DDTを使ってパソコン通信用のVAN網を全国に張って会員数増加に対応しようか、ついでにパソコンを使った通信販売も始めよう

 さて、夜間の電話料金定額サービスパソコン通信の会員は順調に増えていて、電話回線数やサーバーもワークステーションを大増設して対応しているが、現状では電話料金の定額サービスが始まる時間帯にアクセスが集中して繋がりにくくなったりして会員数の増加に対応しきれていない。


 また昼からアクセスするとどうしても電話料金が割高になるので、アクセスポイントをもっと全国に増やすようにしてほしいという要望も増えてきた。


「北条先輩。

 パソコン通信のアクセスポイントだけど、今は千葉と東京だけだけど、携帯電話サービス開始の今後も見据えて全国にVAN網を設置していったほうがいいと思うけどどうかな」


「そうですわね。

 DDTの契約数は順調に増えていますし、都心では大学などのデータ通信網はある程度出来ていますけど、地方都市の大学などともつないでいくほうが良いでしょうね」


「うん、それもあるね。

 あと、テレビ房総のテレビショッピングやトーキョーベイFMのラジオショッピングの手法も活かしたりして、パソコン通信上での通信販売も始めて行きたいんだけど問題は画像の表示かな、将来的には審査の上で手数料を払えば誰でも通販に参加できるようにしていきたいけど」


「そうですわね、現状の通信速度では画面に画像そのものを乗せるというのはなかなかに厳しいでしょう」


「となると希望者には分野別にカタログを送ってカタログの番号をパソコン通信で連絡してもらったほうがいいか。

 本とか、パソコンとかおもちゃとか同人誌とかゲームソフトとか俺たちが持ってる会社で扱っているものをまずは手始めに」


「そうですわね」


 日本の通信販売が確立したのは戦後で1960年代には主に電話や郵便でやり取りを行うカタログの通信販売の主要な業者が設立され、1970年代頃からはテレビやラジオのCM以外のテレビショッピング、ラジオショッピングも目立つようになってきた。


 そして1980年代には女性の社会進出の拡大や、宅配便サービスの拡充により、自宅で好きな時間に注文が出来る通信販売はより活発になり、1990年代後半以後はインターネットの拡大によってネット上での通信販売も普及していって、郊外型の大型ショッピングモールやアウトレットモールとともに既存の商店街や書店、玩具店、電気店などを脅かすまでの存在になった。


 まあ通信販売の場合、実物を見ていないので買ってみてから失敗したと後悔するというケースが少なからずあるけどな。


 もっとも船橋はららぽーとというアウトレットモールの超大型店舗が出来ても、駅前商店街が生きているのは駅から近い場合は車を使うことが少ないからではあると思うので通販が活発になれば商店街や書店、玩具店、電気店が潰れるとも限らないが。


 来年度からは松元電器のトロン搭載パソコンで小、中、高の学校でコンピュータ教育をするという話も進んでいるが、プログラムを組めるレベルはともかくとして、文字入力や表計算入力などを、学生はせいぜいパソコンが好きな個人が趣味で覚え、会社に入ってから本格的に教えるというレベルだった物も学校在学中に普通に皆が事務用に入力出来るように大きく変わるんじゃないだろうか。


 そうなるとそろそろ東京四洋電機用のパソコン用ワープロソフトや日本語変換ソフト、表計算ソフト、会計ソフトや年賀状ソフトなども自分で作って売り出さないとな。

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