修学旅行に参加してみた意義はある意味いろいろあったな

 その後2日目の夜は比較的早く皆が寝て昨日に比べれば静かに夜は過ぎて、3日目の奈良、4日目の伊勢はまたクラスごとの大型バスでのクラスでの団体行動だったからバスの中でカラオケで盛り上がったり、お菓子を賭けて大富豪をやってお菓子がなくなったりしながら奈良や伊勢の観光名所を回って最後は新幹線で東京に戻っていったわけだけど帰りは殆どみんな寝ていたね。


 2日目の班行動以外はほぼ団体行動ばかりなので生徒の自主性を伸ばすというような意味はあまりなく、ツアー旅行が普通であるこの時期では仕方ない面もあるにせよ、歴史に興味がないから歴史的建築物にも興味が持てない生徒にはこの旅行は退屈で、あまり旅行の楽しさというものを感じられない生徒が多かったんじゃないかと思う。


 このあたりも将来へ向けての課題だと思うんだよね。


 ちなみに2010年代では世界各地での中国人観光客の傍若無人な態度に非難が集まったのだけど、バブル期の日本人旅行客はそれと大差がなかった。


 この頃の日本人の海外旅行客は現地の建築物の石の床を削って記念に持ち帰ったり、教会でカメラのフラッシュを浴びせたりなど、マナーを何も知らないガキだったのだな。


「日本人」というと、礼儀正しく、マナーが良くて、世界中から愛されているなどというイメージを持ってる人間も多いだろうが、1987年の「タイム」誌では日本人観光客のことを、「世界の観光地を荒らすニュー・バーバリアンたち」として特集しているくらい日本人旅行者のマナーの悪さは相当だった。


 東南アジアなどで男性日本人旅行者の目的が買春だったり、女性旅行客はブランドショップでのバッグ、宝石や高級時計などの免税品の爆買いが目的だったりした。


 そして金にものを言わせた傲慢な振る舞いなどもひどかった。


 そしてそれは日本国内でもそこまで変わるものではなかったのだよね。


 町中で立小便する人もホテルのタオルや浴衣などの備品を持って帰る人もいくらでもいたりする。


 立ち小便が多いのは、駅前や公園にはそれなりに綺麗な水洗便所がたいていありコンビニに入ればすぐにトイレを借りられるという状況ではなくて、公衆トイレはめちゃクチャ汚くて臭く、コンビニのトイレを借りられるということもなかったという理由もあるのだけど、この頃の日本人は“マナーとかをろくに知らないひょんなことで大金を手にした成金だらけ”だったわけ。


 90年代後半にもなるとバブル景気も完全に破裂して日本人海外旅行客のマナーもだいぶましになったみたいだったけど。


 1920年代はアメリカ人観光客がヨーロッパで嫌われ、80年代は日本人が嫌われ、2010年代は韓国人や中国人が嫌われということを歴史的には繰り返しているらしくて、ちょっとしたことでカネを手に入れた中産階級が行うことは嫌われやすいのはいつの時代も、国籍も関係ないことらしい。


 それとバブル期にはホテルや保養所などが不動産投資の対象になって温泉などがあるリゾート地では、観光客目当てのホテルや付帯の遊園地、テーマパーク、保養所などの建設ラッシュがあるのだけど、それによってホテルの客室も宴会場も供給過剰になるのではと懸念されていたが、好景気による余暇活動や経済活動の活発化で、学校も卒業旅行を行う学校が増え、企業の社員旅行だけでなく内定者への事前旅行などによる大人数の旅行が行われるのが当たり前になって、宴会場や大部屋を作りまくり、更に外見などの豪華さを競い合って設備投資費が莫大になったあとの、バブル崩壊で予定の利益が上がらなくなって、さらに団体客が劇的に減ってしまった。


 これは近場の遊園地やゲームセンターなどの娯楽施設の多様化、海外旅行の人気の反対に国内旅行の不人気もあった。


 もっともホテル経営に俺が加わろうとしてもとても間に合わないだろうし、せいぜい底値になったときに買えるくらいの金ができていればいいなってくらいかな。


 今から頑張って少子化を防ぐことなんてできるのだろうかとも思ってしまうがやるしかないよな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る