奈良は色々と微妙な問題が多そうだ
さて淡路島・小豆島・豊島を見て回った後入はまだ発展途上かな、そして豊島からフェリーで四国に戻って、徳島のホテルで一泊し翌日徳島港から和歌山港へフェリーで渡ってそのまま電車で奈良へ向かう。
明石海峡大橋がかかる前はこの徳島港から和歌山港へのフェリーが一番の輸送手段であったりもするんだな。
和歌山から特急で大阪の天王寺へ向かい、乗り換えて奈良へ向かう。
奈良の夢幻ランドは大仏で有名な東大寺や奈良公園の北西に位置し
横浜に比べてアクセスは非常に良い場所にある。
でまあ、内容自体は舞浜のアレのできの悪い模倣と言われても仕方がない感じではある。
「うーん……なんだか微妙ですわね」
北条先輩がなんとも言えない表情でそう言うと浅井さんがうなずいた。
「そう……ですね」
まあ舞浜のアレに行ったことがあれば微妙な感じがするのもわかる。
テーマパークにも遊園地にも徹しきれてない感じなんだよな。
ちなみに夏季のプール営業だけでも年間の営業が維持できるだけの集客力はあるので経営そのものはそんなに心配はしていないが、やはりいろいろテコ入れは必要だろう。
ただ奈良市内には近鉄の経営する歴史の古い遊園地もあったりするからそこともかぶらないようにしないとだめなんだが。
さらに問題なのは奈良自体が観光地として微妙なところだったりする。
今現在の中学校の関東の修学旅行では京都・奈良は鉄板ではあるが奈良の見ものというと大仏と鹿しかないなどと言われてしまったりするくらいだ。
有名な寺院は東大寺以外にも春日大社や法隆寺や興福寺などもあるんだけど、京都に比べるとやはり少ないと言える。
なので宿泊は大阪や京都で奈良の観光は日帰りというパターンも多かったりするのだな。
奈良は大仏さえあれば、明日も明後日も観光客は来るという、いわゆる“大仏商法”で営業努力を怠ったこと、更に”前”は日本全国で少子化が急速に進行し、高校の必修科目から「日本史」が外されたことにより高校生の修学旅行先からも外れたことなどで、修学旅行客に依存する観光構造やホテル業は破綻し、奈良のホテル客室数が全国最下位となっていたこともあった。
「京都より奈良のほうが時代劇のロケ地に向いていそうな感じもするけどな」
俺がそう言うと浅井さんがうなずいてくれた。
「たしかにそうかも知れませんね。
自然もたくさん残っていますし」
「奈良は地面を掘り返すと遺跡や遺構がたくさん出てきてしまうから開発に熱心じゃないっていうのもあるみたいだけどな」
後もう一つ”奈良にうまいものなし”という言葉があるように、これと言った有名な「銘菓」や「地元の味」がない。
京都なら八ツ橋、伊勢なら赤福があるし、熊本は馬刺し、大分はフグ、広島は牡蠣、明石はタコ、鳴門はタイといった地元の名産と言えるものがあるが、奈良はこれと言ったものがないんだよな。
あと建造物の高さ制限が厳しいので大型ホテルの建設ができないというのもあるらしい。
どうせなら奈良の観光に来た人が楽しく遊んでいけるような場所にしないとな。
夜は興福寺の側の観光旅館に止まったが、部屋や露天風呂からは興福寺五重の塔が月の光を浴びている様子が見られたし、部屋で食べた奈良の伝統料理である茶粥や柿の葉寿司に釜飯もうまかったから奈良の食い物が美味いかどうかも旅館次第なのだろうな。
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