そろそろチェルノブイリ原発事故やソ連崩壊を予言して原子力の扱いの注意を本格的に促すか

 3月5日 青函トンネルの本州と北海道が完全結合しレールが敷設された。

 3月23日 関東地方では季節外れの大雪となり、西武新宿線田無駅付近で後続の列車が前方に停車中の列車に追突する事故が発生210人が重軽傷となっている。

 有馬浄水場方面の送電線で鉄塔が倒壊。

 この影響により横須賀市では、5万戸が断水となった。


 さて、3月の終業式の後に春休みに入った。


 そして今年1986年4月26日には史上最悪のなかでも最悪の原子力発電所事故の一つであるチェルノブイリ原子力発電所事故がおこる。


 もう一つの史上最悪のなかでも最悪は福島第一地原発事故だけど。


 そしてソ連で起こるこれを防ぐことは実際問題として俺には不可能だ。


 だがこれをきっかけに日本の原子力政策や原子力発電の構造的欠陥に警鐘を鳴らすことは可能だと思う。


 すでに昭和44年(1969年)に原子力船むつが進水した後の、 昭和49年(1974年)に原子力船むつの放射線漏れが発覚すると母港むつ市の市民から帰港を拒否され、昭和54年(1979年)のスリーマイル島原発2号機の二次冷却水停止による事故以降は世界的にも原発賛成が減って行った。


 そして、今年1986年のチェルノブイリ原発事故は、外部電源が遮断された場合の非常用ディーゼル発電機起動完了に要する約40秒間に、原子炉の蒸気タービンの惰性回転のみで各システムへの電力を充足できるか否かを確認するものであったが、責任者の誤った判断や、炉の特性による予期せぬ事態の発生により、不安定状態から暴走に至り、最終的に爆発したのである。


 そしてチェルノブイリ原発事故は、その規模の大きさと深刻さから世界的に大きく報道され、原子力事故の危険や放射性廃棄物の処理問題など、それまであまり注目されることのなかった問題が注目されもともと反原発活動が活発だったドイツではチェルノブイリ原発事故後にはドイツ南部を中心に土壌や農産物、野生動物を汚染されたことで、いっそう激しさを増し世界的にも原発の信頼性を大きく残ったことにより、原発の新設が世界的にかなり停止したこともあってウランの価格は1980年には1ポンドあたり$32.90米ドルであったが一時十分の一まで下落し、その後少し戻ったものの90年には$12.55米ドル、2001年には$7.92米ドルまで下落した。その後、2006年のアメリカ合衆国のドキュメンタリー映画”不都合な真実”で石油が悪玉に祭り上げられると原子力は息を吹き返し、2010年には$44米ドルまで上がったが、福島第一原発事故で価格はまた半値まで下がった。


 日本では広瀬隆二氏が1979年のスリーマイル島原子力発電所事故を機に、『原子力発電とはなにか……そのわかりやすい説明』や『関東に原発を!』を発表しているので彼を呼んでテレビ房総で現状の原発の危険性を話し合おうと思う。


 ”このままだと日本はやばい”の第二回目討論だな。


「さて、本日は前田健二さんとゲストの広瀬隆二さんの対談となります」


「どうかよろしくおねがいします」


 俺がそう言うと広瀬隆二氏がニコリと笑った。


「こちらこそよろしくおねがいします」


「広瀬さんは『関東に原発を!』という本で「安全というならば、長大な送電線建設コストのかかる地方ではなく、電力の大消費地である首都圏に原子力発電所を建設してはどうかと指摘されていますね」


「ええ、すでにスリーマイル事故でわかっていますが、原子力発電では冷却水の外部電源が止まった場合には致命的な結果になりうるのです。

 1957年のソ連で起きたウラル核惨事でも、冷却不能の事態が核廃棄物であっても爆発大事故につながることはわかっていますしね」


「たしかにスリーマイル島原子力発電所事故は日本ではあまり詳しくは報じられていませんからね。

 すでにアメリカで原発もメルトダウン事故を起こしており、日本の東京電力・東北電力・中部電力・北陸電力・中国電力が採用している原発の格納容器には欠点があることがアメリカ本国ではすでに認識されているはずですけど」


「ええ、複数の御用学者が私の主張内容を“誤りと扇情的な筆致の問題点”としていますがこのままでは最悪東海地震が起きて、浜岡原発で大事故が起きたら関東に人は住めなくなりますよ」


「そう言えば福島に原発を建てる際には伊豆半島、姉ヶ崎、鹿島、東海村、水戸射爆場跡地などをも考えられていたようですね。

 ですが、伊豆半島は地震多発地帯であり岩盤に亀裂が多いことから避けられ、姉ヶ崎は東京湾岸で人口密集地に近いことから対象より外されたそうですが」


「原発が本当に安全であると言うなら最初から姉ヶ崎に立てればいいんですよ」


「いざ事故が起こったら危険だということは関東電力もわかっているということですね」


「そういうことです。

 そして東京湾の内側より浜岡は地震や津波で外部電源を失う可能性は高いです。

 そうなるまえにそもそも原子力政策を転換するべきでしょう」


 この頃は関東大震災や東海地震が起きる可能性が高いと思われていたんだな。


 実際には新潟中越地震や東日本震災による原発事故のほうが先に起こったんだけど。


 彼の投げかけた質問に俺は頷いた。


「ええ、そうですね。

 せめて格納容器には欠点があることがわかっているのであれば、まずはそれを何とかするべきでしょう」


「そうですね。

 さらに使用済み核燃料の処理方法は未だに無いのだから、まずはそれをちゃんと何とかする目処をつけるべきでしょう」


「となると新しいタイプの原発にさっさと置き換えるか、他の発電方法に変えていくべきというわけですね」


「関東電力や政治家が原子力発電は安全だと言うならそれこそ姉ヶ崎にでも霞が関にでも東京湾の無人島にでも原発を立てればいいのです。

 そのほうが無駄もない」


 彼の言うことに俺はうなずいたあとにいった


「そうですね。

 現状ではソ連の経済状況はかなり末期的なようですが、近いうちにアメリカのスリーマイル事故同様にソ連でヒューマンエラーによる大規模な原発事故が起こって、おそらくそれが大問題になると思いますよ。

 それによりソ連の政治や経済の崩壊が加速するのも間近でしょうし、原発についても問題意識も変わるかと思います。

 ソ連崩壊についてはソ連情勢に詳しいゲームデザイナーの加藤大輔さんも同じように予測していますし、フランスの歴史人口学者エマニエル・トット氏は1976年の『最後の転落』で、10年から30年以内のソビエト連邦崩壊を予測し、その理由を通常は下がり続けるはずの乳児死亡率が、ソビエトでは1970年から上がり始めたことを指摘し体制が最も弱い部分から崩れ始めたと主張しています。

 更に日本国内でも1980年に大室直樹さんが、『ソビエト帝国の崩壊 瀕死のクマが世界であがく』でソ連崩壊を予言していますが、その根拠は店、ホテル、レストランなど接客業務にまったく笑顔がなくあるのは官僚としての威厳の誇示と自分の特権の乱用だけで、街には虐待されたネコが数多く存在する、最悪な国だということを自分の目で見たからのようです。そして昨年、モートン・カブラン博士も5年以内のソ連崩壊を予測しています」


「なるほど、ソ連は思っている以上に危険な状況のようですね」


「そして実際に、昨年1985年に共産党書記長に就任したミハエル・ゴルパチョフ氏が提唱し実践中のペレストロイカは、既得権益に固執する共産党官僚制度の抵抗勢力に邪魔されてまったく進んでおらず物資不足や労働生産性の低下はすでに立て直しの聞かない所まできているようですからね。

 冗談ではなくソ連の民衆に対しての不満を逸らすために北海道もしくは新潟にソ連軍が攻めてくる可能性はあります」


「今の言葉はそちらのゲームデザイナーさんの作品の宣伝のためですか」


「ああ、いや必ずしもそういうわけでもないのですけどね。

 まあゲームが売れてくれればそれにこしたことはないですけど。

 ただ北海道や新潟の防備には注意が本当に必要かなとは思います。

 それこそ1981年6月7日のイスラエル空軍機によるイラク原子炉爆撃事件のような航空機などによる攻撃だけでなく、テロによる原発への攻撃も絶対ないとは言えませんし」


 実際には北朝鮮による拉致犯を伊邪那美がことごとく地獄へ落としたことで北朝鮮に協力していたKGBのスパイは地獄に落とされ、そのスパイ網はずたずたに切り裂かれていることもあり、ソ連のスパイやテロリスト、軍人が日本へ再度上陸した場合は地獄へそのまま直行コースなので、この時点でソ連が日本へ攻撃を行う可能性はゼロに近いのだが前田健二はそこまでは知らない。


「そうなった場合、電力会社や政治家がどう言うのかが見物ですね」


「そもそも外務省は一昨年の1984年に、イスラエルが、イラクの研究用原子炉施設を爆撃した事件を受けて日本国内の原発への攻撃があった場合の被害予測を行っていて、全電源喪失・格納容器破壊・原子炉の直接破壊の全てで放射性物質が大気中に放出されることを予測していて、緊急避難を全くしなかった場合は、急性死亡が最大で1万8000人、急性障害が最大で4万人。

 長期的影響としては、がん死亡が最大で2万4000人、人間が住めなくなる「居住制限地域」が最大で87キロ圏内という予測が出ているはずですよ」


「他国の原子力発電所への航空機やテロ攻撃も災害リスクの一つとして認め、危険性や対策について国民に説明すべきですね」


「実際に他国からの侵入での拉致の被害者がでていたことを考えると笑えないですから、僕もそう思います。

 本日は有益なお話をありがとうございました」


「いえ、こちらこそ」


 そんな感じで俺達の対談は終わった。


 まあこういう事を話しておいて記録をちゃんと残しておくのは大事だよな。

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