現状はバブルは発生していないしいい感じだと思うぜ、オリジナルハードの発売はクリスマス商戦には間に合わせないとな

 さて、今年昭和61年(1986年)1月に13000円台であった株価は、なんだかんだの好景気もあってじりじり値を上げて、、8月末には15000円台まで上がった。


 実際にはこれでも少し上がりすぎな気がするので、今後はこのラインで上下するだろう。


 来年上場されるMTT株なんかは、、、大蔵省が高値を付けさせるように仕向けるのだろうけど。


 昨年の8月には1ドル260円前後であったドル円相場は現状1ドル210円前後で行き来している。


 実際はこれでも1970年代の、ニクソン・ショック並の円高でかなり影響はでかいのだが、原油価格の低下などもあって製造コストが下がっていることなどで何とかなっているのが実情だ。


 また地価はパチンコ店が大量につぶれたこともあって、ほぼ上がることはなく、郊外など場所によっては地価が下がるような現象も起きている。


 オイルショックから立ち直った日本の賃金は、順調に上がっているので、そう目立った問題は起きていないと思う。


 ”前”ではドル円相場はこのころには1ドル140円を割ることもあって、日本製品の価格が、海外では2倍近くに跳ね上がることになったが、現状の日本のGDPに占める製造業比率はかなり高く、プラザ合意締結による円高が輸出産業、そして日本経済そのものに与えたダメージ大きかった。


 その一方で、日本の海外からの美術品輸入総額がドルベースで前年の4倍になり、海外の美術品を買いあさりだした。


 日本国内でのリゾート開発を進めつつも、旅行代理店は海外旅行を推奨して、海外で爆買いを行ったため日本の国内はたいして金が落ちなかったりもした。


 しかし8月末には平均株価が18787円まで上がり続けていたのだが、その方法が、特金とっきんと呼ばれる、銀行や証券会社を使って企業に株や不動産に投資をさせる制度で実態とかけ離れた株価上昇だったわけだ。


 さらに東京都23区では地価が 昭和58年(1983年)3月から昭和60年(1985年)3月までの2年間で約5割の上昇をしたうえで、今年昭和61年(1986年)3月までの1年間で5割を超える上昇。


 横浜、金沢、千葉、広島などでも半年で10%を超える上昇をしたこともあって住宅費用がかなりの負担になった。


 さらに初めに原油価格が急落したことで様々なコストが改善し、輸出条件が改善した。


 この原油価格の下落を、日本経済の潜在能力が向上したと誤って過大評価してしまったつけは大きかった。


 だから現状ではまだそうなっていないのはとても良いことだろう。


 ゲーム業界もバブル期はよかったがバブル崩壊とリーマンショックの影響はでかかったからな。


 とはいえ2006年以降のソシャゲ市場の伸びは恐ろしいものがあるがやはりスマホの普及が大きかったのだろう。


 まあそれはともかくとしてオリジナルハードはクリスマスには発売する予定でもあるのでゲーム制作は結構佳境に入っている。


 で、バイトのほうからもシナリオアドバイザーを募集したわけだけど、芸能科の声優希望者でロボ好きの男子生徒が見つかった。


「うちの生徒でロボ好きが見つかってよかったぜ」


「俺は三好和正みよしかずまさ、芸能学科の一年です。

 将来はガンガンの主人公パイロットの声優になりたいです」


「あ、三好君はマジンダーとかゲットダゼロボも詳しい?」


「はい、スーパーロボットも好きですし、マジンダーでもゲットロボでもコンファイでもライダーンだろうと任せてください」


「それは心強いな」


 斎藤さんと北畠さんもだいぶほっとしているな。


「そうしたら北畠さんプリンセスプロデューサーのほうのシナリオに専念してもらおうか」


「ええ、それで構いません」


「斎藤さんはファンの目だとかえって特定のキャラやロボにひいきが過ぎたりしやすいからその矯正のために三好君と一緒にシナリオを調整してくれるかな」


 俺がそういうと斎藤さんはうなずいた。


「ええ、わかったわ」


 スペシャルロボット大戦やプリンセスプロデューサー以外にもデジタル・ディーヴァ・ストーリー女神召喚のコンピュータRPGも制作が進んでいるし、桃の子太郎討鬼伝説やエイサー王伝説、エイサー王伝説サイドMの声付きグラフィック強化移植版の制作もしている。


 バトルオブ北海道やリズムマニアックス、ジュエルス2などの移植作業も進んでいる。


 なんだかんだで、ホムコンやSAGAマーク3よりずっとグラフィックが綺麗で、声も出るというのは大きい。


「そういえば北条先輩。

 日ノ本ファルコムやT&T、栄光なんかのパソコンゲームの移植についてはあちらの反応はどうなっているのかな?」


「現状はまだすぐには難しいですわね。

 日ノ本ファルコムはかなり前向きなようですけど」


「パソコンでヒットしたドラゴンスレイヤーシリーズが移植できるといいのだけどな」


「私達はパソコンソフト販売でのライバルでもありますからね」


「まあたしかにな」



 本体は部品の原価が高いので当面ほとんどハードを売っても利益は出ないが、ソフトについてはCDにソフトをコピーするだけなのでカセットを突き売るのに比べて手間も材料もほとんどいらないのでソフトの制作代金はめちゃくちゃ安くなるからそっちでもうけていこう。


 スペシャルロボット大戦は複数の大御所声優さんへのギャラとかもあるから思うほど儲けにならない可能性もあるが、これで名前が売れれば儲けものだし声優業界も潤うなら問題はないけど。


 現状はホムコンのような多数のサードパーティ参入はあまり期待ができないが、ソフトの製造での優遇措置停止で陣天堂とトラブルになっているニャムコは引き込めるかもしれない。


 むろんあちらに利益が出るめどがつかないと無理だろうけど。


「あ、北条先輩。

 アメリカで流行している上海っていう麻雀パイを使うパズルゲームの日本での販売権を扱う総代理店としての権利を買っといてもらえるかな」


「わかりましたわ。

 パズルゲームは利益になりますものね」


「そういうこと」


  まあ自分たちで出すソフトだけでも当分は何とかなると思うけど、売れそうな海外ソフトは押さえておくに越したことはないしな。

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