円もありながら、国に法人税をまったく払っていない、法人税ゼロ企業であったりするのです」


「え?

 四菱商事がですか?」


「はい、その他の有名な総合大手9商社の年間総売上げは合わせて80兆円を超えますから、国の予算の約1.5倍にも達する額です。

 ですが、その申告所得額は2400億円もあるのに対し、納付した法人税額は2社の115億円のみで残りの7社はゼロです」


「なぜそんなことになるのでしょうか?」


「はい、ここに外国税額控除制度が関係してきます。

 名目上外国で得た所得には、外国で税金がとられるので、その所得に対してさらに日本で課税されると二重にとられることになるわけです。


「それはたしかにおかしなことですね」


「なのでその二重課税を防ぐために設けられているのが『外国税額控除』の制度です。

 外国で払ったと”される”税金分を、国内の法人税から控除することによって、結果的に国内で納める法人税は少なくなるのですね」


「それのどこが問題なのでしょうか?」


「そして問題は先程のようなタックスヘイブンを利用したりして外国で税金を払っていないのもかかわらず払ったものとして控除される場合が多く、特に発展途上国では進出した企業に対して税金を免除したり、税率を軽くしたりする場合が少なくないのですね。

 ですがその場合でも、日本では進出企業は減免された分も払ったものとみなして外国税額控除をすることができるようになっているのです。

 そしてタックスヘイブンに設立した子会社から受取る配当には課税しなければ二重非課税となるわけですが、会社が国境を越えることが容易になった現在では、法人税率の低い国に名目上の事業を移し、日本では税金のかからない益金不算入の受取配当金としてだけ扱うことで租税回避を行えるようにすることは容易なわけです」


「なるほど」


「実際に日本の法人税の税収額は、過去の約十年間で3倍くらいにしか増えていないですが、外国税額控除は、10倍近くになっているのですからこれはおかしなことですよ」


「たしかにそうですね」


「結果大企業を優遇する日本の税制度の負担は、中小企業や中小所得層の国民が負担させられる構図になっているわけです」


 パネルには四菱商事、四井物産、住共商事、伊藤忠商、丸赤、日商石井、東洋棉花、金松江商、双日という錚々たる総合大手商社の名前と今年の売上、納めた法人税が並んでいるが見事に税に関してはほとんどゼロ。


「このことは一昨年の昭和59年(1984年)には新聞紙上や国会でも問題となり、大蔵省、国税当局もこの問題解消のための税制の改正を進めることとしたはずなのですが現状では何の動きもなくむしろ彼らは法人税を下げろと言っているわけです。

 結局は接待によって役人は丸め込まれたわけです」


「なるほど、接待ですか」


「ええ、銀座のクラブや風俗店、寿司屋や料亭といった場所に行って彼らを接待するわけですね」


「それで大企業に不利にはならないようになるわけですか」


「そういうことですね」


「僕としてはコンビニエンスストアに関しての過酷な労働状況も気になりますね」


 俺がそう言うと富岡さんもうなずいた。


「コンビニエンスストアは今猛烈な勢いで全国展開していますが、24時間労働によるオーナーの疲労に加え高額なロイヤリティーが問題ですね」


 俺はそれにうなずく。


「ええ、ヘブンイレブン・チャージという名目で各月の粗利益(売上総利益)に応じて一定の割合を乗じた金額を支払わなければなりませんが、本部が土地建物を用意した場合は粗利益が0〜250万円の場合は56%、250〜400万円の場合は66%、400〜550万円の場合は71%、550万円以上だと76%の支払いが必要です。

 一方土地建物をオーナーが用意した場合は割合は下がっていくのですが、本部が近くに系列のコンビニを建てて廃業に追い込むケースも有るようです。

 さらに粗利益には材料原価は引かれますが人件費などは含まれませんからコンビニのオーナーはかなり苦しい所も多いようです」


「それもまたひどい話ですね」


「ですので現在僕は大手コンビニチェーンを脱退したオーナーたちによるコンビニチェーンのスリーナインを買い取って、ロイヤリティーを10%にしたコンビニチェーンを全国展開しているところです」


「それは良いことではないかと思います」


 そして本日の対談は終わった。


「本日は有益なお話をありがとうございました」


「いえ、こちらこそ」


 そしてこの放送を見た視聴者は商社が日本ではほとんど法人税を払っておらず、それは大蔵省の役人との接待による癒着腐敗によるものであることを改めて知ったことで大蔵省や商社、国税庁等への抗議の電話や手紙が相次いだ。


 ・・・


 前田健二のテレビでの対談が原因だと知った大手商社の社長や大蔵省の役人は前田健ニを陥れるための方法を料亭に集まって話していたところで、伊邪那美によって地獄に落とされ、口に漏斗を加えさせられて、胃が破裂するまで酒を強制的に流し込まれ、胃が破裂したらそれを修復されて、窒息しながらも死ぬこともできす延々と苦しむことになった。


 また大手コンビニオーナーも前田健二の排除を画策していたところを伊邪那美によって地獄に落とされ、24時間365日賽の河原で石積みをさせられ、完成すれば地上へ開放すると言われたが完成する直前に8割の石を取り除かれるということを延々と続ける羽目に陥った。


 ・・・


 結果としては国税が大手商社などの帳簿を再度調べ、帳簿上での数字をいじって納税義務を免れるようにしていたことが明らかになり、商社は多額の追徴課税を受けることになった。


 また東京地方検察庁特別捜査部により接待伝票が把握され大蔵省の現役官僚やOBの逮捕・起訴に発展することになり、後の大蔵省解体の一つの要因となった。


 また大手コンビニから高率のロイヤリティーの過酷さに不満を持って脱退するオーナーが続出し、それらのオーナーはスリーナイングループに再加盟するものが続出し、大手コンビニは加盟店を大きく減らすことになった。

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