浅井さんにジュエルスのキャラクターの声を当ててみてもらったよ
さて、ダンバイからホームトレーナーという足で踏んで操作する周辺機器の先行試作品がとどいたこともあって、ホムコン用ダンスゲームの開発にも着手した。
ホームトレーナーの発売は一年ほど先だけどある程度余裕を持って作るのも大事だしな。
「まあ、基本はリズムアクションを脚で操作するというだけだから、プログラム自体はそんな変わんないのが助かるけど、やっぱりちょっと操作のタイミングの取り方とかは違うな」
俺がそう言うと千葉さんが笑っている。
「そりゃあ、シンセサイザー・キーボードをうつのと同じ速さじゃ、ダンスなんて無理だよー」
「だよな、そのあたりはちょっとずつ修正していかないと」
それから島津さんが作っているAIによる一人プレイが可能な対戦型ジュエルスの改良型で全11面のストーリーモードが付いたジュエルス2もだいぶ仕上がってきたので、それを使ったゲーム大会開催のためにも浅井さんなどに自キャラの連鎖ボイスを当ててもらうことにした。
「浅井さんもだいぶボイトレとか頑張っているし、ゲームキャラの声を当てるのもそろそろ行けるかな?」
「あ、は、はい、がんばります」
この頃というかその後もずっとゲームセンターにおいて、脱衣麻雀を含めた麻雀ゲームは一角を占領し続けた人気のゲームだが、これも1980年代に登場したもので、”リーチ””ポン””カン””ロン””ツモ”などのある程度の声を出すこと自体はゲームセンターではすでにできている。
これは楽器の音や声などを録音してメモリへ蓄積しておき、鍵盤の押鍵やMIDIのノートオン信号などに応じて所望の音程のPCM波形をメモリから再生する音源方式であるPCM音源のチップの普及が進んできたからこそ出来ることではあるだけどな。
「このプレイヤーを応援したり励ましたリ驚いたりする女の子の吹き出しのセリフの「えい」「おお?」「すごい!「いけいけー」「それー」「まずいまずい」「あららぁ」といったセリフを感情も込めて入れてくれるかな?」
「はい、やってみます」
ゲームに声を当てるというのはこの頃はまだまだ珍しいが、ホムコンでもタイトルの名前とかをタイトル画面で言うとかのちょっとした声なら入っているソフトもそれなりにあった。
ちなみにぷよ&ぷよでは最初は自分も敵も全てメインヒロインの声で連鎖していたが、次はメインヒロイン以外制作会社の社員が声を入れていたのを、その後全てプロの声優で録り直したりしている。
キャラクターの声が普通に入るようになるのはソフトの媒体がCD-ROMになってからだけどな。
「えい」
「あ、もうちょっと力を込めてみて」
「えい!」
「あ、うん、そんな感じ」
こんな感じで何度も何度もやり直してもらって満足する声のサンプリングは出来た。
そのあと浅井さんと同期の四石琴乃さんやまだデビュー前だったりそれほど売れていない状態の冬牛由美さんや山元和佳奈さん、火高のり子さん、水山優子さんに加えて、人気声優の堀河りょうさん、塩川兼人さん、井之上和彦さん、矢頭一樹さん、青木武さん、郷町大輔さんといった声優さんたちにもお金を支払って声を当ててもらった。
なんで男性のほうが現在の評価的に豪華なのかと言えば個人的に好きな人達だからもあるし、女性よりも演技力や現状の名前が重要な気がするからだな。
女性もこれから売れていく人たちなんだけど。
「男女6キャラずつで合計12キャラだし丁度いいかな」
ちなみに青木武さんは副ボス、郷町大輔さんはラスボス役だ。
「ジュエルス2はまずはゲーム大会で発表して、それからアーケード筐体は初代と入れ替えていくか」
俺がそう言うと会長が首を傾げた。
「SAGAマーク3などには移植しないのですか?」
「やるならFMとPCMサウンドユニットを増設するとかかな。
企画書は俺が書くから会長がSAGAと折衝してくれる?」
「ええ、いいですわよ」
スーパーホムコンではPCM音源が採用されることによって音楽がピコピコ音から管弦楽器を基調とするオーケストラっぽい音楽表現が可能になったりもしているんだけど、現状ではまだPCM音源標準搭載は据え置きゲーム機どころかパソコンでもないのが実状だ。
来年頭にはまたどっと金が入ってきてくれるといいんだがな。
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