せっかくだし慰安旅行の移動手段としてブルートレインにのってみようか
さて、今回の慰安旅行で三重・奈良・淡路・徳島・岡山・広島などに行こうという話になったわけだがどうせならここでの移動手段として寝台特急のブルートレインを使用してみたいと思う。
「今回の移動は東京駅からブルートレインに乗って寝ながら広島に向かうのはどうかな?
冷暖房完備で机洗面台や鏡、室内テレビやオーディオ機器などを完備した1人用A寝台個室の”ロイヤルシングル”ならかなり居心地は良いはずだと思うし、ちゃんとシャワールームやソファが並ぶロビーカーや食堂車なんかもあるから女性でも快適に過ごせるはずだよ。
東京駅を18時半に出発して翌朝の6時くらいには広島に到着するから寝る時間もたっぷりあるし」
俺の発言にのってきたのは明智さん。
「あ、そういうの面白そうっす、自分も乗ってみたいっす」
そして浅井さんも続けていった。
「私も一度乗ってみたいです」
北条先輩は首を傾げているけどな。
「普通に東海道新幹線か飛行機で移動したほうが料金はさほど変わらなくとも時間的なコストパフォーマンスに優れていると思いますけど」
俺は苦笑しながら北条先輩に言う
「ああ、でもそれだからこそ、今ブルートレインに乗っておきたいんだ。
実際現状ブルートレインはドンドン廃止されたり便数が減ったりしているし、乗れる機会はこの先ドンドンなくなっていくと思うしな。
みんなはともかく俺は別に開放式寝台でもいいんだけど」
「つまり今、寝台列車に乗ることに意義があると?」
「そういうこと」
「まあ今しか乗れないというのであれば乗っておくのも良いかもしれませんわね」
そして上杉先生も言う。
「まあ広島までベッドでゆっくり寝ていけるなら私も疲れないですむしむしろ助かるな」
「人数が少なかったらカートレインを利用するという手もあるんですけどね」
寝台車と貨車を併結した「カートレイン」は、乗用車を一緒に輸送してくれる列車で、乗客は寝台車を利用し、マイカーは貨車に積み込むことで、移動先でもそのままマイカーを利用できるという便利なものだったりするし、寝台特急に貨物車を接続して日本全国へ新聞を輸送するということもやっていたりする。
まあ新聞の輸送は高速道路が整備されていくにつれてトラックに切り替えられていくんだけどな。
「ああ、とはいえ流石にマイクロバスは乗らないだろうからな。
普通にレンタカーを借りるさ」
今のゲーム制作部は俺、北条先輩、斉藤さん、朝倉さん、明智さんの初期組に加えて、浅井さん横山さんの声優組、いつの間にか馴染んでいてダンスの振付担当の千葉さん、北条先輩の補佐をしている芦名さんと佐竹さん、新入生の足利さん細川さん伊達さん南部さんと14人もいるからな。
ああ、ちなみにナセルさんは夏休みの間にアメリカに帰ってアメリカのゲーム業界の状況を確認するって言っていたし、明智さんのお兄さんは西ドイツに行って最新のボードゲームやカードゲームなどを調べて必要なら購入して持って帰ってくるそうだ。
「アドバンスドテクノスや飛翔企画の連中に負けちゃいられないからな」
「その意気ですよ、明智さんのお兄さん」
いまは海外TRPGの翻訳を優先しているためTCGの開発に関しては一旦中止して進めていないけど一通り翻訳が終わったらそっちも再開しないといけないな。
「まあ護衛の人達は別に乗車してもらうとして、14人ならシングルデラックスの個室寝台車をちょうど一両貸し切りにすればいいはずだし」
オロネ25形と呼ばれる寝台特急は山陽新幹線が岡山駅から博多駅間の延伸開業によって寝台特急の利用客が減少することを見越して、個室化をすすめ、定員を減らしたかわりに居住性を改善させたものでそれなりに居心地は良いのだが、その後に作られていくロイヤルタイプの1人用個室A寝台などに比べればまだまだではある。
何しろロイヤルタイプは1人用個室のなかを歩き回れる広さがありベッドもかなり広く、窓際にはベッドとは別のソファとテーブルもあるうえに、洗面台はおろかトイレ、 シャワーまでが室内にあり、好きなときに好きなだけシャワーを浴びることができるのだ。
まあそれでも北海道から九州まで伸びた新幹線や飛行機、そして格安な夜行バスに押されて寝台特急はほとんど廃止されてしまったわけではあるが、四国及び山陰地方には唯一”前”でも寝台特急が残っていたしたまに復活したり臨時列車として走ったりもする。
寝台特急は新幹線や飛行機の利用が不可能な時間帯に利用でき、夜行バスよりもずっと寝心地が良いというメリットがあるんだな。
まあ、このころはまだB寝台は3段ベッドの列車も残っていたりするけど、移動の手段ではなく乗車自体を鉄道旅行の目的とする寝台特急は人気だったりするんだ。
なんだかんだで観光列車はその後も人気だし、できれば寝台特急もうまく生き残って欲しいと思うんだが。
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