どうやら北条先輩が留年することになったようだ。

 2月21日 和泉重千代さんが120歳で死去し、これにより江戸時代に生まれた日本で存命の人は居なくなった。

 2月25日エドゥサ革命によりフィリピンの独裁者であったマルコ大統領が国外脱出、アキナ大統領が新たに就任しフィリピンは民主化された。

 3月3日埼京線が新宿駅直通運転を開始し、京葉線の西船橋駅・南船橋駅・新習志野駅・海浜幕張駅・検見川浜駅・稲毛海岸駅・千葉港駅が開業した。


 さて2月はあっという間に終わり3月になった。中学は義務教育ということもあって三年生でもその後もきっちり授業は続いたが、高校の三年生は早ければ推薦で大学入学が決まった生徒や、就職が内定した生徒は三学期の初めから、普通に大学受験を行うものも2月になれば、ほとんど学校へ登校しなくなり、自宅で大学進学なり就職に備えて行動を行い、後は卒業式の予行で登校するくらいでしか来なくなるので学校内は少し寂しい。


 就職する場合は3月21日から入社する場合もあるから卒業式も終業式より早く行われるしな。


 まあ学校側は来年の芸能科とプロスポーツ科の新設などもあってクラスの再編成や編入準備、進学クラスと普通科クラスの入れ替えなどに忙しいようだが。


 一年生や二年生は三学期期末考査が終われば三学期終業式で4月から俺たちゲーム制作部メンバーは芸能科にクラス替えになる。


「で、北条会長は留年して2年生もう一回やるんだって?」


 俺がそうきくと北条先輩はうなずいた。


「ええ、そうですわ。

 授業の出席日数が足りませんでしたし」


「ということは先輩に仕事を投げすぎた俺のせいだよな。

 わざわざそこまでやることはないのに」


「そうよ、進級よりも仕事を優先するなんておかしいわ」


 そういうのは斎藤さん。


「私が進級を優先して授業に真面目にでていたら、今ほど利益は出ていませんからお母様も特に問題視はしておりませんわ。

 そして来年は私だけ学校行事で仲間外れにもなりませんもの」


「ああ、今年の修学旅行はみんな一緒のクラスだもんな。

 北条先輩は意外とそういう所寂しがりやだよな」


 俺がそう言うと明智さんはウンウンとうなずいた。


「そうっすよねぇ」


 芸能科には高校生の現役アイドルや俳優・女優・声優なんかも編入してくるが、場合によっては撮影やら収録やらの関係などで修学旅行とか参加できない気もするけど、かなり忙しかった岡畑有希子さんが修学旅行に行けたくらいだし大丈夫か。


「いずれにせよ来年からは最悪出席日数が足りない場合に単位が足りなくても会社活動の方で実績を残せば進級に問題はでなくなりますので」


「それは助かるよな」


「とはいえ、学生の本分は勉学とお母様に言われましたが」


 北条先輩がそう言うと斉藤さんが冷ややかに言った。


「それは当たり前だと思うわ」


 今年は様々な理由で入学希望者が殺到したのでもともと2年後の88年の千葉経済大学設置に向けて高校も新校舎を増設していたようだが、来年は特進クラス・芸能科とプロスポーツ科も増えてますます在校生が増えることになるようだ。


 公立高校では学力や体力などでクラス同士が競い合うように、同じ学年のクラスは全体的に生徒を均等に振り分けるようにするのだが、私立だと文理特進・文系特進・理系特進などの目指す大学によってさらに細分化され成績がぜんぜん違うこともよくある。


 なので体育祭とかが行われないこともあったりするんだな。


 というか北条先輩なら今更学校の勉強する必要あるのかって言う気もするけどな。

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