福島の常磐ハワイアンセンターや温泉旅館の買取りは成功したようだ、そして西湖への旅行を生かしたアイデアの話をしようか
8月21日 第67回全国高校野球選手権大会は大阪・PL学園高校が2年ぶり3度目の優勝。決勝戦(対山口・宇部商業高校戦)で桑原が大会新記録となる5本塁打を放つなど、清田との「KKコンビ」としてのラスト甲子園を有終の美で飾った。
俺は西湖への旅行から帰ってきてすぐに大型の水槽や冷水魚用クーラー、オーバーフロー式の海水魚用ろ過フィルター、タイマー付きの水槽用照明、餌となるイクラなどを買って鱒をその中に入れた。
「なんとか餌を食べて無事に生き延びてくれよ」
海水魚は冷水魚並みに水質に敏感だが、オーバーフロー式の海水魚用ろ過フィルターは、それに対応できるだけの性能がある。
物理ろ過の能力が非常に高いうえに、バクテリアや硝酸塩などの浄化能力も高く、酸素供給力も抜群で、水量が確保できるというメリットがある。
最大の問題は値段が高価なことではあるが、鱒の命には換えられないし冷水魚用クーラーも買う以上はこちらも最良のものにしておきたいからな。
お母さんはそんな俺の様子を見て不思議がってる
「なんか変わった魚を飼うのね」
「うん、めちゃめちゃ貴重な鱒かもしれないから」
「そうなの?
お母さんにはよくわからないけど」
「まあ、多分、だけどね。
電気代がかかって悪いんだけどエアコンはつけっぱなしにしておいて。
温度が上がると簡単に死んじゃうから」
「わかったわ、グッピーとかとは逆なのね」
「うん、そんな感じ」
幸い餌のイクラはちゃんと食べているようなので、後は病気に気をつけるだけでいいと思う。
そして翌日、皆で部室に集まったところで会長からまた色々報告があった。
「まず、谷津遊園の動物園にポニーや山羊・羊やモルモットや兎、ウォンバット、レッサーパンダ、アライグマ、カピバラ、ヤマアラシ、ワラビー、カワウソなどが入りました」
「お、やっと来たのか。
これで‘売り’が一つ増えそうだな」
「ええ、猛獣ではなくあまり知られてないけど、人気になりそうな動物を選んで増やしておりますわ」
「さすが会長、猛獣でも他所の動物園でも普通に見られる動物より、そうじゃない動物をまず取り揃えたほうがいいもんな」
「ええ、パンダやコアラと言った‘売り’がある動物園はたしかに強いですが飼育がとても大変ですし、飼いやすくて人気が出そうな動物をまずは揃えるのが良いかと私も思います。
その方が飼育員や獣医の負担も少ないですし」
「そうだよな」
「それから福島の常磐ハワイアンセンターといわき湯本、磯原、磐梯熱海、会津東山、鬼怒川のそれぞれ経営状態が良くない旅館の買取に成功しましたわ」
「どれくらいの値段だった?」
「ハワイアンセンターが3億円、旅館は1億ほどです」
「それくらいなら早めに元は取れそうだね」
あと、伊東と同じように入口近くの一階の客室を地元の和菓子屋とタイアップして地元色の強い和菓子を取り扱う甘味処兼和風喫茶室に変えて、泊り客以外も和菓子や抹茶などを堪能できるようにし、比較的安価で温泉のみの入館や宴会・食事にも利用も可能としたり、エステやマッサージのための部屋や専用のベッドなどを設置してエステシャンを雇い、子供をあやすための保育士も雇って、小さな酒蔵と交渉してうまい地酒・日本酒・焼酎などを色とりどり揃えたり、トイレの大便器はすべて洋式に変え、便座にはウォシュレットも導入したり上で、‘テレビ房総’と‘トウキョウベイFM’で、CMを即製作、放送を行って、福引の商品の特等に宿泊券を入れてもらったり、国鉄と商談して列車のきっぷと旅館、近くの観光施設の入場券などをお得に販売する個人や少人数のグループツアーの企画を駅のパンフレットに強引にねじ込んでくれたり、上杉先生が友人や教師に紹介してくれたようだ。
ああ、中の和風喫茶で出す和菓子自体は身元の名産となってるものを優先的に出して、夕食の料理などと同様に地域色を強く出している。
この頃に観光メインの温泉地は公共の安く誰でも入れる温泉を作らせないようにホテルや旅館は自治体に圧力をかけたりしていて、のちのように気軽に地元の人間も入れる公共の足湯も含めた温泉はほぼないので温泉のみの入館などができれば地元の人間でも温泉に入りに来るだろうという観光のオフシーズン対策も兼ねている。
「本当に会長は仕事が早くて助かるよ」
「安めで買い取ったところでそのままにしておいたら赤字になるだけですわ。
ならば客が来るように最低限の設備などを改善・新設して宣伝をするのは当然です」
「ああ、そう言えば舞浜のアレはホテルに泊まる客には成田空港からの無料送迎バスを出してるらしいし、それを真似してハワイアンズのホテルや俺たちの旅館の宿泊者やうちの関係者は無料で、ハワイアンセンターや近くの旅館へは東京駅や上野駅、新宿駅や池袋駅、千葉駅から西船橋駅を経由して松戸駅から送迎するバスを一日一往復ずつ用意したほうがいいと思う、東京からだと電車賃も安くないしな」
「その方が良いかもしれませんわね。
京成などと交渉してみましょう」
「うん、お願いな」
現状は赤字なようだからしばらくはきついかもしれないが、昭和63年(1988年)3月24日に常磐自動車道がいわき中央ICまで全線開通すれば、もとは取れるようになるはずだ。
もっとも老朽化している施設のリノベーションや温泉施設やプールの追加、ウォータースライダーの新設、夏休みの混雑時は海水浴場への誘導などのテコ入れも必要だとは思うけど。
お客さんが増えるのはいいが、一時期だけこみすぎても満足度が低下するのがこういう施設の難しいところなんだよな。
「それから明後日くらいには田沢湖町から確認に来てもらえそうですわね」
「それも助かるな」
「あちらもできれば早く確認したいのでしょうね。
観光の季節にそういう話題があるのと無いのとでは大違いですから」
「まあ、そりゃそうだよな。
俺の釣った鱒がクニマスやクログチマスだったら田沢湖の近くの経営状態が良くない旅館を買い上げてもいいかもな」
「それもいいですわね」
「西湖の旅館、もしくは釣宿とキャンプ場も買収できそうならやってほしい」
「わかりました、調べておきましょう。
避暑地としては人も少ないですが、悪くない場所だとわたしも思いますわ」
そこで明智さんが手を上げた。
「部長! サファリパークの売店で売ってたでかいぬいぐるみは谷津遊園でも売ったらいいと思うっす」
「ああ、でもあそこは車だから持って帰ることができるんだと思うけど」
俺がそう答えると千葉さんがいった。
「なら、宅配便で送ってあげればいいんじゃないかな?
スキーやゴルフだとあらかじめ現地に送れるようになってるよ」
「ああ、なるほどそう言うのもいいか。
それなら谷津遊園のバラも一輪から花束まで首都圏には日付指定で宅配できるとかがいいかもな」
「バラの花束を届けるのはいいアイデアです。
バラは売りの一つです」
朝倉さんがそう言うと最上さんも言った。
「それなら梨もやったらいいんじゃないかなー?
ふなばなっしーってそういう目的もあるんでしょ?」
「ああ、船橋名物として梨も扱うといいかもな。
今の季節にぴったりだし」
「では宅配便業者と折衝してみましょうか」
「ああ、あんまり値段とかの無理は言わないであげてな。
できれば自分たちで配達できるといいんだけど、今からじゃちょっと遅いしな」
宅配便の元祖が設立されたのは昭和51年(1976年)1月20日なのでまだ歴史は浅いとも言えるが、複数の運送会社が動物の名前で参入しているし、すでにそれらの会社はコンビニを窓口にしていることもあって今からではシェアを持つのは難しいだろう。
それに対して会長が言った。
「であればどこか体力の低い運送会社を買い取りますか?」
「うーん、そうしても元が取れるか怪しいし、今回は普通に他所へ頼んだほうがいいと思う」
「わかりました、ではそういたしますわ」
「後、谷津遊園のキャンプ場のバーベキューで希望者にはセットで下処理した食材も提供したほうがいいかなって思うんだ。
それさえ頼めばすぐ焼くだけでバーベキューできるようにできる便利だと思うんだけど、どうだろう?」
俺がそう言うと浅井さんがまず賛成してくれた。
「そ、その方が色々な手間が省けていいと思う人もいると思います」
「あ、浅井さんには色々料理の下ごしらえさせちゃってゴメンな」
「い、いえ、むしろ役に立てて嬉しいです。
でも下処理に時間がかかるのはたしかだとおもいます」
会長も頷いた。
「夏ですと肉や海産物は傷みやすいですし、その方が食品衛生的にも良いかもしれませんわね」
「これは前日までの事前予約制にして、食材が不足したり余ったりしないようにはしないと駄目だけどな」
斎藤さんも言った。
「そうね、でもいいことだと思うわ。
休みのキャンプだからこそ自分で料理をしたいっていう人もいるでしょうけど、休みだからこそ余計な手間はかけたくないって人も多いでしょうし」
「あと、合コンというか見合いというか、男女の出会いイベントを積極的に勧めてもいいと思うんだよな。
熊野神社は縁結びの神社としてだいぶ有名になっているっぽいし。
まあ金山神社の金運上昇のほうが人気っぽいけど」
実際に“ねるねるとん”はもう少し後だけどかなり人気だったはずだし、70年代のカップリング番組は今は人気が低迷中で打ち切られたりしてるはず。
これには千葉さんがうなずく。
「そういうのもありだよね。
大学のコンパみたいなの?」
「うん、まあだいたいそんな感じ。
ただテレビ房総とかトウキョウベイFMで放送してもいいと思うんだ。
カップルが成立したらそのまま谷津遊園で遊んでもらうって感じで?」
俺がそう言うと明智さんも頷いた
「なるほど、それはいいっすね」
その後朝倉さんが言った。
「そう言えばこの前に行った西船橋の長次郎会館みたいな施設も谷津遊園に作ってみたらどうです?」
「総合アミューズメントビル?
そうだな、あとセイント・リオパークも早く作らないとな」
「セイント・リオパークはすでに計画はすすめていますけど、総合アミューズメントビルも、早めに建てたほうがいいかもしれませんわね。
ボウリングは意外と人気が出そうですし」
「船橋競馬場の駅前にもBSスポーツセンターっていう1階がビリヤード・卓球・ダーツ・ゲームコーナー・カラオケ・屋外バッティングセンターなど、2階・3階にそれぞれ28レーンずつのボウリング場、4階は屋外テニスコートで5階が展望レストランとなっている施設はあるはずだけど、駅が違えば多分なんとかなると思う」
ボウリング場自体は西船橋だけじゃなくて津田沼や本八幡、市川にもあるけどしばらくの間は景気が上向くはずだから大丈夫だろう。
「谷津遊園の温泉施設にもエステやマッサージをする場所を加えてみたらどうかしら?」
斉藤さんがそう言うと上杉先生も言った。
「旨い酒が飲める宴会場もあればなおよしだな」
「ふむ、エステやマッサージはたしかにありですわね。
美味しいお酒の宴会場もあるに越したことはないですか」
「たしかにな、その場合は託児施設も必要だと思うけど」
そして浅井さんも言う。
「あ、あの、西湖の釣宿と同じように、海へ出る釣り船とかで釣りができるようにしたり、屋形船を出すのはどうですか?」
「あ、そういうのもいいな、船橋港でハゼとか釣ってるやつ結構いるはずだし」
「漁船や屋形船ですか。
中古であれば100万円台から1000万円台で買えるはずですが、後は運転を行う人とかも別に雇わないといけませんわね」
「今月の月末に、船橋港で花火大会とかもあるしそういうのもいいかもな」
「海の上から宴会をしながら花火見物ですか。
それはたしかに良いかもしれませんわね」
会長がそう言うと上杉先生も言った。
「打ち上がる花火を見ながらうまい飯を食って旨い酒が飲めるなら金を出すやつは絶対いるな」
「あ、じゃあ、色々あって大変だけど会長に頼めるかな?」
「ええ、もちろんお金になるなら当然やるべきですもの。
芦名さんや佐竹さんにも手伝っていただいてなるべく早く入手いたしますわ」
「よろしくな」
まあこんな感じでアイデアの話は終わったので後は悪いけど会長たちに丸投げだ。
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