オリジナルハードのサンシャイン専門のゲーム雑誌が創刊され、読者参加企画も開始だな

 さて、以前に買い取ったやわらか銀行系出版は、オオウ!PCというパソコン雑誌やゲームマガジンという総合コンシューマゲーム雑誌を作っていたことをいまさらながら思い出した。


 もっとも出版社としては弱小もいいところなので、部数はめちゃ少ないみたいだったようなのだけど。


 ゲームマガジンはなぜかSAGA贔屓の雑誌なので、ライジングで販売したSAGAのゲームではジュエルスやリズムマニアックス、ダンスダンスエモーション、ファンタジースターなどをメインにホムコンゲームの紹介やテクニック、攻略情報なども乗っていたが、それとは別にライジングのオリジナルハードのサンシャイン専門雑誌”ベープサンシャイン”を創刊することにして、スペシャルロボット大戦、プリンセスプロデューサー、デジタルディーヴァストーリー女神召喚の内容をドドンと掲載する。


 なおゲームマガジン創刊時の誌名はベープで、ジュエルスのヒットはこの雑誌による宣伝効果も大きかったのだけど、買収して手元に置いていたのはすっかり忘れていたよ。


「ゲームマガジンの存在をすっかり忘れていたのは失敗だったけど、今からサンシャン専門のゲーム雑誌創刊なら宣伝にちょうどいいタイミングでかえって良かったかもな」


 俺の言葉に北条先輩はうなずいた。


「そうですわね。

 今まで作ったゲームソフトの宣伝は販売するフェニックスやSAGAが行っていましたが、これからは私たち自身が広告活動もしていかないといけません」


「そうなんだよな。

 まあ最近はいろいろやったり買収したりしたから、もう自前でも何とかなるとは思うけど」


 俺の言葉に北条先輩は再びうなずいた。


「幸いコンビニチェーンのスリーナイングループに関して買収はできました。

 また、日本全国の大きめの駅前におけるパチンコ店跡の改装によるゲームショップの設置も順調に進んでいますのでコンビニ及びゲームショップによるサンシャインのハード及びソフトの販売網の構築は問題ありません。

 むろんすでにあるゲームショップでの販売契約も順調に進んでおります」


「ハードやソフトを作っても売る場所がなかったらどうにもならないもんな。

 それにその存在を知ってもらうのも大事だろうし」


「ええ、広告に関してもテレビでの宣伝に加えてサンシャイン専門のゲーム雑誌をコンビニに置き、週刊少年ホップの袋とじで宣伝して、模型雑誌にもブラックゴーストのプラモデル情報などを乗せるなどしましたので十分に行えていると思いますわ」


「ん、そりゃよかった。

 テレビto-kyo系列はテレビto-kyoコマーシャルっていう自前の広告代理店でやっているから、雷通や博方堂に馬鹿みたいに中抜きされることもないしな」


 俺がそういうと北条先輩は苦笑する。


「けれども視聴率が低い分同じ時間帯に同じCMも流しても見られる世帯数に大きな開きがありますけども。

 視聴率1%はおおよそ20万世帯の差ですからかなり大きいですわ」


 俺は北条先輩の言葉にうなずきつつ言う。


「確かに視聴率の差は世帯数に大きな開きは出るんだろう。

 でもテレビCMは視聴率で総合して見られているであろう数よりも、実際にそれを見てゲームソフトに興味を持ってくれそうな子供とかの層が見てくれる数の方が大事だとは思うけどな」


「確かに明らかにゲームに興味のない人がCMを見ても意味はないですわね。

 そうそう日本における総合的なテト&リスの版権をソ連の外国貿易協会(ELORG)と契約を結べました。

 また米国アクティブビジョン社より上海の版権も手に入れましたし、アルテマシリーズの日本への移植の権利も手に入れられましたわ」


「ん、それはいいね。

 最終的にはテト&リスと上海は日本向けに調整しつつサンシャインとパソコンにも移植しよう。

 アーケードでも出したいけどそっちに関してはSAGAにやってもらおうか。

 あとテト&リスはうちの携帯ゲーム機に移植したいけどな。

 アルテマはパソコンに移植しつつサンシャインにも移植して売っていこう」


 俺がそういうと北条先輩はうなずいた。


「わかりましたわ。

 ではそのようにいたしましょう」


 携帯ゲーム機ではポケットモンスターマスターも当然売る予定だけどな。


 それはともかくベープサンシャインでは、はがきを使った読者参加企画も行う。


 もともとベープでは創刊号からの読者参加型企画が存在し、1985年8月号から1986年7月号まで連載されていた読者参加企画があった。


 これは静岡県・岐阜県・石川県以東の東日本を怪僧サブルーチンとエンタープライズが率いる東銀河軍、三重県・滋賀県・福井県以西の西日本をキャプテン・アナクロとソラリス率いる西銀河軍の二大勢力に分割し、その間に位置する愛知県は孤立し両陣営から忌み嫌われる謎の第三勢力アイチ圏として、読者をそれぞれの住む地域の義勇兵と位置づけて、その葉書投稿を元に、プレイ・バイ・メール的な艦隊戦による勢力争いと投稿小ネタ合戦で各勢力が覇権を目指し争うという内容でテレビゲームとはほとんど無縁の企画ではあったが、ベープは日本での読者参加型ゲームのルーツの1つとされている。


 ただしこれは明快なルールやステータス、行動宣言などがあるわけではなく『週刊少年ホップ』読者投稿コーナー「ホップ放送局」のレース制にいささかのゲーム性とバックストーリーを追加した程度のものであった。


 俺たちはルールやステータス、具体的な行動宣言などがある”スペシャルロボット大戦”の参加型ゲームを開始することにした。


 参加者は分身である参加キャラクターを作って、キャラクターに名前を付け、格闘、射撃、命中、回避、戦意などのステータスなどを決めてゲームに参加し、ロボットに乗って戦うという行動をとらせ、ゲームの結果は参加者全員のキャラクターのステータスに基づいて処理を終えたあと、リスト化して発表され、読者はその結果を見て、キャラクターに次の行動をさせることになる。


 コンシューマゲームの主人公たちホワイトベース隊とは別の地域での抵抗勢力による戦いとして、これによりその地域における別のDC戦争の状況が読者たちの戦いによって変動し、その状況が漫画によって毎号紹介されるという強いストーリー要素をもたせることにしたんだ。


 むろん最悪こちらは全滅する可能性もあったりするわけだけども「読者たちの行動による勝敗が架空世界のストーリー展開を作っていく」という読者参加型ゲームの発展形を目指してみた。


 これを基にもっと大規模なPBMなども開催できるようになるとさらに良いのだけどな。

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