コミケも谷津遊園で無事開催できたよ
さて、ゲーム大会が終われば日本最大の同人即売会となるコミケの開催準備だ。
第一回は昭和50年(1975年)の12月21日虎ノ門日本消防会館会議室で参加サークル数32参加者数は推定で700人だった。
ただし参加者の90%が、少女マンガファンの女子中・高校生で以後しばらくはこの状態が続く事になったのだが。
今年の冬は29回目で日時は12月29日で、サークル数は4,000、参加者数は3万人まで増えている。
参加者はやはり中学生、高校生、大学生が多いがコミケのために上京してくる人間もたくさんいるのがゲーム大会とはぜんぜん違う。
ノリも商売というより漫研やアニ研の学園祭の延長というノリで、ネットがまだ未発達であったこともあって漫画好き・アニメ好き・小説好きの同士が集まる場所という、ゆるい雰囲気の場所で転売を目的とするような人間はほとんどいない。
そして漫画では“コマンダー翼”の人気が沸騰しライバル校のキーパーの健攻めエースストライカーの小次受けが大人気だったりする。
主人公サイドだとやっぱりキーパーの源攻め、主人公とコンビを組んでいる太郎受けとかが人気らしい。
後は“六神合体ゴットアレス”の主人公兄弟、小説の銀河ヒーロー伝説の双璧や時代劇の必殺シリーズ、刑事ドラマの“太陽に叫べ”、週間ホップの車畑漫画の“風間の小次郎”や‘リングを駆けろ’の主人公たち、実在するプロ野球選手から、ジャーニーズアイドルまで、男と男のカップリングは幅広い。
コスプレはアニメがメインで宇宙戦艦ナガトや機動戦士ガンガン、超時間要塞マックロデスなどのSFアニメもまだまだ人気だが、魔女っ子変身アニメやうるさいやつらなどのラブコメのコスプレも増え、映画の宇宙戦争のダークベイダーとか銀河ヒーロー伝説の軍服コスプレも人気だな。
アニメだとロボットやスペースコロニーの仕組みやら後付設定やらを考えるのが流行のようだ。
「一体どういった発想からこんな組み合わせを思いつくのか謎だよなぁ」
俺がそう言うと斉藤さんも絶句していた。
「………そうね」
どうやら女子ならみんなホモが好きなわけでもないらしい。
ちなみに高川ゆんさんは”銀河の始末屋ブレイダー”の同人誌だったりする。
「おお、でも流石にみんなうまいなー」
俺がそう言うと最上さんが頷いた。
「画力はプロ並の人多いですよねー」
「この人もすげーな」
書いているのは萩原二至さん、遅筆だが緻密な画面を好み、今はアシスタントだがいずれ週刊少年ホップで人気になる人だな。
その他にもここは緑林荘の那州和也さん、タクマくんシリーズのおおやま和美さん、美少女ブレザー戦士ブレザームーンの武仲直子さん、際遊記の峰倉かずとさん、サイレントクラインの麻宮亜騎さん、島田ひろかずさん、うたたねひろきさん、影林栄貴さん、さらにはコスプレブースで『うるさいやつら』のヒロインのリキュールのコスプレをしていたのが二本木蛮さんなどかなり有名になるがまだデビュー前の漫画家も結構いる。
「北条先輩、このカタログの丸をつけたサークルの先生と商業で書いてみないか交渉してみてもらえないかな?」
「わかりましたわ」
俺はカタログのテーブルに丸をつけて交渉は北条先輩に任せた。
「これでうちの出版社から商業デビューしてくれる同人作家がたくさんいればいいんだけど」
しかし結構有名になる漫画家でもデビュー前に同人活動していた人も多いんだな。
「あ、これブレイダーのセル画ですか?」
「ええ、一枚1000円でいかがですか」
「ぜひ!」
ちなみに今回は直接にアニメのセル画などはちゃんと売って結構な金額になったので、アニメーターさんの支援もできそうだよ。
それはともかくシナリオライターとして使える人がいないかと同人小説も買い漁ったりなど、そのまま使えないかと同人ゲームサークルのゲームを買ったりレビュー本も買い漁ったりしてみたが、まあ世の中にはいろいろな人がいるなとつくづく思ったね。
このころの同人サークルは本当に書くのが好きで好きでたまらなくて同人誌を書いてるけど、実際は一部も売れないことなどもこのころからよくあったりする。
自分の好きという思いを込めた書いたものが、たくさんいる会場の来場者の誰にも眼にもとめてもらえないというのはやっぱきついだろうなぁ……。
とは言え4000サークルもあるとそういうサークルのほうが多くなるのも仕方ないけどな。
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